転職理由、すなわち前職の退職理由は、中途採用の面接で必ずと言っていいほど聞かれる質問です。
退職理由に、少しでもネガティブな要因があると、面接でどのような伝え方をすればいいのかが分からず、悩む方も多いのではないでしょうか。
そもそも、会社に全く不満が無ければ、転職を考える人は少ないはず。退職したという事は、多かれ少なかれ、何かしらのネガティブな要因があったということでしょう。
この記事では、面接で退職理由を上手に伝える方法を、具体的な事例を用いて解説します。
退職理由ランキング
- 給与に不満がある
- スキルアップしたい
- 業界・会社の将来性に不安がある
- 倒産・リストラ・契約期間の満了(会社都合での雇用終了)
- ハラスメントがあった
- 社内の人間関係が悪い
- ほかにやりたい仕事がある
- 会社の評価に不満があった
- 働く場所を変えたい(勤務先が遠い・近すぎる、UIターンしたい)
- 不規則な勤務をやめたい(土日祝休みにしたい)
退職理由のランキングの1位は「給与に不満がある」という結果でした。
根本的な理由には個人差があるものの、仕事に対しての報酬に関し、不満がある人は多いようです。
また、5位の「ハラスメントがあった」や、6位の「人間関係が悪い」など、社内の人間関係が原因で退職したいという意見もトップ10に2つ入っていました。
面接で退職理由を伝える際の注意点
面接で退職理由を伝える際の注意点として「嘘をつかない」というポイントがあります。
面接官は採用面接で、何百人という転職者の退職理由を聞いているため「この人は嘘をついているな」というのが、肌感覚で分かる人が多いです。
ただし、会社に不満があるなどの退職理由を、そのまま伝えるのは印象が悪くなるため、オブラートに包んで伝える必要があります。
また、面接官の立場からしても、会社に対する不満を延々と聞かされても、面接での評価が上がるようなことはありません。
退職理由となった「事実」と「自分の感情」の部分は切り離して伝える事を意識しましょう。
面接官が見ている退職理由のポイント
面接官が見ている退職理由のポイントは、大きく分けて下記の4つです。
退職理由を人のせいにしていないか
何らかの不満があるから退職したことは、面接官も大前提理解していますが、退職理由があまりに他責で、自分は全く悪くないというスタンスだと、面接官は敬遠する傾向があります。
問題が起きた時に、まずは自分に非がないかを冷静に考え、解決策を考えていくのがビジネスマンの基本です。
しかし、問題が起きた時に最初から会社や人のせいにしているようでは、なかなか物事は前に進みません。
むしろ、他責傾向が強い人には、出来れば関わりたくないなと思うのが普通の心理です。
面接でも、他責傾向が強い人は、環境が変わっても考えた方を改めない限り、また同じ問題を起こす可能性が高いと考えてしまうので、面接官としては、出来れば採用したくないという想いもあります。
客観的にみて納得できる退職理由か
退職理由について、客観的にみて納得できる理由かを面接官は見極めています。
例えば、営業職の人が「給与が上がらない」という退職理由を面接で伝えた際に、前職でのその人自身の営業成績が芳しくない場合は、成果を出す事が出来なかったから、給与が上がらなかったのではと思われるのが一般的です。
逆に、営業成績が社内で一番良かったのに、評価制度等でどうしても給与が上がりづらいという理由であれば、面接官も納得感が出てきます。
同じ退職理由を伝えたとしても、その結果に至ったプロセスを踏まえて面接官は判断していくので、客観的にみた時にも納得できる理由なのかは、事前にしっかり考えておく必要があります。
問題に対し自らアプローチしたか
面接官は、退職の原因となった問題に対し、自らアプローチをしたのかを、面接で問うケースがあります。
仮に、「業務量が多く、残業時間が長い」という退職理由だとした場合、生産性を上げる為に、自ら改善する動きを取ったのかなど、その人自身が問題にアプローチをしたかを面接官は見ます。
具体的には、作業のスピードを早める為にPCスキルを磨いたり、どうしてもキャパオーバーなのであれば、事前に上司に相談して改善する動きを取れていたのか、などです。
