就職活動を行う皆様が様々な就職先、業界業種を調べ検討する中で、少なからずNPO法人というものを目にすることがあるのではないでしょうか。
またNPO法人を調べるうちに、もしくはNPO法人の事業に興味がわき、NPO法人への就職を希望する方もいると思います。
しかし、NPO法人への就職活動はどのようにアプローチするものか、悩むところですよね。
また、給料面や、昇給面など気になる点もあり、応募しても大丈夫なのかと不安に感じている方もいるでしょう。
今回はそんな方に向けて、NPO法人とは、またNPO法人に就職するための一連の流れを、メリットとデメリットを踏まえて全貌を紹介します。
そもそもNPO法人とは何なのか?
そもそもNPO法人とは一体何なのでしょうか。NPOとは「Non-profit organization」の頭文字を取ったものになりますが、直訳すると「非営利組織」です。
内閣府NPOホームページによりますと、特定の非営利活動を行う団体に法人を与えることで、ボランティア活動をはじめとする自由な社会貢献活動としてを行えるよう、またその活動が健全な発展を促進することを目的に、平成10年12月にNPO法人制度が施行されました。
法人の名の下に取引を行えるようにすることによって、団体、法人に対する信頼性が高まるというメリットが生じます。
ただし、ここで示す「非営利」は社会貢献のために無償で働くという意味ではありません。株式会社と異なり、株主等に利益を分配しないことを指します。
NPO法人で働く従業員の方々は団体の事業拡大のため、あるいは団体全体の目的のために働きますが、きちんと報酬を受け取っているのです。
特定非営利活動法人(NPO法人)制度の概要 | NPOホームページ
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NPO法人=ボランティア団体ではない!?
この記事を読む方の中には、ボランティア活動の経験がある方もいるのではないでしょうか。また「NPO法人=ボランティア団体」というイメージを持ち、過去や学生時代のボランティア活動の経験を活かしたいと考える方もいると思います。
ところがそのイメージは、NPO法人の実態とは多少異なります。確かに無償でボランティア活動を行っているNPO法人も存在するため、そこから「ボランティア=無償奉仕」のイメージを持っている方が多いのかと思われます。
しかし、活動の報酬がNPO法人に支払われるケースも多く、実際にNPO法人の活動を永続的に無償で行うことは不可能です。NPO法人に所属している人達も、生活費は必要だからです。
報酬のない事業ばかりを行っていると、NPO法人がどんな熱いビジョンを掲げていたとしても、事業を継続していくことは困難です。
お金が入ってくる内訳に関してはNPO法人によって様々ですが、国や地方公共団体の事業を委託されることによる報酬や、行政機関からの補助金、寄付金等が主なNPO法人の収入源となり、そこから様々な経費等の費用を差し引いたものから、NPO法人職員の給料として支払いされるケースが一般的です。
また、日本では「ボランティア=無償による奉仕活動」というイメージがありますが、そもそも「ボランティア」には無償という意味は含まれておりません。
「Volunteer」は本来、「自発的に申し出る(動詞)」「有志の、志願の(形容詞)」「志願者(名詞)」という意味を持つ英単語です。ここからも、日本で想像されるような「ボランティア=無償による奉仕活動」は本来の意味と異なることが証明できます。
英語「volunteer」の意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書
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一般企業への就職・転職と分けて考える必要はあるのか?!
利益を上げることを目標とする株式会社、有限会社、合同会社とは異なり、NPO法人は非営利団体法人になります。例え利益が上がったとしても、NPO法人の活動目的を進めていくための費用に充てていかなければなりません。
その為、成果を沢山挙げてその分沢山の給与を貰いたい、成果を認めてもらい早急に昇格・出世したい等の目標を持つ人にはNPO法人をオススメしません。
しかし、NPO法人は社会的使命を達成することを目的としている団体ですので、営利に縛られず、理想に向かって仕事をすることができます。
就職先を決定する際に、自分のやりたい事を仕事にしたい、と考えてはいても、実際にそれを叶えている社会人はそれほど多くはありません。ましてや上記に挙げた民間企業は営利を目的とした集団ですので、夢を追って仕事ができるほど甘い世界ではありません。
また自身の信念とNPO法人の信念に差異が存在すると、周りのNPO法人職員とギャップが生まれることもあります。
NPO法人に所属する職員には、純粋にNPO法人の使命や目的に共感をして、その指名や目的の達成に向けて自身も頑張る、尽力するという思いを持ちながら働くことが求められます。利益を求めない社会的な活動という意味ではボランティアに近くなります。そのため、一般企業への就職・転職とは分けて考えることをオススメいたします。
NPO法人に就職するメリット及びデメリット
ここまではNPO法人に関して説明をしてきました。ここからはNPO法人に就職するメリットとデメリット双方を挙げてみましょう。
NPO法人に就職するメリット
NPO法人に就職するメリットは2点あります。
1つ目は仕事の裁量が大きく与えられることです。
NPO法人は私たちの生活する現代社会の様々な問題を解決すべく日々活動を行なっておりますが、株式会社とは異なり非営利団体のため、人数の少ない少数精鋭の団体がほとんどです。
そのため、経験が浅い段階でも個人の抱える仕事の裁量が大きくなる傾向があります。仕事に慣れるまでの間は大変忙しく、したくないこともいないといけない時が来るかもしれません。
