面接の際に他社の選考状況について質問されることは少なくありません。なぜ企業は他社の選考状況を知りたがるのか、また、どう答えれば好印象につながるのか解説します。例文付きで紹介するので、ぜひ参考にしてください。
他社の選考状況が気になる4つの理由
採用面接の際に、他社の選考状況について尋ねられることがあります。「弊社以外はどこを受けていますか?」「他社ではどこまで採用選考が進んでいますか?」のように質問されるかもしれません。
企業が他社の選考状況を聞きたい理由としては、次の4つが挙げられます。
- 就活生の自社への志望度を知りたい
- 就活生が他社からどう評価されているか知りたい
- 就活生が軸を持って就職活動しているか知りたい
- 他社の選考スケジュールを知りたい
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
1.就活生の自社への志望度を知りたい
他社の選考状況を尋ねた際に、就活生の志望度の高さがわかることがあります。例えば「御社に入りたいと考えて今まで企業研究を進めてきたので、他社には申し込んでいません」と回答するのであれば、面接官は自社への志望度が高いことを理解できるでしょう。
また業界最大手の企業も受けていることがわかれば、「大手企業から内定が出た場合は、採用しても自社には来ないかもしれない」と予想できるかもしれません。そのため自社を選んでくれるのか知りたいときには、他社の選考状況を尋ねることがあります。
2.就活生が他社からどう評価されているか知りたい
選考状況を尋ねることで、就活生が他社からどのような評価を受けているのかわかることがあります。例えば「〇社は二次面接が終わり、来週三次面接があります。△社は重役面接を明後日受けます」のように答えるならば、他社からも高く評価されている人材だとわかるでしょう。
反対に「すでに他社には不採用の通知をいただいております」と答えたときには、他社からはあまり評価されなかったと判断できるかもしれません。就活生に対してどのような評価をしてよいか迷ったときなどには、他社の面接官の判断基準を参考にする意味を込めて、選考状況を尋ねることがあります。
3.就活生が軸を持って就職活動しているか知りたい
就活生がどの企業の採用面接を受けているのか尋ねることで、軸を持って就職活動をしているのか理解できることがあります。
例えば面接を受けている企業が家電メーカーや製薬会社、証券会社のように統一性がないときは、就活生自身がどのような仕事に就きたいのかわかっていない可能性があるでしょう。すべての企業がいわゆる有名企業であるときは、面接官は「したい仕事が決まっているのではなく、とにかく有名な企業に入社したいのだろう」と判断するかもしれません。
4.他社の選考スケジュールを知りたい
他社のスケジュールを参考にするために、就活生に選考状況を尋ねることもあります。例えばまだ一次面接を実施しているのに、就活生が「〇社では三次面接、△社からは内定をいただきました」と答えるならば、自社のスケジュールが他社よりも遅いと判断できるかもしれません。
他社と比べてあまりにも選考スケジュールが遅い場合には、優秀な人材を取り逃してしまう恐れもあります。反対に早すぎる場合には、内定後に辞退されるケースが増えるかもしれません。適度なスピードでスケジュールを進めるためにも、就活生に他社の選考状況を尋ねることがよくあります。
【状況別!例文つき】他社の選考状況の答え方
採用面接時に他社の選考状況について尋ねられたときは、面接官の意図を考慮してから答えるようにしましょう。答え方や答えた内容によっては、採用に響くこともあるので注意が必要です。次の4つのシチュエーションに分けて答え方を解説するので、ぜひ参考にしてください。
- 同業種のみ受けている場合
- 他業種の企業も受けている場合
- 業種に一貫性がない場合
- 内定をもらっている場合
同業種のみ受けている場合
同業種のみに応募している場合は、そのまま答えても問題ありません。面接官は他社の選考状況を尋ねることで、就活生が一貫性を持って就職活動をしているのか判断しようとしています。同業種のみに応募しているのであれば、一貫性があることを証明でき、好印象につながるでしょう。
ただし同業種かつ企業規模も同程度であれば問題はありませんが、質問した企業よりも規模が大きく有名な企業が多い場合は、「採用しても辞退されるかもしれない」という不安を面接官に抱かせるかもしれません。第一希望であるときはしっかりとアピールし、誤解を招かないようにしましょう。例えば次のように答えられます。
鉄鋼について研究していたので、〇社と△社も受けております。現在いずれも、一次選考を通過した状態です。幸運にも採用していただけましたら、ぜひ特殊鋼の分野に強い御社に入社したいと考えております。
他業種の企業も受けている場合
同業種の企業にも応募してはいるものの、異なる業種の企業もいくつか応募しているケースもあるでしょう。そのようなときには同業種の企業のみ答えるほうが、軸を持って就職活動しているイメージにつながります。
なお面接官が「他社の選考状況を教えてください」と尋ねたときは、申し込んだすべての企業について回答する必要はありません。また「どの企業を受けましたか?すべて答えてください」と尋ねたときも、言いたくないことまではすべて答えなくても問題はないでしょう。同業種の〇社と他業種の△社を受けているときは、次のように答えてみてはいかがでしょうか。
〇社を受けました。現在は二次面接の結果待ちです。
業種に一貫性がない場合
業種に一貫性がない場合は、軸を持って就職活動していないと面接官に判断される可能性があります。高い評価にはつながりにくいので、前もって対策を考えておく必要があるでしょう。
まずは受けた企業の共通点を洗い出してみましょう。業種はバラバラでも、「海外進出に力を入れている」「ITの活用で注目を浴びている」などの共通点が見られるかもしれません。次のように答えるなら、一貫性はなくても軸を持って就職活動をしていることをアピールできます。
