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元日本語教員コラムvol.9|個人事業主が法人化するのにベストなタイミングは?起業に必要な準備とは

こんにちは、フリーライターの永野です!

現在私は個人事業主としてライター活動をしていますが、多くの仕事をいただくにあたり「法人化」を視野に入れる時期もありました。

たまたまあるクライアントより「起業」についての執筆をご依頼いただき、会社設立にあたっての手続きなどを学びましたが、法人化は個人開業とは大きく異なる苦労や手間があるようです。

今回は、起業に必要な準備や、法人化するのにベストなタイミングについてお話していきます!

個人事業主と法人の違い

会社などに所属せず、自身で事業を始めようと思った場合は「個人事業主」もしくは「法人」のどちらかを選択する必要があります。

個人事業主とは、個人で事業を行っている人のことを指します。1人で事業を行っている、家族で経営をしている、従業員が限りなく少ない場合には、個人事業主として活動する場合が多い印象です。

一方の法人は、事業を通して得た利益を社員や株主など、特定の構成員に分配することを目的とした営利団体です。株式会社、合同会社などと呼ばれるものが法人にあたります。

個人事業主として開業するための手続き


個人事業主として事業を開始するのは非常に簡単で、税務署に開業届を提出するだけです。尚、確定申告の際に青色申告を希望する人は同時に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。

開業届には「屋号」や事業を行う場所や事務所の住所、代表者の氏名などを記入するだけで、手続きは非常に簡単です。事業開始までにかかる費用も特になく、0円で事業を開始できるのも、個人事業主のメリットだといえます。

ちなみに、最近よく耳にする「フリーランス」は厳密にいうと、個人事業主とはまた別ものです。個人事業主は開業届を提出していますが、フリーランスは開業届を出さずに個人で活動する人のことをいいます。税務上は個人事業主と同じ扱いです。

私も「フリーランス」を名乗っていますが、開業届は提出しています。友人のライターも開業届を提出しているので、フリーランスのなかにも、実は「個人事業主」である人が多いのかもしれません。

法人化に必要な準備や手続き

個人事業主とは異なり、法人化、つまり起業には多くの手間や時間がかかります。法人といっても株式会社、合同会社などさまざまな形態がありますが、合同会社は最低10万円、株式会社は25万円の初期費用がかかります。

それぞれ会社印を購入したり社会保険に加入したりと、やるべきことが多いので、起業にはかなりの労力が必要です。起業までに必要な準備や手続き、費用などは厳密に説明するととてもながくなってしまいますので、簡単に表にまとめてみました。

詳細 備考
基本情報の決定 会社名や本社所在地、事業目的、資本金、発起人など、起業にあたり必要な基本情報を決定する
必要なものの準備 会社用の印鑑や資本金などを準備する 資本金は法律上1円以上で設立可能
定款の作成 会社の規則となる定款(ていかん)の内容を決める。株式会社の場合は公証役場で認証を受ける 認証手数料5万円、紙で定款を提出する場合は収入印紙代およそ4万円が必要
資本金の払い込み 定款認証が確定したら資本金を払い込む 登記申請に必要な通帳の表紙と1ページ目、払い込み内容記載ページをコピーしておく
登記申請 法務局兵器、登記申請を実施する
その他の手続き 登記が完了したら国税や地方税についての届け出、社会保険の加入、労働法に関する届け出、法人口座の開設、雇用保険に関する届け出などを行う 手続きを行う場所や期限はさまざまなので、各機関に問い合わせる、ホームページを確認するなどして漏れのないようにする

一覧で見ても、個人開業より手間がかかることがわかりますね…。また、法人化すると社会保険や税金の支払いなど、毎年の金銭的負担も大きいです。

法人化を検討するなら、ある程度安定した収入が確保できるようになってからがよいでしょう。

個人事業主から法人に切り替えるメリットは?


手軽に開業でき、費用もかからない個人事業主からわざわざ法人化する意味がよくわからない、という方もいるかもしれませんが、法人化するのには大きく3つのメリットがあるといえます。

1つは、社会的信用が高まる点です。

個人で事業を営むよりも、「株式会社」「合同会社」など法人で活動するほうが信用度は高くなり、取引先が増える、融資をしてもらいやすくなるなどのメリットが生まれます。実際、個人事業主とは契約を結ばない企業も存在するほどです。

2つ目は節税につながる可能性がある点です。

個人事業主の所得税の最高税率は45%ですが、法人化した場合にかかる法人税は多くの場合が15%、それ以外でも20%台前半です。所得が多くなってきたら法人化したほうが、税金が安く済むというケースもあります。

3つ目は欠損金が繰り越せる点です。

赤字繰り越しは個人事業主でも可能ですが、その期間は3年となっています。一方の法人は10年ほどの繰越期間があるため、もし事業が軌道に乗らなかった場合にも安心だといえるでしょう。

法人化にベストなタイミングはいつ?


事業を営むにあたり、いきなり法人からスタートをするという方も少なくありませんが、「個人事業主として安定してから法人化する」というパターンも多い傾向です。個人事業主が法人化を検討・実施するのにベストなタイミングはいつなのでしょうか。

もっともわかりやすいのは、「事業の規模が拡大したら」です。とはいえ、どの程度の規模が法人化に適しているのかは、なかなかわかりにくいですよね。1つの指標は「利益が800万円を超えたあたり」です。

所得税の税率は900万円以下なら最大23%と、法人化よりも少し高いかな、という程度です。しかし900万円を超えると33%と法人税を超えてきますので、法人化をしたほうがよいといえるでしょう。

ちなみに330万円~695万円の所得にかかる税率は20%で、一般的な法人税の15%を上回ります。事業内容によって所得の規模は異なるため一概にはいえませんが、300万円、400万円を超えるタイミングで法人化をするのもよいのかもしれませんね。

法人化について迷ったら、税理士や司法書士などの専門家にアドバイスをもらうのも1つの方法です。起業の専門家なら法人化までに必要なステップや費用をより具体的に教えてくれるのはもちろん、法人化したあとにも課せられる諸々の手続きなどの代行も行ってくれます。

おわりに

今回は、個人事業主と法人の違いや手続きの内容、法人化のメリットなどをご紹介しました!法人化には多くの手間や時間、そして費用がかかるため簡単に行うことはできません。しかし、事業内容によっては信頼度を高めさらなる利益につながる、節税になる場合もありますので、時期を見て法人化を検討してもよいでしょう。

私も一時期は法人化を検討していましたが、現在は幸いにもライター業が忙しく、また子育てや家事もあるため、正直「起業の準備をする時間がない」という状態です。その前に、起業をする恩恵を受けられるような所得でもありませんが…(笑)

個人事業主には個人事業主のよさや気楽さもありますので、特に不便だとは思っていません。とはいえ、いつかは起業したいという思いは変わっていないので、これからも目標に向けてコツコツ努力したいと思っています。

フリーランスの皆さん、一緒に頑張りましょう!

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Written by

永野 栄里子

永野 栄里子

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語学校での非常勤講師を経て、2018年よりライター業を開始。さまざまなメディアで記事を手がけながら「田舎の在宅ママライター」として新たな働き方を確立すべく、日々育児に仕事に奮闘中。

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