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AIの急速な進化で起こるシンギュラリティとは?2045年問題への対策とともに解説!

こんにちは、フリーライターの永野です!

「AIが人間に取って代わる」といわれる昨今、幅広いシーンでAIによる成果物を目にします。まだまだ発展途上のものもありますが、その進化は著しく、人工知能の学習能力の高さには驚かされるばかりです。

さまざまなジャンルのAIツールが急速に進歩するなか、「シンギュラリティ」「2045年問題」というワードが注目を集めています。今後、さらにAIが進化を遂げると、私たちの未来はどうなってしまうのでしょうか。

今回は、「シンギュラリティ」「2045年問題」が何なのか、シンギュラリティが私たちにもたらすさまざまな影響について解説します。私たちが取るべき対策や解決策などにも触れていますので、ぜひご一読いただき将来に向けた行動を起こすきっかけにしていただければ幸いです。

シンギュラリティの定義


まずは、シンギュラリティの定義から確認しましょう。シンギュラリティ(singularity)は「特異点」を意味する英単語です。AIが人類の知能を超える、「技術的特異点」を指し、この転換期が私たちの生活に大きな変化をもたらすという概念をいいます。

シンギュラリティは、最近生まれた概念ではありません。1980年代、いまから40年ほど前からAI研究家たちが上記の転換期を指すために「シンギュラリティ」という言葉を使い始めました。

昨今「シンギュラリティ」という言葉が注目を集めているのは、アメリカの発明家、レイ・カーツワイル氏の定義があったからです。レイ・カーツワイル氏は「人工知能が人間の知能と融合する時点」を「シンギュラリティ」とし、AIが人と融和するように進化していく可能性を指摘しています。

ちなみに、AIが人類と同等の知能を持つと、そこを起点にAIはさらに進化の速度を上げるとも予想されており、シンギュラリティが起これば、AIと私たちの関係も現在とは異なる形に変化していくことは避けられないでしょう。

AIが人間を超える?2045年問題とは


前述のレイ・カーツワイル氏は、AIシンギュラリティが起こるのは2045年だと予測しています。これを「2045年問題」といいます。これは「人工知能が自分よりも賢い人工知能を生み出す」タイミングを指しており、AIが人間と同等、それ以上の知能に到達するのはもっと早い2029年頃と予測しています。

重要なシンギュラリティが2045年に起こると予測した根拠は、「ムーアの法則」を基盤にした「収穫加速の法則」です。まず、「ムーアの法則」とは1965年にアメリカの物理学者であるゴードン・ムーア氏によるものです。これは「半導体回路の集積密度は1年半から2年で2倍」というもので、ムーアの法則が正しいとすれば、人工知能が私たちの能力を超えることはほぼ確実になります。しかし、半導体の集積密度の向上には限界があるともいわれており、この法則が現実的ではないという指摘もあります。

一方で、ムーアの法則はテクノロジー全般に適用できるという考え方もされており、レイ・カーツワイル氏がこの法則をあらゆる進化プロセスに当てはめました。結果、新たな発明は別の発明とつながり、次の発明の助けとなることで創造スピードが加速するという、「収穫加速の法則」が生まれ、2045年問題の予測に行き着いたと考えられます。

2045年問題でAIが人間にもたらす影響


2045年に、レイ・カーツワイル氏が予測したようなシンギュラリティが起こった場合、私たちにはどのような影響があるのでしょうか。大きな変化は、次の2点だといわれています。

■失業者が多く生まれる

「AIの進化とライターの今後」というテーマでコラムも書かせていただきましたが、シンギュラリティにより私たちがこれまで当たり前に行ってきた業務を、進化したAIが担う時代が来ると予想されています。ある研究によると、2025年から2035年のあいだに、日本の労働人口の約49%が就く職業は、技術的にAIが代替することが可能だといわれています。これが現実になれば、大量の失業者が生まれることになるでしょう。たとえば、事務や受付、建設作業、自動車組み立て、データ入力、運転、レジ打ち、清掃などは、代替可能な職種に含まれます。

一方、デザインなどのクリエイター職や研究開発のように抽象的な内容を扱うものや、医師、看護師、教師、保育士、カウンセラーなど、ミュニケーションを通して相手を理解する、ときに説得しなければならないサービスは、AIの代替が難しいようです。

■人体の部分的な人工化

AIがさらなる進歩を遂げれば、人体の一部を人工化することもできると予想されています。脳や臓器の仕組みや働きがすべて解明されれば、AIにより高度な技術が実現し、インターネットと脳を接続する、人工臓器で命をつなぎ止めるということも、実現するかもしれません。

本当に人体の人工化ができるようになれば、使えなくなった臓器を都度取り替えられるようになり、絶対に不可能だといわれている「不老不死」が可能になることも考えられます。臓器の不調だけでなく、認知症などの症状も健康な脳をデジタルコピーすれば「回避できる病気」として取り扱われるようになるでしょう。

シンギュラリティは起こらないという専門家も


2045年問題としてシンギュラリティを深刻視する専門家もいる一方で、もちろん否定派の意見を持つ専門家も存在します。「AI自体が目標や欲求を持たないため、AIの能力はあくまでも人間のためのものでしかない」とその理由を挙げており、AIに自我が無いことを指摘しています。

