1986年に1軒のラーメン店から始まった株式会社ディーアール。
創業以来大切にし続けている「味×サービス×空間」の基本姿勢を貫き続け、現在ではイタリアンバル、ワイン酒場、ホルモン料理、立ち飲み店、蕎麦屋など国内27店舗、海外12店舗を展開するまでに至りました。
コロナ禍で一時大打撃を受けた飲食業界ですが、そんな中にあって同社が事業を拡大し続けてこられたその原動力とは?
株式会社ディーアールのメイン業態のひとつである「そば道」裏なんば店の久保さんにお話を伺いました。
久保 勝太郎(くぼ しょうたろう)※写真左から2人目
学生時代、ワーキングホリデーでオーストラリアへ。日本に帰国後焼き鳥店でアルバイトをはじめ、接客や料理の楽しさに目覚める。その後家族ができることになり、正社員で働きたいと就活を開始。いくつか面接を受けた中で株式会社ディーアールに入社を決める。2022年入社。「そば道」裏なんば店 副店長
とにかく「店長」になりたかった。
久保さん)
学生時代ワーキングホリデーでオーストラリアに行っていたのですが、帰国後は就職せずに、しばらく焼き鳥店でアルバイトをしていました。
お客様と近い距離感で接客ができることが楽しく、また料理が好きなこともあり、このまま続けていようかなと。
しかし、当時お付き合いしていた彼女と結婚することになり、「より安定した環境」を手に入れるため正社員として働くことを決意しました。
焼き鳥店でそのまま正社員になるという道もありましたが、そのお店は個人店だったこともあり、どれだけ頑張っても今のオーナー兼店長が引退しない限り、自分が店長になることはできませんでした。
「どうせ飲食店でやるなら店長、そしてその先を目指したい!」その一心で就職活動を始めました。
いくつか面接を受け、最終的に株式会社ディーアールに決めました。
当社が展開する飲食店にはそれまで一度も行ったことがなく(と、当時は思っていた)、自宅から近かったこと、当時募集していた業態がイタリアンだったことから応募。
焼き鳥店で働いていましたが、実はパスタなどイタリアンを作るのが好きで、家でもペペロンチーノなどオイル系のパスタをよく作っていました。
初めての正社員で、しかも自分の好きな業態。「ここでしっかり頑張っていこう!」そう決めて1年ほど働きましたが…。
イタリアン⇒蕎麦店へ!突然の業態チェンジ。
久保さん)
1年目の年末に大きな出来事がありました。
本部から「この店は来年3月から蕎麦店に変わる」と言われたんです。
最初「え?」と思いましたが、様々な業態を展開している会社であることは知っていましたし、会社がやみくもに業態チェンジを行うわけではなく、綿密なマーケティングの上での決定なんだろうなと。
「会社がそういう判断を下すのなら」と納得し、気持ちを切り替えました。
イタリアンが好きで入社したわけですが、業態が変わったからといって辞めるという選択肢はありませんでした。
それよりも「店長になりたい」という思いのほうが強かったんだなと気づかされましたね。
これまで蕎麦店で働いた経験はなく、自分にとっては未知の世界でしたが、会社がきちんと研修を用意してくれました。
蕎麦業態「そば道」は東京に多く店舗がありましたから、1ヶ月間東京に行き、実店舗で接客や蕎麦打ちなどを修業。
もちろんその間の宿泊代や交通費は全額会社が負担してくれました。
この東京研修で気づいたことが2つありました。
ひとつは「こんなに大きな会社だったんだ」ということ。というのも、面接はWEBでしたし、入社後は大阪の店舗にしか行ったことがありませんでした。
その大阪も自分の店ともう1店舗しかなく、ほとんどが東京か海外(中国)です。
今回の研修で初めて東京本社に行き、そこで「こんなちゃんとした会社だったんだ!」と感心しました(笑)。
もう1つ気づいたのは、以前にディーアールの経営するお店に行ったことがあったこと。
妻の実家が都内なのですが、その実家の近くの焼肉「まる道」に昔一緒に行ったことがあったんです。偶然とはいえ、なにか縁のようなものを感じましたね。
タッチパネルを一切置かない飲食店。
久保さん)
イタリアンから蕎麦店への業態チェンジ。大きな変化ではありましたが、結果的に自分の中ではそれほど衝撃はありませんでした。
もちろん調理する食材や調理法は変わったものの、本質は変わらないといいますか。
特に「お客様と近い距離での接客」は業態が変わっても同じ。