しかしそんな仕事も上手にこなすようになることができれば、その分達成感も大きくなり、成長を感じることができるのではないかと思います。
2つ目は一般企業では得ることができない大きなやりがいがあることです。
上記の内容に少し似ておりますが、前述した通り、NPO法人は利益を出すことを目的としておりません。困っている人や問題に直面している企業、社会の改善や救済を目的に活動しています。
NPO法人の中には「何のために働くのか」という目的意識や法人理念を明確にしている団体が多いため、それぞれの団体が掲げる想いに共感した上で就職することができれば、一般企業で勤めた場合のやりがいと比較すると何倍ものやりがいを得ることができます。
NPO法人に就職するデメリット
上記ではNPO法人に就職するメリットを記述しましたが、反対にNPO法人に就職するデメリットも存在します。こちらはメリットとは異なるベクトルのものになりますが、皆様の今後の人生設計をする上でも大切なことになりますので、しっかりと理解しておきましょう。
1つ目は、キャリアプランを描くのが難しいことです。
どんどん役職をあげたい、給料をあげたい、起業したいなどという点は一般企業と比較して叶いにくいです。また一般企業に転職する際にも、利益を追求する株式会社とNPO法人の間にギャップを感じる可能性があります。
そのため、NPO法人に就職する前に、あらかじめ大まかな自身のキャリアプランを明確にしておくことをオススメします。
2つ目は、NPO法人の平均給料水準が低いことです。
「令和2年度特定非営利活動法人に関する実態調査によりますと、NPO法人で働いてる人の平均年収は認証法人で249万円、認定・特例認定法人で327万円です。
一方、国税庁の「令和2年分民間給与実態統計調査」によると、民間企業の給料は平均369万円・平均賞与65万円なので、合計433万円です。民間企業の平均給料と比べると、NPO法人の平均給料は106万円低いことが分かります。NPO法人と一般企業の正社員の平均年収を比較したとき、1/3程度の平均年収差があります。
これは、利益を優先していないNPO法人の特色とも言えます。その為、就職する前に事前に給与に関して確認しておくことをオススメします。
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NPO法人に就職するための一連の流れ
ここからはNPO法人に就職するための一連の流れをご紹介いたします。大まかな一連の流れは以下の通りです。
1. インターネットもしくは行政機関にてNPO法人の情報収集
2. 説明会に参加する
3. 書類選考
4. 面接
の順になります。中には説明会が無かったり、書類選考がない代わりにSPIのようなテストを実施する会社もあります。一連の流れとしては一般企業と対して差がありません。以下では、NPO法人のみに当てはまる事項を紹介いたします。
1. インターネットもしくは行政機関にてNPO法人の情報収集
基本的なNPO法人の検索の仕方は、一般企業のそれと何ら変わりはありません。しかし、規模が小さく求人が少なかったり、採用に費用をかけておらず求人媒体を使用してなかったりと様々なケースが考えられます。
その際は内閣府 NPO法人ポータルサイトを使用し、NPO法人を検索することをオススメいたします。
このサイトでは、活動している分野や、事業を行なっている助在地別、都道府県別に検索することができます。こちらのサイトを使用すれば、NPO法人の活動目的、事業報告書も見ることができますので、是非とも皆様の情報収集に役立ててください。
NPO法人ポータルサイト - 内閣府
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2. 説明会に参加する
説明会から面接までは、一般企業の面接と大差ありません。上記のNPO法人ポータルサイトにて記載のない事項について聞けたり、実際に貴方の感じている疑問に関して聞くことができたりと、インターネットにはない情報を収集することができます。もし貴方が興味を持っているNPO法人が説明会を行なっているようでしたら、ライバルも多いかもしれませんので積極的に参加しましょう。
3. 書類選考
前述しましたように、こちらも一般企業の書類選考と大差はありません。しかし、NPO法人の書類選考では経験を重視されることが多いので、学生時代や過去参加したボランティア等の経験はしっかり記述することをオススメします。
また、貴方が応募するNPO法人で何を成し遂げたいのか、NPO法人のビジョンに沿って働くことができる等自らをしっかりアピールすることも大切です。
4. 面接
無事に書類選考を通過することができると、次は最終巻門である面接になります。もちろんこちらも書類選考と同様、貴方の成し遂げたいこと、NPO法人のビジョンを理解しているか、またNPO法人から見て、将来活躍することができる人か等が見られます。貴方の熱意をしっかりと相手に伝えることが重要になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は就職活動でNPOに就職するための情報、注意点をご紹介いたしました。上記の内容を理解してから、貴方にあったNPO法人を見つけ出し、就職活動を行なっていただければと思います。
昨今では様々な働き方が生まれているため、ご自身の軸をしっかり持って、貴方のやりたいことのためにNPO法人への就職活動に取り組んでください。
なお、今回はあくまでもNPO法人に就職することをメインに置いているため、別の主軸で転職活動を行いたい方、また就職・転職に際して不安がありご相談したい方は是非ともご連絡ください。
ぜひ今回ご紹介したポイントを活かし、あなたのよりよい未来を描いていただけたらと思います。