
2020年秋に開業し、感度の高い若者やファッション好きの注目を集めている心斎橋パルコ。地下2階「心斎橋ネオン食堂街」でひときわ人気のお店が「スペインバル massa」です。
20種類から選べる大人気のパエリアをはじめとした料理と厳選されたスペイン産ワインが揃うこのお店で店長を務めているのが、株式会社エムアンドエムフーズでマネージャーを務めている稲場正明さん。
活気にあふれた店を取り仕切る稲場さんに、飲食店で働く喜びや醍醐味について聞きました。
5年後、10年後を見据えて手に職を 洋菓子店での修行の日々

1986年、東大阪市に生まれた稲場さんは、地元の進学校へ進学。周囲の友人たちが大学へと進路を進める中、稲場さんは通信制の大学を選びます。しかし「家でじっと勉強だけするのは違うなぁ」と考え、別の道を模索し始めます。
自分の将来を考えた時に、5年後10年後、その先の20年後になっても大学に通っている同級生たちに負けたくないという強い気持ちがありました。
とにかく自分は“手に職をつける”ということを考えて。10代の後半でオシャレにも興味があって、モテたいという気持ちもあったので(笑)、アパレル系や美容師を考えたりもしました。
そんな時に、頭に浮かんだのが学生時代にアルバイトをしていた焼肉店のことで、飲食店で働くのって楽しかったなぁと。さらに考えていくと、自分が居心地いいと感じられる雰囲気やくつろげる空気感を飲食店で形にできるのは、カフェなのかなぁと思うようになりました。
そう考えた稲場さんは、カフェサービスを学ぶ専門学校への進学を決意。入学資金を貯めるために地元の洋菓子店でアルバイトを始めます。
アルバイトをすることなった洋菓子店は喫茶スペースも併設されていたので、ケーキの販売から軽食やパフェを作らせてもらったり。慣れてくると焼き菓子やケーキ用のスポンジも作らせてもらいました。
自分自身、ケーキを作るのが好きになってきましたし、お店の方から社員に誘われたりもしたんですが、やっぱりカフェサービスの勉強をしっかりしたかったので、入学資金が貯まったところで洋菓子店をやめて、専門学校へ進みました。
専門学校へ入学 運命的な出会いを経て店舗研修へ

カフェサービスの専門学校へ進んだ稲場さんは、そこでカフェで提供するようなドリンクや料理をはじめコーヒーのバリスタやカラーコーディネートの勉強をすことになります。1年制の専門学校では、実際に営業している店舗で働く研修もあったそう。
学校には研修に対応してくれる店舗のリストがあるんですけど、僕の中でピンとくるお店がなくて…。
そんなある日、友人と食事に出かけた稲場さんは、1軒のイタリアンバルに入ります。
専門学校で知り合った同い年の友だちがいたんですけど、彼の自宅から学校までの通学ルートに、いつも行列ができているイタリアンバルがあったんです。
ある日、友だちとその店に入って食事をしていたら隣のテーブルにいたお客さんが、席に携帯を忘れたまま帰られてしまって。本当に何気なく携帯を手にとって、そのお客さんを追いかけて「忘れてますよ〜」って届けたんです。
そのまま戻って食事をしようとした稲場さんにお店の方は「すみません、ありがとうございます」と挨拶をしたそう。しかしお店からのお礼はそれだけに留まらなかったよう。
食後に大きなフルーツ盛りを「召し上がってください」って持ってきてくださったんです。僕と友だちはその心遣いにすごく感動して。
研修先の店舗選びを悩んでいた稲場さんは、早速学校の先生にこのイタリアンバルで研修がしたいと相談。話はトントン拍子に進み、翌週からそのお店で研修をスタートすることになりました。
お店の方も僕のことを覚えてくれていたようで、快く研修も受け入れてくださいました。研修は2週間〜1ヶ月程度お店で働く予定だったんですが、研修2日目にお店の方から「社員にならないか?」と声をかけていただきました。
気遣いができる人柄や行動力が認められ、入社の誘いまで受けた稲場さん。専門学校卒業後には、正式にイタリアンバルのスタッフとして入社することになったのでした。
【スペインバルmassa 心斎橋店】 のお仕事に応募する飲食業を続けることの葛藤と現在の会社への転職

