転職をするにあたり、次が決まる前に退職した場合や転職先に入社する前に休む期間が欲しい場合など、なんらかの理由で新しい会社に入社するまで「空白期間」ができることがあります。
今回は、そんな空白期間ができた場合の年金の納付はどうするのか?というところから、年金の切り替えについてお話していきます。
厚生年金・国民年金について
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の全ての人が年金を納めなければいけないという義務があります。
会社で雇用されている場合は「厚生年金」に加入し、それ以外の自営業やフリーランス、無職の人などは「国民年金」に加入し納めます。
年金の計算は月単位で行い、その月の翌月末までに納付する決まりになっているので覚えておきましょう。
また、年金の未納期間があると、将来に受け取る年金の額が少なくなったり、遺族年金や障害年金を受け取れなくなってしまうという可能性もあるので注意が必要です。そのため、年金はしっかり納めるようにしましょう。
【状況別】転職時の年金はどうなる?
退職した日の翌日に、厚生年金から抜けることになります。
そのため、転職したときに空白期間ができてしまった場合には一旦、国民年金への切り替えが必要な場合があります。
ここからは、転職時の状況別に年金の切り替えが必要かどうかのお話をしていきます。
【パターン1】退職した翌日から転職先で働く場合
前の会社を退職した翌日から転職先で働く場合はどうでしょうか。
例1:
3月19日に退職後、3月20日に転職先に入社する場合
退職した翌日から転職先に入社するので、この場合は空白期間がなく国民年金に切り替える必要はありません。
3月分の年金は「転職先の給与から控除」されることになります。
例2:
3月31日に退職後、4月1日に転職先に入社する場合
こちらも空白期間がないので、年金の切り替えの必要はありません。
3月分の年金は「前の会社の給与から控除」されることになります。
ただ、年金は翌月の納付になること、月末に在籍していた会社から控除されることになるので、それらを踏まえると月末に退職する場合は2ヵ月分の年金がまとめて前の会社の給与から控除されるので注意しましょう。(例の場合は2月分と3月分)
【パターン2】転職先に入社するまで空白期間ができる場合
転職先に入社するまでに、空白期間ができてしまう場合を見てみましょう。
例1:
3月5日に退職後、3月30日に転職先に入社する場合
転職先に入社するまでに空白期間ができるため、一旦は国民年金に切り替える必要があります。
ただ、厚生年金は月末に在籍している会社(例の場合は転職先の会社)が納付するため、年金を自分で納付する必要はありません。
切り替えは必要になるものの、自分で納付しなくてもいいパターンです。
例2:
3月15日に退職後、4月1日に転職先に入社する場合
こちらも空白期間ができるので、国民年金に切り替える必要があります。
そして、月末に会社に所属していないため、3月分の年金は国民年金として納付しなければなりませんので注意してください。
【パターン3】次の転職先が決まるまで、配偶者の扶養に入る場合
配偶者が会社員をしている場合、転職先が決まるまでは配偶者の扶養に入るという場合もあるかもしれません。
もしくは、扶養内でパートで働くという場合もあるでしょう。
それらの場合は、退職後に配偶者の会社で手続きをしてもらう必要があるので、覚えておいてください。
【パターン4】企業に入社するのではなく、自営業やフリーランスになる場合
転職して別の会社に入社するのではなく、自営業やフリーランスになる場合は国民年金に切り替える必要があります。
また、自営業やフリーランスでいる間は厚生年金に加入できないので、自分で年金納付しなければなりませんので覚えておきましょう。
年金の空白期間についての注意点
状況別に転職時の年金の切り替えについてお話してきました。
ここからは、転職時の年金の空白期間についての注意点についてお話していきます。
主に3つの注意点があるので見ていきましょう。
配偶者を扶養している場合
転職したときに空白期間ができる場合は、国民年金に切り替える必要があるとお話しました。
会社を退職した翌日から、退職した本人だけでなく配偶者を扶養している場合は配偶者も厚生年金を抜けてしまいます。
そのため、配偶者を扶養している場合、配偶者も国民年金への切り替えが必要になります。
そして新しい会社に入社した後に、その会社で厚生年金に加入するようにしましょう。
年金の切り替えを忘れて未納期間ができてしまった場合
もし、厚生年金から国民年金への切り替えを忘れてしまい、未納期間ができてしまった場合はどうなるのでしょうか。
国民年金を未納してしまっても2年以内ならば、納めることが可能です。
また、未納期間があった場合は日本年金機構からのお知らせのハガキが届きますので、そのタイミング気づくこともあるでしょう。
後になって未納期間があったことに気づいても慌てることはありません。
気づいたら、できる限り早く年金事務所に相談することをおススメします。
年金事務所は全国にありますし、電話相談も可能なのでぜひ利用しましょう。
「免除(猶予)」を使っても過去10年分まで追納できる
退職して、すぐに転職先に入社するのが理想ではあります。
もし、そうではなく長期で空白期間ができてしまう場合は、収入が減ってしまうので年金を納めることが難しいという人もいるかもしれません。
そのような人のための制度として、年金の「免除(猶予)」といったものがあります。
これは、条件に応じて申請することができ、一定期間は年金を納付しなくてもいいという制度。この期間に納付しなくても未納にはなりません。
免除される額は経済状況によって以下の4つに分かれます。
・全額
・半額
・4分の3
・4分の1
ただ、この制度を使うと将来受け取る年金の額が減ってしまうので注意が必要です。
免除・猶予された年金は10年以内であれば、追納とって後から納めることができるので覚えておきましょう。
収入に余裕ができたタイミングで、追納するのがおススメです。
年金の切り替え方
それでは次に、年金の切り替え方についてお話していきます。
年金の切り替えに必要なもの
年金の切り替えに必要なものは以下の4つになります。
・年金手帳、もしくは基礎年金番号通知書
・身分証(運転免許証、保険証、マイナンバーカードなど)
・退職を証明できる書類(離職票、退職証明書、健康保険の資格喪失証明書など)
・印鑑
これらは、どれも必ず必要になるので忘れずに準備しておきましょう。
年金の切り替え手順
年金の切り替え手順は以下の通りです。1.退職した会社から離職票(退職証明書、健康保険の資格喪失証明書など)をもらう
2.市役所や役場で国民年金への切り替えをしたいと伝える
3.後日、自宅に国民年金の納付書が送られてくる
退職を証明できる書類がないと切り替えの手続きを進められないので、まずは退職を証明できる書類をもらうところから始めましょう。
年金の切り替えの期間
年金の切り替えの期間は、会社を退職した翌日から14日以内という決まりがあります。この間に国民年金に切り替えを行いましょう。
ただ、14日を過ぎたからといって罰則はありませんが、国民年金の未納期間ができてしまうため、後から納付する必要があります。
まとめ
転職時に空白期間ができてしまう場合は、年金がどうなるかも頭に入れておく必要があります。切り替えを忘れてしまっていても、特に罰則などはありませんが「未納期間」ができてしまい、結局後から納付しなければならないので注意が必要です。
もし、収入の関係で納付が難しい場合は、免除の制度もあるのでぜひ活用しましょう。