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元日本語教員コラムvol.7|フリーランスの源泉徴収は通常業務よりも大変だった!?

こんにちは、フリーライターの永野です!

フリーランスは自身でスケジュールを組める自由な働き方ですが、仕事を取る、お金の計算や申告をするなど、自分でやらなければいけないことも多くて大変な部分もあります…。

大変かつやや面倒な事務作業の1つに「源泉徴収」があります。今回は源泉徴収とは何か、フリーランスは源泉徴収のためにどういった作業をしなければならないのかをご紹介したいと思います。

そもそも源泉徴収とは

「源泉徴収という言葉は聞いたことがあるけど、それ何?」と思う方もいるかと思いますが(実際少し前までの私もそうでした…)、源泉徴収とは、給与支払い時に支払金額から所得税額を差し引いて国に納付する制度です。

差し引かれる額は給与がいくらかはもちろん、配偶者や扶養顔族の有無などによって適用される「控除」によっても異なります。

会社員だけじゃない!フリーランスも源泉徴収が必要

会社員であれば、源泉徴収(所得税)は会社で自動的に計算してくれ、その他社会保険なども差し引き、残りの額を給与として渡してくれます。面倒なことは事業者が行ってくれるため、源泉徴収について深く考えるという方は多くはないでしょう。

「会社員じゃないから源泉徴収をしなくてよい」ということはなく、フリーランスも源泉徴収が必要です。しかも、会社員のように会社が代わりに行ってくれるわけではないので、自身で源泉徴収を行わなければなりません。

源泉徴収の対象とならないものもある


フリーランスも報酬を受け取ったら源泉徴収を自分で行いますが、すべてのフリーランスが源泉徴収をしなければならないというわけではありません。源泉徴収の対象とされている給与や報酬には、次のようなものがあります。

・原稿料や講演料、デザイン料
・弁護士、公認会計士、司法書士などへ払う報酬
・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
・プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルなどに支払う報酬
・芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬
・宴会等において、客に対して接待等を行うコンパニオンなどに支払う報酬
・プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
・広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
・写真撮影料や作曲・編集料 など

私はフリーランスのライターなので、執筆により得た報酬は最初に挙げた「原稿料」に当たります。当然、源泉徴収が必要ですので、然るべき方法で源泉徴収を行っています。

源泉徴収された金額はどこで調整する?

源泉徴収で差し引かれた金額は、正しい所得税額ではありません。源泉徴収された額よりも所得税がさらに高い場合もありますし、安いこともあります。公務員や会社員は「年末調整」によって、この差額を調整します。

年末調整は所定の用紙に住所や氏名などを記入し、捺印するだけで簡単に手続きが完了します。

一方、フリーランス(個人事業主)が差額を調整する方法は、確定申告です。後述しますが、確定申告はとても面倒で、大変な作業です。このコラムを書いているのは2021年12月ですが、私は今年分の確定申告を来年3月頃に提出するための準備を全くしていない状態で、非常に焦っています…。

源泉徴収のために必要な毎月の作業

ここまで源泉徴収とは何か、どういったものが対象となるのかなどをお話してきましたが、源泉徴収をするために、具体的にどういった作業が必要なのでしょうか。

実は、源泉徴収のために必要な作業はたった1つで、「報酬請求時に10.21%を差し引く」だけです。

たとえば、1万円の記事を執筆した場合、10%を源泉徴収税、0.21%を復興支援税、計10.21%を差し引いた8,979円が報酬として支払われます。毎回10.21%の計算をするのは面倒なイメージがありますが、請求書はたいていエクセルで作成するので、源泉徴収を差し引いた額が請求額となるような計算式を入れておけば、簡単に作成できます。こうして、毎月業務委託契約先の企業さまに源泉徴収を差し引いた額をご請求しています。

ちなみに、源泉徴収した分の差額は確定申告で調整されるといいましたが、少し前までは確定申告書類とともに、源泉徴収票も添付する必要がありました。

私のところにも年末になると、業務委託契約先の企業さまから源泉徴収票が送付されてきていましたが、昨年は届かないものもありました。

不安になり調べてみると、2019年4月1日以降の提出時には、源泉徴収票の添付が不要になったとのことで…。この情報を信じ、2020年分の確定申告書類提出時には源泉徴収票なしで提出をしましたが、問題なく受理され、差額もきちんと戻ってきましたよ。

源泉徴収よりも大変なのは確定申告


源泉徴収、と聞くと小難しいイメージがありますが、実は毎月の作業は非常に簡単なことがわかったかと思います。しかし、源泉徴収よりもフリーランス、個人事業主を悩ませるのは確定申告です。

帳簿の記入から確定申告書類の作成、税務署への提出までの流れは、もう2~3回経験しましたが、年に1度のことなのでまだまだ慣れません。

私は確定申告用のソフトを使用していますが、報酬や経費を帳簿に記入するだけでも膨大な時間がかかります。日々小まめにやっておけばこんなことにはならないのに、と思いつつもどうしてもライティング業務を優先してしまうため、この時期には領収書も山になるほど溜まっており、見るだけでうんざりしてしまいます。

ただ、ソフトの使用は、月ごとに領収書の記入をしなくても自動的に日付順に並べてくれたり、手順に沿って必要事項を記入すれば提出用の書類が完成したりというメリットもあります。確定申告に使用しているソフトは有料ですが、ゼロからすべて自身で行うより負担も少なく、時間もはるかに短縮できるため、導入してよかったと思っています。

源泉徴収はちょっとお得な気分を味わえる?

源泉徴収で納税額が足りない場合、差額を支払わなければなりませんが、多く払っている場合にはその分が払い戻されます。私は後者のタイプなので、確定申告後には数万円が振り込まれます。

給与から差し引かれたお金なので、もともと私自身が稼いだお金なのですが…時間差で還付金がもらえると「不労所得を得た」ようなちょっと得した気分を味わうことができ、毎年嬉しい気持ちになります(笑)。

同じフリーランスの方だけでなく、会社員の方も、給与などによっては年末調整でお金がいくらか戻ってくることがありますが、同じような気持ちになる方もいるのではないでしょうか。

源泉徴収・確定申告は、もちろん個人事業主としてやらなければいけない義務ではありますが、こうしたちょっとした喜びが、複雑で面倒な作業にやる気を持たせてくれるのは事実です。

おわりに

今回は、源泉徴収や確定申告についてのお話をさせていただきました!会社員として長年働かれている方は、こうしたお金の計算は事業主の方がしてくださるのであまり考えることはないかもしれません。しかし、個人で仕事をするとなると、こういったお金の管理も、自身で行う必要があります。

また、会社員の方でも副業である程度稼いだりすると、確定申告をしなければなりません。

個人事業主として自身で何かを始めたい、副業で多く稼ぎたいと思っている方は、源泉徴収や確定申告の必要性や方法なども知っておくとよいかもしれませんね。

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Written by

永野 栄里子

永野 栄里子

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語学校での非常勤講師を経て、2018年よりライター業を開始。さまざまなメディアで記事を手がけながら「田舎の在宅ママライター」として新たな働き方を確立すべく、日々育児に仕事に奮闘中。

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