
新卒入社の社員が、あらゆる原因によって「仕事が辛い」と感じてしまうケースは多々あります。環境が大きく変わり、慣れない職場で初めて仕事をする場合は、特段トラブルがなくとも、精神的に大きなストレスを感じるでしょう。
本記事では、新卒で仕事が辛いと感じる要因や対処法について解説します。
新卒で辛いと感じる原因は?

新たに入社した社員が業務において辛い思いを抱えることは、珍しいことではありません。とくに20代の新卒者はまだ経験が浅く、辛さやしんどさを感じやすい傾向があります。
それではなぜ、仕事を辛いと感じてしまうのでしょうか。本章ではまず、新卒入社の方々が、仕事を辛いと感じてしまう要因(原因)について考えてみましょう。
理想と現実がかけ離れていた
働き始めてみると、予想していた理想と現実のギャップによって、辛さを感じる人もいます。業務を始める前後のギャップとして、一般的なものは以下の3つです。
1. 働き方の違い
2. 業務内容の違い
3. 評価制度の違い
自分が予想していたよりもハードな働き方によって、疲れ果ててしまうケースです。仕事中にミスをしたり、自分の理想と現実の違いに失望したりすることもあります。
また、望んでいた職場とは異なる部署に配置され、理想とする仕事ができないことや、自分の能力と業務内容が合っていないと感じることもあるようです。
さらに、仕事に対する評価や給与、待遇に納得がいかないことからモチベーションが低下する場合もあります。これらの要素が原因で、辛さを感じることもあるかもしれません。
仕事量が増えた
入社してから約9か月が経つと、業務量が増えるだけでなく、仕事に対する責任も一層重くなることがあります。少しずつ成長しているとはいえ、いまだに慣れていない業務も多くあり、多くの人がプレッシャーを感じるでしょう。
増えた仕事にうまく対処できず、忙しさが増して心身の負担も重くなっていきます。また、新しいメンバーが入ってくる時期に近づいており、先輩としてのプレッシャーも感じることもあります。
同期と比べてしまい劣等感がある
研修を終えて実務に入ると、同期との間に差が生まれやすくなることはあります。同じ時期に入社したのに、成果や評価に差が出てきて、仕事に対して居心地の悪さを感じるためです。
差を感じて焦ると、周囲の評価に気を遣い自信を失い、仕事が苦痛に感じられることがあります。
ただし、これは個人の能力だけに問題があるわけではありません。教育担当者の指導や、サポートの違いによって習熟度に差が出ることもあるため、自分自身が劣っているというわけではありません。
また、仕事が自分に適していないために、成果を出せずに不安を感じる人もいます。
職場の雰囲気が合わない
新入社員が、職場の環境にストレスを感じるケースは少なくありません。同僚や先輩社員との相性が悪く、質問ができない状況や年功序列制度などによって、自分の能力を発揮できないと感じる声が多く寄せられます。
さらに、仕事後の飲み会への強制参加や適切な教育体制の欠如により、仕事の習得が困難だという不満も多く聞かれます。上司や先輩方の「ノリ」についていけないと感じてしまったことから、仕事そのものも辛いと感じてしまうこともあるかもしれません。
就活相談をご希望の方はこちら新卒で辛いと感じるとき〜仕事編〜

