前職を退職してから次の会社の入社までに生じる空白(ブランク)期間。何らかの理由で空白期間が長くなっていると、企業から心象が悪いのではないかと不安に思う人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、企業側の空白期間に対する認識や懸念点などを紹介。空白期間を不利にしない回答例も併せて紹介していきます。
企業側の空白期間(ブランク)に対する認識
まず知っておきたいのは、空白期間の平均や企業側が持つ印象。
在職中に何らかの転職活動をスタートさせていれば空白期間も短く済みますが、退職後一からのスタートとなれば長い時間がかかってしまう場合もあります。
転職の空白期間の平均
転職までにさまざまな過程を踏まなければならないため、少なからず時間はかかってしまいます。
キャリアの棚卸からスタートし、情報収集、応募、面接などの時間を合わせると、転職活動にかかる期間の平均は、『約3ヵ月~6ヵ月』といわれています。
企業が空白期間に持つ印象
転職活動にかかる平均的な期間といわれる『約3ヵ月~6ヵ月』、この期間内の転職なら、企業からの心象も特に悪くはならないでしょう。しかし、これ以上空白期間が長くなれば、企業が採用を懸念するリスクが高まります。
企業が空白期間(ブランク)を気にする理由
経歴に空白期間が長ければ長いほど、採用を懸念する企業が多いのも事実です。なぜ気がかりになってしまうのかその理由を紹介します。
1.仕事に対する意欲への不安
数か月間仕事から離れている場合、規則的な生活をせず、自由に行動していたと企業側は考える傾向にあります。そのため、仕事に対する意識やモチベーションの低下を懸念する場合が多いと言えます。
2.社会人マナーやスキルの低下
毎日仕事をしていると、働く上でのマナーは体になじみ、スキルも磨かれていくもの。しかし現場を離れるとスキルを活用する機会も減り、能力や感覚も鈍ってしまいます。
また、会社から離れることで業界の最新情報も入りづらくなってしまい、感覚を取り戻したり、知識を習得し直したりするのに時間がかかるのではないかと懸念してしまいます。
3.柔軟性や協調性などの懸念
空白期間が長引くほど、自分の考えややり方が確立されていきます。もちろん自分の考えややり方を確立するのは良いことなのですが、組織は人との関わり合いで成り立っているので、柔軟性や協調性が重視されます。そのため、空白期間があまりにも長い場合、柔軟性や人間関係を構築する力に欠けているのではないかと懸念を持たれてしまうのです。
《理由別》空白期間(ブランク)を不利にしない回答例
空白期間は採用への懸念材料ではありますが、面接時にきちんと理由が伝えられれば問題ありません。
ここでは知識やスキル習得を目指した空白期間や、体調不良による空白期間など、理由別に空白期間の回答例を紹介します。
1.ステップアップを目指した空白期間の場合
スキルアップを目指し、資格の勉強やスクールに通っていて転職までの空白期間ができているのであれば、空白期間が不利になることは滅多にありません。ほとんどの企業は、前向きに捉えてくれるでしょう。
しかし、なかにはブランクを気にする採用担当者も。そのため、スキルアップを目指した事実をベースに、不安要素を取り除く自己PRが必要になります。
例えば、「経理の仕事がしたいと考えてから、半年間専門のスクールで学んでおりました。在学中には簿記検定を受験し、2級を取得しました。身につけた知識を御社で活かし、働きたいと考えています」のように、退職してからの期間をどう過ごしていたか、その間に何かしらの成果を出したかを見ています。その上で、学んだ知識や得た資格を今後の仕事にどのように活かせるのかを伝えられれば、空白期間が不利になることはないでしょう。
2.病気や怪我による空白期間の場合
病気や怪我は本人だけの責任ではないので、空白期間が不利になることはほとんどありません。懸念される可能性のあるポイントをあげるとすれば、ビジネスへの勘の鈍りでしょう。
その懸念を解消するために、「治療に集中しながらも、世間・業界の動向をチェックするために欠かさず新聞をチェックしていました」といった、療養中の社会復帰に向けた努力がアピールできると、企業側も安心できます。
もちろん治療だけで精一杯の場合もあるかと思いますので、そんな時には今後の仕事への意欲や体調の回復をアピールしてくださいね。
もし今後も定期的な通院が必要であるようなら、そういった話も事前にきちんと話しておくのがベター。「1ヵ月に1回通院の必要がありますが、日常的に早め出社を心がけ、仕事が滞らないように努めます」など、仕事への前向きな姿勢と具体的なリカバリー方法を提示すれば採用担当も安心して採用に踏み切れるでしょう。
3.身内の介護・看病による空白期間の場合
身内の介護や看病による空白期間も仕方のないことですので、本人の心象に悪影響が出ることはほとんどありません。懸念されるポイントがあるとするならば、ビジネスへの勘の鈍りと現在の介護・看病状況です。
そんな懸念を払拭するためにも、ビジネスの勘が鈍らないようにしていた何かしらの努力や、身内の回復状況や介護の受け入れ先が見つかったことなどを伝え、安心感を持ってもらうことが大切です。
「ビジネスの勘が鈍らないように介護の合間に日雇いのバイトをしていました。現在は長期入居できる施設が見つかりましたので、腰を据えて一生懸命働きたいと考えています」といったように現在の状況と仕事に対する熱心な気持ちを合わせて伝えましょう。
4.フリーランスで単発的な仕事をしていた空白期間の場合
応募先の仕事と関連性が高い仕事であれば、採用に懸念されやすいスキル・ビジネスの勘への鈍りは心配されにくいかもしれません。フリーランスから企業への転職で大きな懸念点となるのは、協調性と決まった勤務形態への適応力。
フリーランスに対する世間のイメージは、「働き方が自由で一人で仕事をしている」といったものが大半です。ですから、「好きなときに働いて自由にしてきた人が決まった時間・場所で働けるのか?」と思われてしまうのです。イメージを払拭するためにも、面接では人との関わりを持って仕事をしてきたこと、毎日どのくらいの時間勤務していたのかなどを伝える必要があります。
「〇社のクライアントと仕事し、より良い制作物になるよう積極的にコミュニケーションを取っていました。また自分にはないスキルを持ったクリエイターと横のつながりも形成し、互いに切磋琢磨しながら業務に邁進しました。1日平均8時間ほど働き、業務後にはインプットの時間を設け、日々スキルアップに努めています。」のように、協調性のある働き方ができること、信念を持って働いていたことを伝える必要があります。
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転職までの平均空白期間は約3ヵ月から6ヵ月。その期間であれば、退職後からキャリアの棚卸をスタートし、内定に至るまでの平均的な期間だと企業は認識しますので、特に気にする必要はないでしょう。
もしもこの期間より空白期間が長い場合には、懸念を払拭する理由をしっかり説明する必要があります。今回紹介した理由別の回答例を参考に、仕事に対する熱意をきちんと伝え、空白期間を不利にしない転職ができることを願っています。