一言で表すと、接客業はお客様をもてなす仕事だといえます。お客様から感謝の言葉をもらう機会が多い反面、理不尽なクレームがストレスの種になりやすいです。
今回は接客業の仕事内容や種類、向いている人・向いていない人の特徴、業務で辛いと感じるシーンなどを紹介します。
接客業の仕事内容・種類・将来性
お客様を直接もてなす仕事を接客業と呼び、業種を問わずさまざまな職種が存在します。これから接客業を目指す人は、機械化の影響に注意が必要です。ここでは接客業の仕事内容や種類、将来性について解説します。
お客様に直接対応してもてなす仕事
接客業は店舗や施設などでお客様をもてなす仕事です。飲食店のホールスタッフやホテルのフロント、美容師などをはじめ、顧客と直接コミュニケーションを取るのであれば、接客業に含まれます
人相手の仕事であるため、マニュアルで定められた対応をこなすだけでなく、ホスピタリティが求められます。無礼な態度はご法度で、お客様が気持ちよく過ごせるように細心の注意を払わなくてはなりません。
接客業はサービス業と似ていますが、両者は異なるものです。端的にまとめると、何らかのサービスを提供する業種をサービス業と言い、接客業はサービス業のうちの一つと捉えられます。
接客業の種類
幅広い接客業の中でも、代表的な職種を以下に挙げます。
- 居酒屋のホールスタッフ
- アパレルショップの販売員
- コンビニやスーパーのレジ係
- ホテルのフロント
- 遊園地のスタッフ
- 披露宴会場や結婚式場のスタッフ
同じ接客業でも、職種によって求められるスキルや適性に違いがあるのが特徴です。例えば、コンビニのレジ係は色々な業務をこなすため忙しいのが好きな人に向いているでしょう。
一方で遊園地のスタッフは、お客様が楽しい気持ちでアトラクションを楽しめるよう、笑顔や愛想よさが重要です。
コンビニのレジでも気持ちよい対応は必要ですが、レジャー施設のスタッフはこのスキルがより大切になります。
他の仕事でも同様に特有の重視される能力があります。ホールスタッフやショップスタッフの詳しい仕事内容や求められるスキルについて知りたい方は、次の記事をご覧ください。
関連記事ホールスタッフの仕事内容や楽しさ・大変さ・向き不向きを解説」関連記事ショップスタッフってどんな仕事?給料・やりがいを紹介!
将来性は高いとは言えない
残念ながら、接客業の将来性はあまり期待できないでしょう。大きな理由の一つに、機械の台頭が挙げられます。
現在でもAIやARなどの最新テクノロジーが発達し、簡単な仕事は徐々に人間からの置き換えがはじまっています。
2045年には人工知能の知性が人間を超えるシンギュラリティが起きると予想されており、接客をロボットが担う未来が到来するのもそう遠くはないでしょう。
他にも、転職で役立つスキルが見つからないことや、クレーム対応のストレスなどから接客業の不人気化が進んでいます。
接客業に向いている人・向いていない人の特徴
接客業は気配りが得意で臨機応変な対応ができる人が向いています。一方で思いやりがなかったり、精神的にもろかったりする人は向いていません。ここでは接客業への適性について詳しく解説します。
向いている人の特徴1.気配りが得意
接客業では気配りが求められる場面が少なくありません。例えば飲食店のホールスタッフなら、常に顧客のグラスへ空きがないか気を配り、すかさずオーダーを取りに行く必要があります。
複数のテーブルで同様の対応をしなければならないため、気配りが得意な人のほうが向いているでしょう。
指示を受けた仕事だけこなすのではなく、相手の気持ちを考え、先回りして提案できる能力が必要です。お客様の様子をよく観察し、何を必要としているのか自然に察知できる人が向いています。
向いている人の特徴2.臨機応変な対応ができる
接客業は人を相手にする仕事であるため、臨機応変な対応ができるかどうかは非常に重要です。接客のマニュアルはもちろん用意されていますが、実際の業務では形式通りにはいかないことが多々あります。
シチュエーションに応じて、言動を変えるなど柔軟な対応が求められるのです。臨機応変に対処できれば仕事を円滑に進められるだけでなく、トラブル回避にもつながります。
柔軟な対応によって「この店は他のところとは違う」と感じてもらえれば、ファンやリピーター獲得にもつながるでしょう。
向いていない人の特徴1.思いやりがない
接客業で最も重要だと言っても過言ではないのが、相手の立場や気持ちに立った言動です。思いやりの有無は店頭での対応に表れます。
例えば、ショップでおすすめだからといって興味がない商品をすすめられても、お客様は戸惑ってしまうでしょう。
お客様を思いやる気持ちが欠けていると、態度や表情などにも出て、自分では普通に対応しているつもりでも相手を不快にさせる恐れがあります。