更に仕事が出来るビジネスマンの場合は、そもそも、その仕事がなぜ必要なのかを考え、言われた仕事をそのままやるのではなく、別のやり方を考え代替案を出すなどの行動を取っています。
上記のような自分で出来る改善を全くしていないのに、「業務量が多く、残業時間が長い」という退職理由を伝えるだけでは、面接官からの評価も低くなるので注意しましょう。
自社に入社後、同じ理由で退職する可能性がないか
面接官は、会社を代表して転職者の面接をしている為、当然、採用後の採用責任を問われる場合があります。
その為、早期退職されては自分の評価にも繋がるため、出来る限り、ネガティブな要因が無い人を採用したいというのが本音です。
もし、「人間関係が原因で退職した」という人が面接に来た場合、社内の人間関係に問題があったとしても、結局、その人が入社後、同じ理由で退職してしまわないかと思うのが普通の心理です。
上記のような場合、その人自身のコミュニケーションに問題が無かったのかや、人間関係が悪かった根本の原因について、突っ込んで質問される可能性が高くなります。
面接官の不安を払拭するために、相手の心理を想像しながら、コミュニケーションを取っていく事が必要です。
退職理由ごとの回答事例
ここからはいくつかの退職理由の場合の回答例を紹介していきます。
給与が理由の場合
私は営業職として入社したのですが、入社前に、成果を出せばインセンティブがつき、頑張り次第で年収も上がると聞いていました。しかし、実際はほぼ年功序列で、インセンティブも月に数千円程度しかつかず、イメージしていた内容とは食い違っていました。
もちろん、事前に実際に働いている人に話を聞いてみたりしなかった、自分のリサーチ不足もこのような状況を招いた原因ではあるのですが、私も家族を養っていく必要があるため、退職の決意をしました。
人間関係が理由の場合
私は営業職として仕事をしているのですが、今の会社では、評価が全て個人ごとの成果で判断されるため、従業員同士が助け合うという風土がほとんどありません。
仕事なので、成果を上げる事は当然大事ですが、私個人の趣向として、チームで仕事を進め成果を出す進め方の方がやりがいを感じる為、転職活動を開始しました。
労働条件が理由の場合
今の会社自体にはとても愛着があり、人間関係も良好なのですが、退勤時間はほとんど毎日終電で帰るほど遅く、休みの日も急に出勤しないといけないこともあり、家族との時間が少なくなっている現状があります。
お客様の都合に応じ、急な対応が必要なケースもあって当然だと思うのですが、家族との時間を増やすために、もう少しワークライフバランスを意識した環境で働きたいと考えたため、転職活動を開始しました。
会社の将来性が理由の場合
会社で早期退職者の募集や、パートナー様の契約解除などが急激に進んでおり、会社の将来性に不安を感じているのが正直な気持ちです。
個人的には、営業成績も常に上位トップ3なので、ある程度、自分の出来る範囲では努力しているつもりですが、業界自体もネットの躍進で衰退しており、経営方針を見ても特に打ち手を打たず、その流れに対応できていない様子もあるので、今回退職する事を決意しました。
スキルアップが理由の場合
現在、営業職として仕事をしていますが、マネジメント力をつけ、自分のスキルアップを図りたいと思い、転職活動を開始しました。
今の会社は人数も少なく、私の直属の上司が社長で、営業部隊の人数が増えても、基本的には社長がマネジメントするという方針が続いています。
私自身が、マネジメントを任せてもいいと思わせれていないスキル不足もあるのですが、社長にマネジメントに挑戦してみたいと相談しても、このポジションだけは、誰にも譲れないという強い意志があるようでした。
その為、今回思い切って転職をし、成果を出せばマネジメントを任せてもらえる可能性のある会社に転職したいと考え動いています。
まとめ
面接で退職理由を面接官によく見せようとして、話を盛ったり嘘をついては逆効果になります。
退職を考えるに至った「事実」を正直に伝え、その上で転職する事がポジティブな理由を面接官に伝えるようにしましょう。
また、面接に臨む前に自分の退職理由を棚卸しして、本当に今の環境で改善は出来ないのかなど、自らできる事を考えてみましょう。
もし、最善の動きをしても退職しか選択肢がないようであれば、上記の例文などを参考に、面接に臨んでみて下さい。