転職する際の不安要素はいくつかあると思いますが、特に「年収が下がるかどうか」は皆さん気になるポイントではないでしょうか。
そこで今回は、転職での給料交渉の是非から、押さえておくべきポイント、さらには交渉する際の例文もお伝えしていくので、ぜひ活用していただけたらと思います。
1.転職での給料事情、実際のところは?
何事においても、始めてのことにチャレンジする際は、なんとなくのイメージだけではなく、正確な情報を把握しておくことが大事です。
「転職って年収下がりそう」というイメージはあるものの、実際のところはどうなのか?下記にお伝えしていきます。
転職で給料が減少した人と増加した人の割合はほぼ同じ
各省庁がさまざまな分析を行うため毎年データを取っていますが、雇用動向の実情に関しては、厚生労働省が調査を行っています。(雇用動向調査)
雇用動向の流動状況を明らかにするため上半期と下半期の2回に分けて行われるこの調査ですが、最新版である「令和2年雇用動向調査(※1)」によると、令和2年の1年間で、前職の賃金に比べ「増加」した割合は34.9%、「減少」した割合は 35.9%、「変わらない」の割合は 28.4%となっていることが明らかとなりました。
※1 「令和2年雇用動向調査結果の概要 4.転職入職者の状況」
このように、前職の賃金に比べ転職後の賃金が増加した人と減少した人は、それぞれ同じくらい、むしろ減少した人の方が少し多いということがデータで明らかになっています。
そのため、企業から提示された金額で甘んじることなく、能動的に交渉していくことが必要となってくるでしょう。
2.給料交渉は可能?
実際給料交渉するにあたり、「そもそも給料交渉は可能なのか?」と疑問に思われる方もいらっしゃることでしょう。
新卒採用などは給料があらかじめ決定していることが多いですが、転職市場において給料は求職者の年齢や経験、スキルに応じて給料を決定することが広く一般的となっています。
そのため、企業と給料交渉を行うことも、「転職活動の一環」というスタンスでいるとよいでしょう。
3.押さえておくべきポイント
しかし当然のことながら、ただ自分の希望を企業に述べれば良い、というわけではありません。あくまで交渉なので、タイミングを見計らうことや、交渉材料を準備することが大事になってきます。そしてそれらが上手くいかなかった場合、当然交渉も不発に終わるということは覚えておきましょう。
給料交渉のタイミングは「内定後」がベスト!
確かに給料面は求職者側にとって大変重要な問題であり、気になるポイントのひとつでしょう。しかし、採用側が重視しているポイントは「この人と一緒に働いていけるか?」「この人は会社の発展に貢献してくれるか」という点です。
そのため面接などで「給料交渉は可能ですか?」と逆質問してしまうのは、「会社への貢献より自分の利益を追従してしまう人だ」という印象を抱かせてしまう恐れがあります。
もちろん、会社の社風次第では「どんどん稼ぎたい人募集!」というような会社もあるでしょうが、面接は言ってしまえば「自分と企業のマッチングの場」ですので、条件面など具体的な交渉にはやや不適切です。
「面接」では自分が会社にとってどれだけ貢献できるかをアピールできるかが勝負ですので、条件面などの交渉は「内定」通知が届いた後、それを受諾するかどうかのタイミングがベストなタイミングと言えるでしょう。
年収を「維持」したいのなら給料明細を忘れずに
給料交渉には交渉材料を揃えることも必要となってきます。そのため提示された給料が低いと感じた際は、まずは「自分は前職でこれだけ年収があった」=「これだけの働きを認められていた」という証拠でもある、給料明細を提示することでよりスムーズな交渉が期待できるでしょう。
他業種からの転職の際は、会社員としての実績をアピールしよう
同業種からの転職か、異業種からの転職か、というのも給料交渉においては重要なポイントです。
同業種からの転職の場合は企業側も「これだけの年収をもらえていたということは、これだけの仕事をしてくれるだろう」とイメージしやすく、スムーズに交渉が進むかもしれませんが、異業種からの転職の場合、例え高い収入をもらえていたとしても「Aという仕事をそれだけできていたとしても、それがBという仕事を同じ年収だけできるという確証には至らない」と判断される可能性が高いのです。
そのため異業種からの転職で年収維持を目指す場合は、より会社員として会社の発展に貢献してきた成果を提示することで交渉に移りやすくなるでしょう。
なにかしらのポジションについていたことはもちろん、企画力、マネジメント力などなど、例え異業種からの転職であっても、この年収分だけ活躍できることをアピールすることが、よりスムーズな交渉への一歩となります。
年収を「増加」させたい場合は、比較対象を用意しよう
もし前職の年収よりも増加させたい!と考えている場合は、より確かな交渉材料を用意する必要があります。
一番わかりやすいのは、「他の会社ではこのくらいもらえそうだ」という「比較対象」です。他にも転職活動を行い、内定をもらった企業があり、年収が高ければその事実は実に強い交渉材料となります。
また「来年度はこれだけもらえる予定だった」という昇級後の給料も有利な交渉材料となるでしょう。
年収アップに固執しすぎないことも大事
もちろん年収はあなたの日々の生活やモチベーションにつながる大事な話ですが、転職の際に人事部と軋轢を生んでしまうのもあまり得策ではありません。せっかく転職して、望み通りの年収を手に入れても、人間関係がギクシャクしている中では思い通りの力も発揮しにくいでしょう。
厳しい話ですが、100%自分にピッタリの会社というのはまず見つけられないものです。最終的には、年収アップも判断材料の一つとして、総合的に判断することが必要となってくるでしょう。
試用期間後の交渉に持ち越すのもアリ
会社の中には、試用期間後に給料を正式決定する会社もあります。そこで内定後は給料交渉を行わず、試用期間後に交渉することも一つの手段です。
その場合、例え異職種からの転職であっても、自分のここでの力量を充分にアピールできるチャンスとなります。内定後は無理でも、焦らずじっくり「交渉材料」を揃えることで、あなたのより良いワークライフに繋がるでしょう。
4.【例文】好意的に見える給料交渉はコレだ!
ではここからは、実際に給料交渉する際の例文を、テンプレと共にお伝えしていきます。人によって状況はさまざまですので、まずはテンプレートにそって文章を組み立て、文章にしてもらえたらと思います。
給料交渉のテンプレ
前述したように、給料交渉であまりに我を通しすぎれば、何らかの軋轢が生まれる可能性があります。
そのため、「~~~したい」と言い出すのではなく、まずは「相談」程度から始めることで、相手に「選択の余地がある」とわかってもらうことは重要なテクニックでしょう。
その上で「交渉材料」と「希望年収」と伝えることがテンプレートとなります。つまり、
①相談があると伝える
②給料のアップが可能かどうか聞く
③交渉材料
④希望年収
というのがテンプレートとなります。
例文
では実際に、どのような文章になるのかまとめてみます。
この度は内定をいただき誠にありがとうございます。 その上で大変恐縮なのですが、提示していただいた給料なのですが、前職の年収より低く設定されております。
私は前職でもリーダー業務などを務め、貴社でも同様の活躍ができると見込んでいるのですが、前職同様の年収は可能でしょうか?
このように、あくまで相談というスタンスを崩さず、あまり年収アップに拘泥しすぎないことが、好意的に交渉に移れるポイントと言えるでしょう。
5.まとめ
今回は、転職での給料交渉の是非から、押さえておくべきポイント、さらには交渉する際の例文もお伝えしてきました。ぜひ今回お伝えしたことをよりよい転職活動に活かしていただけたらと思います。