履歴書などの公的書類に記載する「家族構成」について、その正しい書き方をご存知ですか?記載が必要な範囲や家族構成を伝える理由について、認識が曖昧である方も多いかもしれません。本記事では、家族構成の書き方や押さえておくべきポイント、注意点などを解説します。
そもそも家族構成とは
家族構成について聞かれたときに、多くの方は「血縁者」と「妻・子」を答えるでしょう。しかし血縁者については、祖父母や親戚など、遡っていくとかなり広範囲に及びます。それらの方すべてを答えなければならないのか、迷ってしまうこともありますよね。本章ではまず「家族」の定義が、どの程度の範囲までを指すのか、またどのようなシーンで家族構成を尋ねられるのか説明します。
記載すべき家族構成の範囲
「家族」という集団に含まれる範囲について、法律上の取り決めはありません。一般的な定義としては、「家族=婚姻関係や血縁関係をもつ者」とされています。特に、同じ家に住んでいる者、つまり「生計を同一にする者」は、問題なく家族の範囲内に含まれるでしょう。
公の場や公的書類のなかで、家族構成について質問された場合は、血縁者または、生計を同一にしている者を「家族」として答えるのが正解です。
なかには「ペットも家族の一員」「親友は家族同然」と考える方もいるかもしれませんが、公の場では控えましょう。
家族構成を記載するシーン
そもそも、家族構成について質問されるシチュエーションとして、どのような場面が考えられるのでしょうか。誰もが一度は聞かれたことのある家族構成ですが、具体的なシーンとなると「いつ聞かれるのだろう?」と疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。
一般的に、家族構成について質問されるシーンとしては、以下のような場面が挙げられます。
- 履歴書
- 保育園・幼稚園・学校といった教育(保育)機関へ提出する書類(または面談)
- 税関連の書類
- 物件を借りる際の書類
- クレジットカードの作成時
上記のようなシーンでは、家族構成を質問される可能性が高いため、しっかり回答できるようにしておきましょう。
家族構成を書くときのポイントは4つ
家族構成を質問される場面は、日常においてそう多くはありません。普段は問題なく記入できると思っていても、実際に公的書類等に家族構成を記入するときになって、どう書けばよいのか思い出せないという経験がある方もいるでしょう。本章で紹介するのは、書類に記入する家族構成の書き方です。続柄や書く順番など、うっかり忘れてしまいがちな点を確認しておきましょう。
1.続柄はシンプルに
市販の履歴書などには、フォーマットが用意されています。基本的には、フォーマット通りに記入すれば問題ありません。またフォーマットには多くの場合、先方が必要とする情報の範囲が記されています。範囲以上の家族構成は記入しなくてよいでしょう。
続柄の書き方は「父」「母」といったシンプルなもので構いません。このとき、常に「自分から見た続柄」を記入するようにしてください。面接等の質問に口頭で答える場合でも、書類に記載する場合と同じように答えましょう。
2.書く順番は世帯主から
フォーマット等がなく、家族構成を質問される場合もあります。続柄の書き方と合わせて、記入する順番にも注意してください。
家族構成を記入する順番は、基本的に世帯主からはじめます。世帯主というのは一般的に、住民票の筆頭に名前がある者のこと指します。例えば、年収は妻のほうが高く家計の中心人物であるならば、世帯主は「妻」となります。
また、面接などにおいて口頭で家族構成を伝える場合も、世帯主から書きはじめてください。
3.世帯主以外は年齢順に
家族構成は、世帯主を一番初めに記入すると説明しました。そして世帯主に続き、その他の家族を記入します。
世帯主以降は、年齢順に記入してください。日頃から両親や、同居している親戚の年齢を覚えておくと、家族構成を質問されたときにもスムーズに答えられるでしょう。
家族構成を答える場合は基本的に、同居している全員の名前を記入します。また同居人のなかに、婚約者など生計をともにしていない者がいる場合でも記載しておきましょう。その場合は、家族構成の一番下に「同居人」として記載します。
4.自分については「本人」
自分自身も含めた家族構成を記入する場合は、自分の欄に「本人」と記載します。家族構成欄に記載する続柄は、自分から見た関係であるため、兄弟などは「姉」「兄」などと記載します。しかし、自身の子供については例外なので注意してください。
自身の子供について、家族構成欄に記載する場合は性別に関係なく「子」で表します。また、長男であっても次男であっても、人数に関係なく「子」と記入するため間違えないようにしましょう。
こんなときはどう書くべきか?