ドラマチックなエピソードを経て、イタリアンバルのスタッフとして飲食業界でのキャリアをスタートさせた稲場さん。経験を重ねる中で、店長を任されるようにもなりました。
お仕事をしていて感じたのは、お店が常に活気があるんですよね。スタッフが“お客様に喜んでもらうこと”を常に意識していて明るく楽しく働いている。活気にあふれたお店づくりというのが僕の理想になりましたし、すごく勉強になりました。
飲食業の楽しさや接客で得られる喜びを感じる一方で、稲場さんはある悩みに直面することに。
飲食店で働くことが楽しいのは間違いないんですけど、どうしても当時は休みが少なくて、勤務時間も長くなりがちで。その時、交際していた女性との結婚も意識する中で、飲食業を続けていてもいいのかという葛藤があって、結果お店を辞めることにしたんです。
転職を決意した稲場さんは、飲食業以外の職業を模索。飲食業から離れようと様々な仕事の面接を受けますが、その度に飲食店での充実した日々が脳裏をよぎります。
辞めたことで改めて飲食店の魅力を意識することになって。やっぱり自分は飲食業界を離れるのは無理だなと考えて、再び飲食業界への就職活動を始めることになりました。
やる以上はいずれ自分の店を出したい。接客には自信があった稲場さんは、料理の腕をさらに磨くために、ミシュランガイドにも掲載された和食店への就職を決めます。そんなある日…。
イタリアンバルで働いている時から、僕のことを気にかけてくれていた方がいたのですが、その方にイタリアンバルを辞めることと、和食店への転職を伝えるために挨拶に伺いました。
その時に、「スペインバルを経営している社長と知り合いだから会ってみない?」と声をかけていただきました。就職も決まっていたのですが、これも何かの縁だと思って、会ってみようと。その時に会った“スペインバルを経営している社長”というのが、今の会社の社長だったんです。
ひょんなことから株式会社エムアンドエムフーズの大橋正伸社長と会うことになった稲場さん。
最初は「話だけでも聞いてみよう」という気持ちだった稲場さんでしたが、大橋社長から「得意分野の接客をどんどん伸ばした方が良いのでは?」というアドバイスをもらったことや、何よりも大橋社長の人を引っ張っていく力に魅了されたことから、和食店への転職を辞退し、株式会社エムアンドエムフーズへの入社を決めたのでした。
【スペインバルmassa 心斎橋店】 のお仕事に応募するマネージャーとして目指すのは明るく楽しい活気にあふれたお店

心機一転、スペインバルmassaの店長として働くことになった稲場さん。大阪・難波にあった店舗を経て、心斎橋パルコオープン以降は心斎橋ネオン食堂街内の店舗で店長を勤めています。
そんな稲場さんが大切にしているのは「自分がお客さんとして、どういう店に行きたいか?」という視点。
僕がまた行きたいなと思える店というのは、スタッフが明るくて、楽しい空気感があるお店。仕事帰りや買い物帰りに思わずフラッと寄ってみたくなるアットホームな店に行きたいなって僕は思うんです。自分が働く店はそういう店にしたいという理想が常にあるので、うちで働いているスタッフのみんなにも、僕の理想は共有しています。
スタッフに活気があって楽しく働いている環境を作るためには、リーダーの気分に波があったらダメですよね。人を引っ張る立場の人間が笑顔で楽しく働いてなかったら、スタッフも笑顔が出せなかったり、縮こまってしまったりします。だからお店では自分が一番笑顔で元気を貫いていますね。
インタビューを終えて
インタビューの間も、終始穏やかな雰囲気と柔らかい笑顔でこちらの質問に答えてくれた稲場さん。そんな彼の人柄が、様々な縁を生んで、現在の店長職へと導いているように思います。
インタビューの最後、稲場さんは「自分だけの目線じゃなくて、常にお客様の目線で考えて行動することが大事だと思っています。それは接客に限らずアルバイトの皆さんの育成もそうだと思っています。相手の立場に立って行動・指導するのが一番ですよね。」と語ってくれました。
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