仕事をしていくなかで、具体的に辛いと感じるのはどのようなシチュエーションなのでしょうか。本章では、新卒社員が仕事辛いと感じてしまうシーンとして、以下の5つを紹介していきます。
1. 仕事内容が思っていたものと違ったとき
2. 顧客にうまく対応できないとき
3. ビジネスマナーで失敗したとき
4. 仕事でミスを重ねたとき
5. 残業が続くとき
仕事内容が思っていたものと違ったとき
多くの人が、卒業前に描いた仕事のイメージと実際の経験を比べると、その間にギャップを感じて辛さを抱えることがあります。
入社前はワクワクしていたものの、実際に働き始めると理想と現実のギャップによる辛さを感じてしまうことがあるでしょう。
たとえば、以下のようなことがあげられます。
● 研究開発の仕事を期待していたが、事務職に配属されてしまった
● 定時に帰れると聞いていたが、実際には先輩・上司が毎日残業している
● 日勤のみで働けると思っていたが、実際は夜勤もある
説明会では派手な仕事や大きなプロジェクトが紹介されるため、入社前には「私もこの会社で素晴らしい成果を上げたい」と期待します。
しかし、理想通りの仕事に就けるのはごく一部の人だけです。イメージだけが膨らみ続けると、抱いていた理想と現実のギャップによって仕事が辛く感じられるのは自然のことです。
顧客にうまく対応できないとき
社会に出て働き始めると、思っていた以上に顧客からの要求が多いことに気づくことがあります。もちろん、業務範囲内の要求には当然対応しなくてはいけません。
しかし、時には明らかに理不尽な要求や筋違いなクレームにも、しっかりと対応しなければならない職場も存在します。納得のいかない状況に我慢を強いられると、社会人としての厳しさを感じ、辛い気持ちになってしまうこともあるでしょう。
ビジネスマナーで失敗したとき
社会に入るまで、ビジネスマナーに触れる機会がなかった人にとって、ビジネスマナーは初めて出会う文化です。名刺の交換や席の座り方、言葉遣いなど、学生時代に教わったわけではないのに、急に必要なスキルとして現れることに戸惑う人も少なくありません。
たとえ新卒社員であっても「ビジネスマナー=基本」という認識があります。マナーで失敗してしまうと、「自分は基本もしっかりできない」と自信をなくしてしまうかもしれません。
仕事でミスを重ねたとき
仕事中に頻繁にミスをしてしまい、それが辛さを引き起こすこともあるでしょう。自分のミスが周囲にも影響を及ぼしてしまった場合、会社にいくこと自体が辛くなるほどの感情になることもあります。
まだ新卒であり、仕事を完璧に覚えていないのは当然のことですが、責任感の強い人は自分自身を責めがちです。自己批判的な性格の場合、仕事がますます辛く感じられることにつながるでしょう。
また、職場の先輩や上司によっては、直接的にあなたに責任を押しつけられることもあります。先輩や上司から、以下のようなことをいわれて、自信をなくしてしまうケースも珍しくありません。
● なぜそのようなミスをしたのか
● なぜ確認しなかったのか
● いつになったら覚えるのか
なかには、あなたがまだ一人前でないことを理解していても、厳しくあなたに接する社員もいます。このような状況が続くと、「自分には向いていない仕事なのかもしれない」と感じることもあるでしょう。
残業が続くとき
通常よりも多くの残業が発生すると、辛さを感じることがあります。入社前に残業を予想していなかった場合、さらに辛く感じることでしょう。
新卒の場合、会社内の風潮によっては実際に大きな仕事がなくても、先輩や上司が帰宅するまで帰ることが許されないこともあります。
また、新卒から仕事が過多なケースもあるため注意が必要です。仕事の内容や効率的な進め方についても十分に理解していない状態で、多くの仕事が割り振られた場合、結果として残業時間も増えてしまいます。
新卒の1年目から業務量が多く残業も多い場合は、仕事が辛いと感じやすいでしょう。
就活相談をご希望の方はこちら新卒で辛いと感じるとき〜生活編〜

社会人になると、生活そのものが大きく変わることも多くあります。そのため日常生活そのものが辛いと感じてしまうこともあるでしょう。
普段の生活のなかで、具体的に辛いと感じるのはどのようなシチュエーションなのでしょうか。本章では、新卒社員が生活を辛いと感じてしまうケースを、3つ紹介していきます。
1. 給料が思ったより少ない
2. 一人暮らしが予想より大変だと感じる
3. 生活リズムの変化がキツいと感じる
給料が思ったより少ない
初任給の手取りが、予想よりも少ない場合があります。給料は最初に聞いた話とは異なる控除があり、支給額が削減されることもあるためです。
この給料で1か月間、生活を維持しなければならないと考えると、社会の過酷さを再認識することもあります。
また2年目以降は税金が増えるため、さらに手取り額に不満を感じてしまうかもしれません。
一人暮らしが予想より大変だと感じる
社会人になり、一人暮らしを始める人も多いかもしれません。新しい仕事に精一杯でありながら、炊事や洗濯、掃除などの未経験の家事も同時に押し寄せてきて、手に負えなくなることもあるでしょう。
気がつけば部屋が乱雑になり、ゴミ屋敷の一歩手前になっていることに気づき、社会の過酷さに絶望する人もいます。また、生活に必要なものの出費が多いことにも不安を感じるかもしれません。
生活リズムの変化がキツいと感じる
社会に出ると、大学生活とは異なる生活リズムになることがあります。これまで夜更かしや遅起きをしていた人、昼夜逆転の生活を送っていた人は、急に正常なリズムに戻ることで体が順応するのに苦労するかもしれません。
フレックス制度を導入している会社では、出社時間が柔軟になる場合もありますが、そのような会社は全国で約10%程度といわれています。さらにフレックス制度が導入されていたとしても、新卒が遅れて出社するというのはなかなか勇気がいることです。
また、一日の生活リズムだけでなく、一週間のリズムも変化してきます。そのため、慣れない生活に疲れて週末はほとんど寝て過ごすなんてこともあります。
新卒で辛いと感じるのは甘えではない

周囲の人々が上手に仕事をこなしているのに、自分だけができないと考える新卒者は多いかもしれません。
仕事が苦しいというと「甘えだ」という声も聞かれますが、仕事に適応できず苦しいと感じたり、辞めてしまいたいと思ったりすることは決して甘えではありません。繁忙期や一人暮らしの孤独さを感じるときなど、ますます辛く感じることもあるでしょう。
仕事が合っていないだけで、それは本人の能力の問題ではないことも多いです。よくいわれるように、「3年続けなければ意味がない」とは限りません。
仕事が合わないなら早めに判断する方が、賢明な場合もあります。そのため、3年間我慢するという考え方は、必ずしも正しいとはいえません。
実際に早期退職を目指す新人は多く存在し、厚生労働省の離職率(大卒者)の調査によれば、入社から1年以内で11.9%、2年以内で22.3%、3年以内で31.8%という結果が出ています。
参考:厚生労働省「新規大卒就職者の離職状況」
就活相談をご希望の方はこちらどうしても仕事が辛いときの対処法

