転職にて書類選考や1次面接をパスして最終面接の連絡が来たら、大変嬉しいでしょう。
とくに、3次面接や4次面接など、いくつもの面接をパスして、社長との最終面接となれば「ほぼ合格と思ってよいのでは?」と嬉しい想像を膨らませるかもしれません。
しかし、最終面接で落ちることもあるのが現実です。油断すると後悔することにもなるでしょう。
そこで今回は、最終面接を受けるうえで知っておきたい心構えについて解説します。また、最終面接で落選が続いたら改善したいことにも触れるので、内定を取るためにぜひ読んでみてください。
転職の最終面接はほぼ合格なのか?
まず、転職では最終面接がほぼ合格を意味するのかについて解説します。
最終面接の合格率は企業によって違う
転職にて最終面接まで進めば、ほぼ合格だと意識する方も少なくありません。最終面接までのあいだに採用担当者からよい反応があったら、ますます期待値が上がります。
しかし、最終面接の合格率は企業によってまったく違うことを認識しておきましょう。最終面接に進んだからといって、必ず内定が出るとは限りません。
企業は、最終面接通過者のそれまでの選考での評価や年収といった条件などを総合的に判断して内定を出すか決めます。
とくに、最終面接官が強い権限を持っている場合、たとえそれまでの選考でよい評価を受けていても「なんか活躍するイメージが湧かないね」といった理由で落とされることもあります。
また、外資系企業では、最終的な人事権が本国にあることも多く、日本支社での選考をパスしても、本国で稟議を通す過程で承認が得られないこともあり得るのです。ほかには、採用予算が足りなくて条件が合わず、内定を見送ることもあります。
最終面接時間が短くても合格サインではない
最終面接では、社長や役員などが面接官になることが多いですが、こういった方々は非常に多忙なため、最終面接は30分ほどで終わることもしばしばあります。ときには、予定時間よりも早めに切り上げることもあるでしょう。
もし最終面接時間が短くてよい反応だと感じたら「内定は確実だ」と思うかもしれませんが、そうとは言い切れないので期待しすぎないほうがよいです。
社長や役員によっては「これは不合格だな」と早めに判断することもあります。合格したと勘違いして、他社選考を白紙にするのは、控えたほうが無難でしょう。
最終面接を受けるときの心構え
最終面接に進んでも油断してはいけません。安心した結果、受け応えが雑になってしまい、落ちて後悔するのはもったいないことです。
内定が出るまで油断しない
最終面接は、人事決定権を持つ社長や役員、人事部長などによる見極めの場だと理解しましょう。自社にとって必要なスキルや資質などを持ち合わせていることは、1次面接や2次面接で審査済みです。
最終面接では「自社の社風に合うか」「活躍してくれるイメージが湧くか」などを見極めています。
たとえ高いスキルや知識を持ち合わせていても、企業の理念や職場の雰囲気と合わなければ早期退職につながります。最終面接では、1次面接や2次面接とは少し違った観点で見られているため油断ならないわけです。
内定有力候補でも、社長や役員、人事部長などがOKを出さないと白紙になってしまいます。油断している気持ちが相手に伝わってしまうと、せっかくのチャンスをものにできません。
他社の選考も検討しておく
最終面接に進んだからといって内定が決定づけられたわけではありません。そのため、同時進行している他社選考があれば、迷わず受けましょう。
まれに転職に使う時間やお金を惜しんで、最小限の労力で転職を終えようとする姿勢の方もいますが、書類選考を受けると決めた企業1社1社と、最後まで真摯に向き合った方のほうが、結果的によい転職として終えられることも少なくありません。
転職における最終面接の役割・位置付け
転職における最終面接は採用を前提とした顔合わせパターンと、応募者を絞り込む目的で行われる最終選考に分かれます。顔合わせ型でも会社と合わないと判断されると落ちてしまうので、油断は禁物です。
1.採用することを前提とした「顔合わせ」
顔合わせ型の最終面接は、いうなれば採用を前提として話合いの場です。面接担当者は社長や役員クラスで、入社意欲や実績など今までの面接でなされた質問と重複する場合があります。
しかし、それ以上にトップ層が会社のカルチャーにマッチするか判断を下す場としての意味合いが強いです。
質問を通じて、気が合うと感じてもらえれば高い合格率を見込めます。一方で「うちにはマッチしなそうだ」と思われると、素晴らしい実績を残していても不合格の場合があり得ます。
顔合わせ型の場合ほぼ合格決定ともいえますが、思わず口を滑らせてしまうと判定が覆るので、気を抜かないようにしましょう。
2.複数の候補者を絞り込む目的で行われる「最終選考」
最終選考型はスキルや実績が同程度の候補者が複数いるときに、採用者を決定するために行われます。厳粛な選考の場なので、和気わいあいとした雰囲気にならない可能性が高いです。
職務経歴やキャリアプランなどに加えて、将来会社の中枢ポジションを任せると想定した具体的な問いがなされます。面接担当者は社長や役員など、顔合わせ型の場合と同様、全体を管理する責任者です。
社風にマッチするかどうかだけでなく、即戦力として貢献できる人材だというスキル面でのアピールも必要です。
「顔合わせ型」の最終面接に向けた対策
内定がかなりの確率で決定していて、終始和やかな雰囲気で進む場合も多い顔合わせ型の面接において対策は必要です。
雑談形式で面接が進む場合には、自分のアピールポイントに絡めた回答を心がけてください。「休みの日は何をしているの?」「なぜ〇〇の資格を取ったの?」など、一見選考と関係なさそうな質問も飛んできます。
上記の質問に対して、そのまま答えるのはもったいないです。