ここまで、公的書類などへ家族構成について記載する書き方として、最も一般的なケースに沿って説明しました。しかし、最も多くの方を悩ませるのがイレギュラーな場合の書き方でしょう。本章では「一人暮らし」「別居」「親が世帯主」「兄弟が既婚」といった4パターンについて、家族構成の書き方を解説します。自身のケースに当てはまるものがあれば、参考にしてください。
一人暮らしのとき
前述のように、家族構成とは基本的に同じ家で暮らしている者や生計をともにしている者が含まれます。では、一人暮らしである場合、どうすればよいのでしょう。
一人暮らしの方は、基本的に住民票に記載される名前は本人のみです。同居人がいないのであれば家族構成は自分のみとなり、世帯主も本人となります。
書類上で「家族構成」と「世帯主」を記載する欄が分けられている場合は、家族構成欄は無記入で構いません。
別居しているとき
次に、単身赴任などによって、別居状態である場合の家族構成欄について解説します。この場合に注意したいのは、住民票を移しているか否かで記入内容が変わることです。
元の住所から住民票を移している場合は、1人暮らしとして記載します。しかし、住民票に記載された住所が、元の家のものであれば、別居名と世帯は同じと見なされます。つまり、元の通りに世帯主を記載後、年齢順に家族を記入していくということです。
世帯主が親であるとき
結婚後であっても、両親と同居しているという方もいらっしゃるでしょう。この場合、その住所の世帯主は親となります。そのようなケースにおいて、家族構成はどのように記載すべきでしょうか。まずは世帯主の家族を「世帯主→年齢順」に記載します。その後ろに、自身の家族を「世帯主→年齢順」で記載していきます。
どのような家族構成であっても「世帯主に合わせた記載順」と認識しておくとわかりやすいでしょう。
兄弟が結婚しているとき
結婚後に同居している者が本人でない場合でも、世帯主が親である場合と記載順は同様です。「父・母・兄・兄の妻・自分」が同居している場合、家族構成欄には「父(世帯主)→母→自分→兄(世帯主)→兄の妻」の順で記載します。兄弟家族の子供、つまり本人から見て「甥・姪」にあたる者が同居している場合は「兄の妻」の後ろに「甥(または姪)」と記載します。
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そもそも家族構成という情報は、なぜ開示しなければならないのでしょうか。履歴書において、働くのは本人のみであり、家族は無関係なように感じてしまいます。また書類においても、家族には無関係であるにも関わらず、家族構成の記載を求められるケースがあります。そこで本章では、家族構成を書くべき理由について解説します。
なぜ家族構成を書く必要があるのか
家族構成の記載を求める目的は、書類によって多少異なります。しかし、どの書類にも共通している目的があります。それは「身元を保証するため」です。
もちろん書類ごとに、他の理由も含まれますが、全てに共通している目的は「身元保証」です。家族構成を記載することで、どのような家族の元で過ごしているのか、身内のなかにはどのような人がいるのかが明らかになります。
面接で家族構成を聞かれることはあるのか
家族構成の質問をすることには、前述したような目的があります。では実際に、就職面接の場で、家族構成を聞かれることはどの程度あるのでしょうか。
結論から言えば、現在は「ほとんどない」でしょう。入社後に税金や保険証に関連する手続きに必要な情報として、家族構成を聞かれることはありますが、面接の時点では少ないです。
これは、基本的に家族構成などプライバシーに関する質問がNGとなっているためです。個人情報保護の意識が高まっている近年では、ますます減っています。
ジェノグラムと職業欄を書くときのポイント
家族構成を表す図表である「ジェノグラム」をご存知でしょうか。ジェノグラムを用いることで、対象者の家系図を簡単に把握できます。本章では、ジェノグラムの書き方とともに、職業欄の記載方法についても説明していきます。普段目にする機会は少ないかもしれませんが、この機会に簡単な書き方をマスターしておきましょう。
ジェノグラムの書き方
ジェノグラムでは、男性を□、女性を◯で表します。マーク中央に年齢を記載することで、ひと目で年齢や性別などが把握できます。
ジェノグラムを書く際は、まず真ん中に本人についてを◎で記載します。その後、本人の生育におけるキーパーソン(一般的には両親)となる人物に☆マークをつけるケースもあります。これによって、家族構成だけでなく生育環境も把握することが可能です。
職業欄の書き方
公的種類などでは、家族構成とともに職業欄の記載が必要となる場合もあるため注意が必要です。扶養や控除などに関わる情報なので、正確に記述しなければなりませんが、同時に個人情報でもあります。勤務先の社名や学校名までは、記載する必要はありません。
会社勤めの方であれば「会社員」や「公務員」、就学中であれば「学生」といったシンプルな記載でよいでしょう。
公的書類の「家族構成」は正しく書こう
いざ書くとなると、どこまでの範囲の家族を、どのように書けば良いのかわからなくなってしまう家族構成。履歴書等の書類には、正しく記載したいところです。ぜひ本記事を参考に、誤りなく既述してください。
また、ハレダスではこの他にも就職や転職活動に役立つ情報を提供しています。その他の記事は以下からご確認してください。