怒りや苦しみの感情をグッと抑えて、冷静な対応ができると好印象です。
向いていない人の特徴2.精神的にもろい
接客業で意外と重要な素質がメンタルの強さです。一日に多くの人とコミュニケーションを取るため、ときにはクレームを受ける機会に出くわします。
心ない言葉や暴言をまともに浴びせられると、シュンと落ち込んでしまうかもしれません。しかし、接客業においてクレームは珍しいことではないため、いちいちクヨクヨしていると身が持ちません。
うまく受け流す、もしくは割り切れる人が向いています。逆に、人から言われた内容を重く捉えて、いつまでも悩むような傾向があると仕事が辛くなるでしょう。
接客業のよいところ・やりがい3選
顧客と直接言葉を交わす接客業に対して、恐怖や緊張を感じる人もいるかもしれません。たしかに楽な仕事ではありませんが、よいところも沢山あります。
代表的な接客業の利点は、お客様から感謝の言葉を投げかけてもらえることです。サービスを提供する相手方から「ありがとう」と言ってもらう経験は、人事や経理などバックオフィス系の仕事では体験できません。
また「会社の顔」として働く責任感を得られたり、傾聴力が身に付いたりする部分もメリットです。ここでは接客業のよいところややりがいを深掘りします。
1.「ありがとう」の言葉をもらう機会が多い
直接お客様と接する接客業は、感謝の言葉をもらう機会が多い仕事です。「探していた商品の場所が分かって助かった」「店員さんのおかげでよい買い物ができた」などと言ってもらえます。
特にマニュアル対応ではなく、自分で考えて対応した結果、温かい言葉を受けると喜びもひとしおです。肉体的・精神的に辛い時があっても、感謝の言葉をもらえるから仕事を続けられている人もいます。
人の役に立っていると肌で実感できることは、接客業ならではの魅力だといえます。
2.事業の第一線で働くという責任感を得られる
接客のスタッフは顧客と直接接点を持つポジションであるため「会社の顔」とも言える存在です。日々の仕事が利益を生み出しているという意味で、責任感を得やすい仕事です。
人の印象は第一印象でほぼ決まると言われますが、会社の場合も最初に応対したスタッフにイメージが左右されるとも考えられます。
自分次第で一企業の印象が変わると思えば、自然と責任感が湧いてくるでしょう。
接客業はスキルが無くてもできる仕事だと揶揄されがちですが、会社にとって必要不可欠な職種だと捉えれば、やりがいをもって働けるでしょう。
3.聞き上手になれる
接客業で活躍するには他人の話に耳を傾ける必要があるため、聞き上手になれます。接客業は自分から話しかけるイメージが強いかもしれませんが、実際には話を聞いた上で提案を行う場面が多いです。
逆に自分の話ばかりをしてしまうと、いくら一生懸命でもお客様が離れてしまいかねません。
良好なコミュニケーションの秘訣は、傾聴力にあるといわれることもあります。聞き上手になれば、他人と打ち解けやすくなるでしょう。
傾聴力とは単に相手の前に立ち、話に応じていればよいわけではありません。相手が話を進めやすいよう、適切な相槌を打ったり、質問を投げかけたりと能動的なアクションが求められます。
とはいえ、傾聴力は一朝一夕で身に付くものではありません。接客業の立場を活用して、聞く力を鍛えてみるのもよいでしょう。
接客業で大変なこと・辛いこと3選
接客業で働くことを志しているなら、大変だったり辛かったりする部分にも目を向けましょう。
接客業は肉体的・精神的にハードな状況に陥りやすく、離職率も高めの仕事です。ここでは、接客業で働くデメリットを詳しく解説します。
1.カレンダー通りに休めない
土日や祝日、ゴールデンウィークなど一般的な休日でも出勤を強いられるのは嫌なところです。多くの人が仕事をしない日は接客業にとっては稼ぎ時であるため、スタッフが休むことは難しいでしょう。
カレンダー通りに休めないと、例えば友達や恋人と遊んだり旅行したりする時に予定を合わせづらくなります。
こういった生活が続くと徐々に疎遠になり、カップルの場合なら別れる原因になるかもしれません。
ただし「接客業=土日や長期休暇に出勤を迫られる」とは限りません。中には土日休みの接客業の求人も存在します。
自分だけではなかなか見つからない可能性があるため、転職サイトやエージェントを活用するなど幅広い視野を持って求人を探しましょう。
2.理不尽なクレームを投げられる
接客業ではお客様から理不尽なクレームを受け、ストレスを感じるスタッフが少なくありません。
店舗のスタンスによっても異なりますが、どんな悪質なクレームを受けても、言い返せないケースが多いのは辛いところでしょう。
接客業の経験者には「クレームで嫌な思いをしたから、自分はこうなるまい」と決心し、他人に優しくなれたと言う人がいます。
