転職先への心証を気にして「会社都合の退職を知られたくない」という人もいるのではないでしょうか。そこで知りたいのが会社都合の退職がバレる可能性。
会社都合と自己都合の退職の違いや、会社都合の退職でも転職を成功させるポイントも併せて紹介していきます。
退職の「会社都合」と「自己都合」の違い
退職には、会社都合と自己都合の2パターンが存在しています。
まずは、どんな条件なら会社都合、自己都合にあたるのかを紹介します。
「会社都合」は雇用主からの働きかけの退職
雇用主である企業から退職をお願いされる場合が、いわゆる会社都合での退職にあたります。しかし、会社都合の中にもいろいろなケースがあるのです。
例えば、会社の倒産や事業廃止による会社都合の退職は「整理解雇」になり、雇用者が何らかの不正を働いた場合の会社都合の退職は「懲戒解雇」にあたります。その他、希望退職者募集に応募し、退職が決まった場合も会社都合の退職にあたります。
また、会社の環境によって、雇用者側が辞めざるを得ないと判断した場合に正統性が認められれば、決断は雇用者側の判断でも会社都合の退職になります。
例えば、業績悪化による大幅な給与カットや給与の未払い、過度な残業や休日出勤、セクハラ・パワハラのような事情によって退職以外の手立てがない場合です。
「自己都合」は雇用者側の都合による退職
自己都合の退職にあたるのは、退職理由が雇用者側にあるケースです。
例えば、キャリアアップを目指した退職や、会社に何らかの不満があったり、結婚や出産、介護などの家庭の事情だったり。そういったケースは自己都合の退職に該当します。
「会社都合」と「自己都合」の大きな違いは失業保険の受給と心証
会社都合と自己都合の退職には大きな違いが2つあります。
ひとつ目は、失業保険の給付制限です。
自己都合の場合に失業保険を受給するとなると、3ヶ月間の給付制限があります。しかし、会社都合の場合には7日間の待機期間後、すぐに受け取れるのです。会社都合の場合には給付期間が延長される場合もあります。
失業保険の面から見れば、会社都合での退職の方がメリットのあるように思えますが、転職するときには会社都合での退職は、心証を悪くする場合もあるのです。応募書類などに退職理由を記載するときには、その詳細を付け加えて採用担当者の疑問や不信感を取り除く必要があるでしょう。
会社都合の退職がバレる可能性
会社都合の退職は、基本的にバレない可能性が高いと言えます。
しかし、ふとしたきっかけでバレることもありますので、どんな場合にバレるのか、なぜ基本的にバレないと言えるのかなど、詳しく解説していきます。
会社都合の退職は転職先にバレない可能性が高い
たとえ「懲戒解雇」になった場合でも、個人情報保護法によって広まることはありません。もしも転職先が以前の勤め先に問い合わせても、解雇理由を口外してしまうと、個人情報保護法違反にあたるのです。そのため、会社都合の転職は原則転職先にバレない可能性が高いと言えるでしょう。
会社都合の退職は提出書類によってバレることも
バレない可能性が高いとはいえ、ふとした拍子でバレることも。
例えば、離職票の提出を求められたときです。離職票には退職理由が記載されていますので、提出すれば転職先にバレてしまいます。ただ、離職票は失業保険を受け取る際に必要になる書類で、転職先に提出の義務はありません。
転職先企業の調査でバレることも
バレる可能性としてもう一つ予想されるのが、転職先企業が実施する前職調査や素行調査です。
前職の会社やハローワークへの問い合わせは上述したように、個人情報保護法によって守られています。しかし、現代ではSNSからの情報収集も可能ですし、同業界への転職となれば経営者同士にネットワークがあるので、少し調査すれば解雇理由も簡単に明らかにできるでしょう。
このケースは入社前に経歴や応対に違和感があったり、何らかの不信感を抱かれたりしたときに調査しますので、その違和感がなければ調査されることは少ないと言えます。
会社都合の退職を意図的に隠すと経歴詐称につながる
自ら口外しなければ退職理由は明らかにされない場合が多いですが、それでも面接のような場面で意図的に隠すと経歴詐称につながります。
履歴書に退職理由を「会社都合」と記載している場合、「会社都合は具体的にどういった内容ですか?」と聞かれることも。その際に「解雇ではなく会社の業績不振です」などと偽りを述べてしまうと、後々問題になる場合もありますので絶対にやめましょう。
会社都合の退職でも転職を成功させるポイント
ではどのようにすれば会社都合の退職でも転職を成功させられるのでしょうか。
キーワードは「誠意」。聞かれたときには、正直に退職理由、反省、改心などを見せることが大切です。
1.会社都合の退職の理由をきちんと話せるようにする
面接や提出書類に退職理由を「会社都合」だけ記載していると、採用担当は「どんな理由なのか」と不安に思ってしまいます。ですので、会社の業績不振や業務環境などの問題から退職に至った場合は、その旨をきちんと説明できるように準備しておきましょう。
その際には、すべて会社のせいにするのではなく、「自分自身にももっとできることはあったのではないか」「前職の経験からの学びを次にこう活かしたい」など、話せるようにしておくと、採用担当も安心し、心証も良くなるのでおすすめです。
2.解雇による退職の場合「反省」と「更生」をアピールする
もしも退職理由が懲戒解雇によるものであれば、わざわざ自分から口外する必要はありませんが聞かれた場合には正直に伝えましょう。解雇に至った経緯を話し、反省と今後更生していくことを誠心誠意伝えてください。
例えば、人間関係のトラブルによって解雇となってしまったのであれば、
「前職では自我ばかりを押し通してしまい、同僚と足並みを揃えられず解雇になってしまいました。しかし、そうした経験から、足並みを揃える必要性と和を重んじる重要性を学びました。今後は組織の一員であることを忘れず、企業の発展を見据えられるように、周囲と協力し合いながら成長したいと考えております。」
といったように、解雇されたことで得た反省と学びを真摯に伝えるのが大切です。
3.転職エージェントを活用する
どんな理由であれ、退職理由によって転職活動に不安を感じるのなら、自分ひとりの力で頑張ろうとせず、転職のプロに相談するのが良いでしょう。
転職エージェントに、会社都合による退職で転職活動に不安を抱えていると伝え、支援してもらうと不安もきっと軽くなるはず。求人紹介から入社後のフォローまできめ細やかなサポートが受けられますよ。
まとめ
会社都合による退職は、自分から口外しなければバレない場合が多いですが、意図的に隠してしまうと、後から大きな問題になりかねません。面接で聞かれたときには正直に答え、正当な理由や反省点、今後への意欲をしっかりと伝えることが大切です。