海外で活躍できる職場を探していたので、御社と〇社、△社に応募いたしました。〇社は二次面接に通過し、来週役員面接です。
どうしても共通点が見つからない企業に関しては、無理に触れる必要はありません。共通点がある企業だけについて触れ、面接官に選考状況を説明しましょう。
内定をもらっている場合
内定をもらっている企業があるときも、素直に答えることで他社から評価されている点をアピールできるでしょう。しかし内定をもらっているのになぜ就職活動を続けているのかと面接官が不思議に思う可能性はあるので、「御社に入社したい」という気持ちを伝える必要があります。
例えば次のように答えれば、第一希望であることを伝えるだけでなく、その企業のどこに魅力を感じているのかも伝えられるでしょう。
〇社からは内定をいただいております。しかし研修制度が充実し、よりスキルアップできる御社で働きたいと考えています。
他社の選考状況を答えるときの注意点
他社における選考状況を尋ねられたときは、次の5つのポイントに留意して答えましょう。
- 就職しない可能性があるときは正直に伝える
- 答えにくい企業については言わない
- 全落ちなどの好ましくない状況も言わない
- 第一志望だと強調する
- 嘘をつかない
それぞれどのように注意できるのか、具体例を紹介しながら解説します。
就職しない可能性があるときは正直に伝える
進学や留学などで就職しないケースが想定されるときは、正直に伝えましょう。とはいえ単に「採用をいただいても就職しない可能性があります」というのは、おすすめできません。なぜ就職しないかもと考えながら就職活動をしているのか、面接官は不審に思う可能性があるからです。
就職しないケースが想定される理由、また、就職しないケースが想定されるにもかかわらず就職活動をしている理由をわかりやすく説明しましょう。例えば次のように説明してみてはいかがでしょうか。
大学院で研究を続けるか、就職して実務を経験するほうを優先するか迷っております。ご迷惑をおかけしますが、自分の中で答えが出るのにまだ時間がかかりそうです。憧れていた御社に就職できるのであれば、実務を優先したいと考えています。
答えにくい企業については言わない
他社における選考状況を尋ねられたときは、嘘をつかずにありのままを答えるのがベストですが、答えにくいと感じられるときは、あえて言わずにおくことも一つの方法です。
例えば大学で金融について学んできたので、銀行や証券会社を受けつつも先端企業にも興味があり、ある世界的有名企業に応募したとします。他の企業とは関連性がなく、企業名だけで応募先を決めているような印象を与える恐れがあるのなら、その世界的有名企業については伏せておくことができるでしょう。
全落ちなどの好ましくない状況も言わない
すでにすべての応募企業から不採用の案内を受け取っている場合には、選考について尋ねられても答える必要はありません。「御社以外は考えていないので、他社は就職先の候補とはしておりません」といえば、嘘をつかず、なおかつ好ましくない状況にも触れずに済みます。
またあまりにも時間が経っているので不採用の可能性が高いと考えられる場合でも、まだ正式に結果を受け取っていないのであれば、次のように答えましょう。
〇社は第一選考の結果待ちです。
待っている状況を正直に伝えることで、全落ちではないとほのめかせるでしょう。どのような場合も、嘘をつかずに、なおかつ不利な発言とならないように工夫します。
第一志望だと強調する
他社における選考状況を尋ねられたときは、状況を簡潔に答えるのはもちろんのこと、「御社が第一志望だ」ということも強調しましょう。
特に他社から内定を受け取っているときや、その企業よりも有名企業、大企業の選考にも申し込んだときは注意が必要です。御社が第一志望だと強調しないと、面接官は「仮に採用しても辞退するのでは?」と不安に感じるかもしれません。
嘘をつかない
些細なことでも嘘をつかないことが大切です。嘘をつくと話す内容に矛盾が生じ、何を話しても信頼してもらえなくなる恐れがあります。
答えたくない質問を受けたときも、嘘をつくのではなく回避するように心掛けましょう。また、回避したときは矛盾が生じないように注意することもポイントです。
例えば全落ちしたときは「御社以外は就職先の候補に考えておりません」と答えれば、嘘をつかずに乗り切れます。しかし、他の質問に答える際に、別の企業への応募がわかるようなことを言ってしまえば、面接官に「嘘をついたのでは?」と判断される恐れがあるでしょう。自分が言った言葉を正確に記憶し、矛盾が生じないように工夫することが重要です。
他社を受けていない場合はどうする?
他社を受けていないときは、正直に「他社は受けていません」と答えましょう。一社だけを受けることは、採用面接において不利になる状況ではありません。「御社だけを希望しているので」あるいは「御社以外を考えたことがないので」と理由を付け加えるなら、好印象を与えることも可能です。
ただし「もし弊社が採用しない場合はどうするのですか?」と質問される可能性はあります。そのような場合に備えて、納得できる答えを用意しておくとよいでしょう。例えば「大学院に進学し、2年後もう一度挑戦します」なども、真剣さが伝わる回答です。
スムーズに答えられるように準備しておこう
他社の選考状況について尋ねる企業は少なくありません。正直に嘘をつかずに答えることが大切ですが、答え方や内容によっては採用面接に不利になる恐れがあります。特に全落ちしているときや応募先に一貫性がないとき、就職するかどうか迷っているときなどは注意が必要です。嘘をつかずに好印象を与えるためにも、前もって準備をしておくようにしましょう。
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