一方で「自分だけ辛い思いをするのは許せないから、俺も同じことをしてやる!」と自らクレーマーと化してしまう人もいるようです。
身の振り方は個人差がありますが、接客業にとってクレームが相当なストレス要因であることが伺えます。
3.ブラック求人に当たることも
接客業は労働環境が過酷で給与も低い、いわゆるブラック求人に当たる可能性が比較的高い職種です。接客業にブラック求人が多いと言える根拠は、接客業が属するサービス業の離職率が高いこと。
離職率が高い業界のTOP3は「宿泊業・飲食サービス業」「教育・学習支援業」「サービス業(他に分類されないもの)」です。
仕事がハードなだけでなく、それに見合った給与が支払われないケースが多いために離職率が高くなっているようです。
接客業は一般企業と求められる能力が異なるため、退職して再就職しようとしても中々うまくいきません。
接客業を志すなら、本当にこの業界でよいのか慎重に検討し、転職先の選定にも細心の注意を払いましょう。
接客業の志望動機で意識すべきポイント
面接や履歴書で採用担当者が重視するのが志望動機。学歴やスキルに強みを持っていても、志望動機が刺さる内容でなければ、「うちには合わない」と判断され、落とされる可能性があります。
選考では接客業への適性をアピールすることが第一です。志望動機を語る際は他の応募者とは異なる独自性を出すために、具体的なエピソードを用いる必要があります。
ここでは、接客業の転職を成功させるために志望動機で意識すべきポイントや例文を紹介します。
接客業への適性をアピールする
志望動機でまずアピールすべきポイントは、接客業への適性です。
接客業ならどんな仕事であっても、お客様と直接相対してコミュニケーションを取る必要があるため、人と接するのが好きか、丁寧な対応ができるかといった部分は確実に確認されるでしょう。
「接客業に向いている人の特徴」でも紹介した通り、気配りや臨機応変な対応力をアピールするのもおすすめです。
中には「自分は人見知りだから……」と、接客業には向いていないと思っている人もいるかもしれません。
しかし、実は人見知りの方は接客業に適性がある可能性もあります。なぜなら、心地がよい距離感の保ち方をわきまえているからです。
最初からグイグイ行き過ぎると、いつの間にか他人の心に土足で入り込んでしまい、不快な感情を抱かれかねません。
一方、人見知りの方は、必要以上に相手に近づかないので、顧客の立場からしたら、上記のようなトラブルに発展する可能性は低いです。
純粋に商品やサービスを楽しみやすいため、かえって人見知りの方が接客に有利に働く場合もあるでしょう。
初対面の人と打ち解けるのが苦手だとしても、接客業に向いていないとは限らないため、安心してチャレンジしてください。ただし、選考時のアピールの仕方には注意が必要です。
コミュニケーション能力の高さが伝わるエピソードを選ぶ
接客業の志望動機を語る際は、コミュニケーション能力の高さが伝わるエピソードを準備しておきましょう。
接客業の経験がなくても、前職・現職においてチームで働いた経験や営業経験があれば、それを材料に志望動機を組み立てましょう。
接客業で求められるコミュニケーション力をアピールするのがポイントです。接客業で必要なのは、初対面の人とでも円滑な関係を築ける能力です。
リーダーシップやマネジメント力も広い意味ではコミュニケーション力を構成する要素ですが、こういったスキルは接客業への転職ではあまり重視されません。
ゆくゆくは、出世して部下を管理する力が求められる可能性はありますが、転職の時点では特に必要とはされないでしょう。
人と円滑な関係を築けて、協調性があると思ってもらえるようなエピソードを抽出してください。
志望動機の例文
私は子どもの頃から貴社の商品を愛用しております。
今でも1ヵ月に複数回はお店に足を運んでいますが、スタッフの心がこもった対応や適切なコーディネートセンス、幅広い商品知識にはいつも驚かされるばかりです。
私は営業事務を3年間続けてきましたが、もっとお客様と距離が近い環境で働きたいと考え、接客業を中心に転職活動を続けています。
日々10名以上の営業スタッフをサポートする中で身に付けた、他人の気持ちを汲み取る力は貴社でも活かせると思いますし、何よりも好きな会社で素晴らしい商品をもっと世に広めたいとの思いがあります。
ぜひ一度、面接の機会を頂けますと幸いです。
人と接するのが好きな人は接客業に適性がある
お客様をもてなす接客の仕事は、人と接するのが好きであれば活躍できる可能性は大きいです。また、気配りや臨機応変な対応力も重要なポイントとなるため、選考ではアピールを心がけましょう。
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