日々接客をしている中でしょっちゅう来て下さる常連様も増えていきます。
常連様との会話はやはり楽しく、これこそが飲食店の醍醐味なんじゃないかなと思っています。
仲良くなった方とは休日に一緒に飲みに行ったりもしますし、近くになんばグランド花月があるので、吉本の芸人さんもランチで来てくださったりします。
この「お客様と近い距離感での接客」がディーアールの特徴でもあり、強みのひとつでもあると思います。
堅苦しいお店、かしこまったお店もあり、それはそれでいいと思いますが、ディーアールの各業態はもっとカジュアルな感じ。
お客様に楽しい時間を過ごしていただけるよう、あえて「堅苦しくない」サービスを行うのです。
店内にタッチパネルを置かないのもそういった理由から。
オーダーの際には直接スタッフにお声がけをしていただくことで会話が生まれます。
お客様には料理だけでなく、サービスも楽しんでいただきたい。タッチパネルを置かないことは、創業以来大切にしている「味×サービス×空間」の姿勢を体現する重要なファクターなのです。
働く側にとっても良い影響がありますね。
「これはどんな料理ですか?」と聞かれたりもするので、メニューのことについても知っておこう、となりますし、会話することでお客様の笑顔が見られたらやっぱり嬉しいものです。
「もっと頑張って接客しよう!」というモチベーションにもつながり、より良い接客を行うためにスタッフ同士が協力しあう風土が自然に生まれます。
日本語がつたない外国人のスタッフもいますが、みんなで教え合うなどしてフォローしあっています。
高いモチベーションで働き続けられること、そしてスタッフ同士の仲がいいことは、離職率の低さにもつながっています。
現にイタリアン、蕎麦店と2年弱やってきましたが、この間に「イヤだから辞めた」という人はいません。
次にやりたいことが見つかったから、夢を叶えるために次のステップに行きたいから、という人ばかり。
お客様からも「お店の雰囲気いいよね」と言っていただけることが多いです。
誰もが働きやすい会社を目指して。
久保さん)
自分はまだ1年半ほどしかこの会社にいませんが、やはり以前働いていた個人店と比べると、待遇や福利厚生の面では大きな差を感じます。
特に自分にとっては家賃補助がありがたかったですね。
大阪では月2万円、東京では月3万円支給してもらえます。
大手企業などでは当たり前の福利厚生なのかもしれませんが、個人店にいた頃にはなかったので…。
もちろん残業代は働いた分だけしっかり出ます。でも会社からは「できるだけ早く帰れ!」と言われます。
飲食店だからといって残業が当たり前だとは思っておらず、従業員の健康のためにできるだけ残業をさせないというのが会社の方針。
新店舗のオープン時はオペレーションの問題などもあってある程度は仕方ありませんが、会社としては無理して売上を作るより、適正な環境で健全に働くことを第一としています。
休日も月8日をしっかり確保。
特にスタッフには必ず月8日休むよう徹底しています。
公休以外にもお休みの取得はできます。
実は今度子どもが生まれるんです!そのため育休を申請するつもりです。すでに上長には伝えており了承を得ています。
飲食店で育休…あまり聞いたことがないかもしれませんが、こういう「今の時代に合った働き方」を推奨しているところも、安心して働ける理由のひとつですね。
昇給・昇格のスピードも早いです。
入社したのが4月でしたが、その年の12月には副店長に抜擢されました。
「店長になりたい」という思いを会社が汲んでくれたのかなと。
もちろんそのために努力をしてきました。
本社も東京にあり、大多数のお店が東京にある中、大阪の店舗で頑張っている姿をしっかり見て評価してもらえるのも嬉しいです。
今はお客様とスタッフに囲まれて働く毎日が楽しいです。
副店長なので人の管理をするのも仕事のひとつ。
相手が人なので時にはうまくいかないこともありますが、それでも当社に入社してくださる皆さんは素直でいい人ばかり。そういう意味では人に恵まれている会社だと思います。
目指すはもちろん店長。
今はそこに向かってがむしゃらに突き進むだけですが、その先もまだまだ道があります。
店長の上のポストに就くという道もあるし、他の業態で活躍する道もある。海外の店舗で活躍することだってできます。
これからもディーアールでしかできないことをやり、ディーアールでしか積めないキャリアを積んでいきたいです。