たとえば「転職活動は大変?」と聞かれた場合、「はい、大変です」で終わるのではなく「大変な部分もありますが、自分の至らぬ部分を知れて成長につながります」と答えた方が良い印象を与えます。
アピールポイントとして事前に成長志向や意欲を伝えていると、事前の回答と一貫性が取れて理想的です。
「最終選考型」の最終面接に向けた対策
最終選考型の最終面接は採用する人材を決める重要な場面なので、今まで以上に緊張感を持って臨む必要があります。
最終面接では一緒に働く仲間を迎え入れる上で、会社の理念やビジョンに心から共感しているかチェックされます。
社風とのマッチ度、将来性(長く働いてもらえるか)という部分を面接官は重視しているので、会社との相性や方向性が合致していることをアピールしましょう。
最終面接の担当者が複数いる場合、キーマンが誰か把握するのも重要なポイントです。社長や役員のような、採用の可否を直接的に判断するポジションの人物に向けた回答を意識しましょう。
最終面接に向けた3つの対策
最終面接で内定を獲得するための、効果的な3つの対策を紹介します。一次・二次面接で至らなかった部分があれば改善を意識し、想定問答としては人間性・価値観に関する質問を中心に考えます。
しっかりとした内容の逆質問を準備するのも、非常に大切です。
1.一次・二次面接で回答できなかったことを整理しておく
一次・二次面接を振り返って、うまく回答できなかった質問があれば、考えを整理して改善できるようにするのがポイントです。
入社への意欲を再確認される場合に備えて、志望動機をもう一度整理し、今までの面接よりも深く掘り下げましょう。
「一次面接や二次面接を通してお話を伺う中、とくに御社の〇〇事業に可能性を感じるように至りました」というように、面接で聞いた内容を絡められると、きちんと話を聞いていたアピールにもつながります。
2.「人間性」「価値観」に関する質問に備えておく
最終面接では今までの面接と異なり、職責や専門性を問われる可能性は高くありません。
人間性や価値観など総合的な人間評価がなされるので、コミュニケーション力・仕事への価値観・協調性・行動力・ストレス耐性などをアピールしましょう。
「上司や同僚とうまくやれそうか」「長期的に定着してくれそうか」などが、具体的なチェックポイントです。
採用側の気持ちに立って、どのような人物と一緒に働きたいか考えれば、自ずと対策の方向性が見えてくるでしょう。
最終面接では、学生時代や前職のエピソードを題材に、なぜそのような行動・判断を取ったのかという考え方や価値観にまつわる質問が増えると想定されます。
3.逆質問を準備しておく
最終面接の合否を分ける重要なポイントが、逆質問の内容です。ネットで調べれば出てくるような質問をしてしまうと、企業研究の薄さや脂肪意欲の低さを疑われるので、ありきたりな内容は避けてください。
おすすめは、会社設立の経緯や社長自身のキャリアに関する質問です。たとえば、「経営理念を制定した経緯についてお聞きしたいです」「創業に至るまでの苦労話をお聞かせできれば幸いです」などが挙げられます。
大企業や歴史がある企業の場合、ホームページやインタビュー記事に出ているでしょうが、ベンチャー企業やスタートアップにとっては貴重な機会なのでぜひ参考にしてください。
最終面接の結果待ち期間
最終面接の結果待ち期間は、一週間程度が目安です。他の応募者との兼ね合いや企業によって期間が延びる場合もありますが、一ヵ月や二ヵ月も待たされる恐れはないので安心してください。
最終面接の結果が遅いときは、内定を出すかどうか迷っているのかもしれません。他にも人事上の決定権を持つメンバーがそろっていない可能性もあります。
社長・役員・人事部長などは多忙になりがちなので、業務や出張が重なったことで判断が遅れるケースはあるでしょう。
大企業の場合、他の候補者の最終面接が終わっていないために、判断が長引いている可能性もあります。
以上のように結果を待つのは一週間程度なので、不安を抱くかと思いますが、連絡が来るのを辛抱強く待ちましょう。
転職の最終面接で落選が続いたら
「最終面接まで進んだらほぼ合格だ」と思っていたはずが、何度も最終面接で落ちてしまう方もいます。そのときの対処法を解説しましょう。
自己分析や企業分析を深める
最終面接で落ちてしまうのは、自己分析や企業分析が足りていないせいかもしれません。最終面接では「自社の理念に共感できるか」という点も見られているので、自己分析と企業分析を深めたうえで共通項を明らかにしてください。
転職エージェントを見直す
最終面接で立て続けに落ちてしまうなら、転職エージェントを見直すのも一つの手です。転職エージェントのコンサルタントが内定獲得のためにひと押ししてくれることもあります。
「なんか転職エージェントのコンサルタントと合わないんだよな」という違和感がある場合は、他の転職エージェントの活用も検討してみてください。
スキルアップして市場価値を高める
即効性には欠けますが、実務経験を増やしたり資格を取ったりしてスキルアップしてから、転職に再チャレンジするという方法もあります。
最終面接にてアピールできる長所を伸ばして、市場価値を高めるのは大切なことです。最終面接を受ける他の候補者よりも秀でた魅力がないと、内定を決定づけることはできません。
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内定まで油断せずに最終面接を乗り切ろう
最終面接に進んだからといって内定が確約されたわけではありません。新卒採用とは違って、中途採用は応募人数が少ない傾向があります。
全候補者のなかで1位になるつもりで最終面接を受けましょう。最後まで油断せず、自分の全力を出し切ってください。