仕事があまりにも辛くて、退職を検討している人もいるかもしれません。退職は確かに選択肢の1つですが、それよりも前に試せる方法があります。
以下では、新卒者が早期退職を考える前に取り組める対処法として、以下の7つを紹介するため参考にしてください。
1. 社会人1年目だから仕方ないと考える
2. 自己研鑽する
3. 今の気持ちを整理する
4. 体を動かす
5. 相談する
6. 楽しい活動を見つける
7. 仕事を休む
社会人1年目だから仕方ないと考える
先輩と比較して自分が劣っていることは当然で、今は知識と経験を積み重ねる時期だと捉えましょう。
学校を卒業して働けば社会人として認められますが、まだ新人としての位置づけです。そのため、先輩と比べて仕事ができないのは当然のことです。
新卒時代は、研修や実務経験を通じて、業務に必要な知識を獲得していく時期です。経験が少ないことは避けられないものであり、それに対して嘆く必要はありません。
業務の知識はもちろんですが、社会人としてのマナーやスキルの習得も早いうちに目指しましょう。
自己研鑽する
資格の勉強やビジネス本の読書など、自己研鑽をして自信をつけることもおすすめです。仕事について自信を持てずに戸惑っている場合は、自己啓発に取り組むことがよいでしょう。
たとえばビジネス書を読んで知識を得たり、資格を取得するために勉強したり、または筋トレを行うなど、業務に直接関係しないような活動でも構いません。
自信がつくと、仕事へのアプローチも変わってきます。自分が稼いだお金や時間をどう使うかを考えながら実践することが重要です。通勤電車のなかなど、時間の隙間を活用してみるとよいでしょう。
今の気持ちを整理する
辛さを感じているからといって、感情的に行動するのは避けましょう。まずは辛さの原因をノートなどに書き出し、解決策があるかどうかを考えてみます。ただし、感情だけでなく、具体的な事実を書くことが重要です。
同時に、入社してからの経験や成長した点、まだ克服できていない課題を整理しましょう。自分の成し遂げたことが明確になると自信を持つことができ、取り組むべき課題も見えてきます。
また早期退職して、転職することのメリットとデメリットを比較しておくことも重要です。デメリットが大きい場合は、急いで離職する必要はないかもしれません。
体を動かす
運動によって気分をリフレッシュさせられるため、辛い気持ちも少し楽になります。
運動が心に及ぼす影響は、以下のものです。
● セロトニンの分泌が増え、幸福を感じやすくなる
● 交感神経が活性化し、ポジティブな気分になりやすくなる
● エンドルフィンの分泌が促進され、ストレスが軽減される
ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの一定のリズムで体を動かす有酸素運動がおすすめです。たった20分の運動でも、ストレスやうつ病のリスクは軽減される効果があります。
相談する
悩みがある場合は、一人で抱え込まずに誰かに相談することをおすすめします。身近な人に悩みを打ち明けるだけでも、心の負担が軽くなることに驚くでしょう。
第三者から客観的なアドバイスを受けることで、辛い原因の解決策を見つけられます。尊敬できる上司や先輩に相談すると、彼らからアドバイスをもらえるかもしれません。
相談相手によって得られるアドバイスも異なるため、あなたの悩みに合った人を選ぶことが重要です。
楽しい活動を見つける
仕事から離れて、没頭できる趣味を見つけることも重要です。なぜなら、帰宅後や休日にも仕事のことを考え続けると、リラックスできないためです。
週末に十分にリラックスできなければ、仕事の疲れが残ったままです。疲れた状態で連日働くことは、なおさら辛いと感じるものです。
週末には、以下にあげるいくつかのおすすめ趣味を試してみてください。
● 料理を楽しむ
● ジョギングなどの運動をする
● 自然を感じるアウトドア活動
もちろん、のんびりとリラックスした時間を過ごすのもよいですが、何らかの行動を伴う趣味を取り入れるのがおすすめ。仕事と休息のバランスがとれた生活を送ることで、心をリフレッシュしやすくなります。
仕事を休む
もし仕事が辛いと感じる場合は、休職を考えてみましょう。心と身体が疲れていると、些細なことでも落ち込みやすい状態になってしまいます。
とくに責任感が強い人は、無自覚に過度に頑張りすぎてしまい、自分を追い詰める傾向があります。辛さを抱えたまま我慢しすぎると、心の健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意しなければなりません。
新卒で辛いなら原因を把握して対処しよう

新卒で働き始めた方にとって、辛さを感じることは自然なことです。日々の業務を確実にこなし、先輩や上司からの学びを通じて、少しずつその辛さを和らげられます。
ただし、職場環境が合わないなど、辛い状況が改善されない場合は、離職や転職を検討することも必要かもしれません。
ハレダスでは転職にまつわる、さまざまな情報を発信しています。現在の職場を辛いと感じた場合は、思い切って転職を考えてみるのもおすすめです。
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