また、ディープラーニングの解析ができないこと、ある事象についての正当な判断ができたかどうか分からない、正当に実現できなかった場合の理由が分からないという観点からも、シンギュラリティは起こらないと考える専門家も。

AIは膨大なデータから法則を見つけ出したり、繰り返したりすることで学習します。現状、この方法でAIは急速な発展を遂げているものの、これをどこまで繰り返せば私たちと同等、もしくはそれ以上の頭脳レベルに到達するのかは判断できません。よって、「そこまでにはならないだろう」と、シンギュラリティ肯定派に反対する専門家もいるようです。

デメリットばかりではない!シンギュラリティがもたらすメリット


シンギュラリティに限らず、未来のことは基本的に予測不可能です。2045年問題は本当に起こるかもしれないし、起こらない可能性もあります。2045年より早まることもあるでしょうし、忘れた頃にやってくるかもしれません。

シンギュラリティによって人間はAIに職業が奪われ、人工知能と生身の私たちは立場逆転する、AIに支配されると脅威を感じる方もいるでしょうが、シンギュラリティによるメリットもあります。

働き口がなくなり困ってしまう方が生まれる反面、企業はさまざまな作業が機械化されれば費用も時間も削減できるので、コスト削減を実現しやすくなるでしょう。作業効率化によって売上アップが見込めれば、「機械を操作するための人員」「機械に指示をする人員」を確保するなどの努力で失業者増加を避けることもでき、雇用主だけでなく被雇用者にとってもメリットがあるといえます。

また、シンギュラリティによって「生活必需品が無料で提供されるようになる」「エネルギー問題が解決する」「戦争がなくなる」という未来を予測している専門家もいます。私たちの身体に直接機械を入れて健康管理ができるようになれば、病気の早期発見・治療もできますし、前述の人工臓器があれば「健康寿命」も延びるでしょう。

AIの進化に対応できるスキルは


2045年問題が起こり、シンギュラリティの影響で多くの方の仕事が奪われる未来が本当に訪れてしまっても、私たちは生きるために働かなければなりません。AIが進化しても代替が難しい職業をいくつか挙げましたが、AIに取って代わられないために役立つスキルには、次のようなものがあります。

1つはコミュニケーションのスキルです。AIは人間のように自我や意思を持っているわけではないので、人と協力する、相手の心を読む、誰かを説得するということはできません。コミュニケーションが欠かせない仕事は、未来でもAIではなく人間がメインに行っていくと予想されますので、スキルをアップさせることはもちろん、コミュニケーションが必須の職業に就くことを検討するのも、1つの方法です。

リーダーシップも、人間ならではのスキルだといえます。チームでプロジェクトを遂行するには、人をまとめ、引っ張る力が求められます。ただ効率的に行うのではなく、メンバーとコミュニケーションを取り、メンタルのケアをすることも、リーダーの仕事の1つです。リーダーシップがあれば、人をまとめる必要のある職場で重宝されるでしょう。

また、AIが文章や画像、動画などを作れるようになってきていますが、完成品は過去のデータを分析してできたもので、独自性はありません。新たな芸術を生み出すクリエイティブな力も、AIに負けないスキルとして役立つと予想できます。

芸術分野だけでなく、さまざまなサービスや商品を生み出す創造力も、シンギュラリティが起こっても活きるスキルの1つです。開発だけでなく、ビジネスにおけるさまざまなシーンでの柔軟性も、AIにはなく人間にはあるスキルの1つだといえます。

2045年問題への対策と解決策


「シンギュラリティ」「2045年問題」という言葉に注目が集まるなか、未来に向けてどのような対策を行えばよいのか、シンギュラリティで起こる問題を解決する方法はないのか、考える方は少なくありません。結論からいうと、具体的な対策や解決策はないといえます。

シンギュラリティについてはまだまだ不確定要素も多く、20数年先の未来がどうなるのかは誰も予想ができないでしょう。よって具体的な対策を編み出しても、それが正しいかどうか、誰も判断できません。

とはいえ、さまざまな「機械化」が進んでいるのも事実。私たちはただそれを「仕方がないことだ」と受け止めるのではなく、前述のような人間にしかないスキルを磨くことで、「人間力の向上」を図る必要があるでしょう。また、「AIに仕事を奪われる」「地位が逆転する」と敵視するのではなく、シンギュラリティ反対派の方がいうように「人間の目標達成の手助けをしてくれるもの」と捉え、共存することも大切だといえます。

おわりに

2045年問題は、AIが「技術的特異点」に到達するシンギュラリティが起こることを定義したものです。AIの進歩は著しく、その恩恵を受けている反面、さらなる成長により「当たり前」が崩れる驚異もあるでしょう。

2045年問題が起こるか、シンギュラリティにより私たちの生活が脅かされるか、メリットに挙げたような明るい未来が訪れるかなどは、誰も予想できません。しかし、未来に立ちはだかる問題を理解し、私たちがいまできることに精一杯取り組むことで、多くの方にとって過ごしやすい2045年が訪れるのではないでしょうか。

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Written by

永野 栄里子

永野 栄里子

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語学校での非常勤講師を経て、2018年よりライター業を開始。さまざまなメディアで記事を手がけながら「田舎の在宅ママライター」として新たな働き方を確立すべく、日々育児に仕事に奮闘中。

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