接客業しかしたことがない方の中には、転職したくても自身の市場価値に自信が持てず、挑戦できない方も多いでしょう。しかし、接客業で得たスキルを活かして活躍できる仕事は、多く存在します。今回は、接客業から異業種に転職したい方に向けて、転職のメリットやアピールすべきスキル、おすすめの職種や成功するための方法について解説します。
接客・販売しかしてこなかった場合も異業種に転職できる?
「これまで接客業しかしたことがない」という方の中には、「新たな仕事に挑戦しよう」と転職を検討している方もいらっしゃるでしょう。しかし「接客・販売しかしてこなかったため、特別なスキルがあるわけではない」「役職についていたわけではないため、アピールできる材料が少ない」など、異業種への転職にあたって不安を抱く方は少なくありません。
実は、接客業しかしてこなかった場合でも、接客業で得た経験やスキルを活かして異業種に転職することは十分可能です。実際、接客業の経験が活かせる仕事も多く存在します。自身の実績やスキルに不安を抱いて、転職を躊躇する必要はありません。
接客業から接客以外の仕事への転職を考える理由
接客業から未経験の仕事に挑戦するのには、勇気が必要かもしれません。では、どういった理由で転職を検討する方が多いのでしょうか。接客業から接客以外の仕事への転職を検討するおもな理由は、以下のとおりです。
- 体力・精神的な負担が大きい
- シフトが不規則で休日がとりにくい
- 正社員の給料が比較的低い
- スキルに不安がある
ここでは、それぞれの理由について解説します。
体力・精神的な負担が大きい
接客業では、立ち仕事が続いたり、重い荷物を運んだりなど、体力的にきつい場面も多いです。体力的な負担から「長い間続けられる仕事ではない」と考え、転職を検討する方は少なくありません。
また、常に笑顔で接客したり、理不尽なクレームに対応したりなど、精神的な負担が大きいのも特徴です。仕事のストレスから、体調を崩してしまうこともあります。
このように、体力・精神的な負担から、長く安定的に働ける仕事に魅力を感じて転職を検討する方が多いです。
シフトが不規則で休日がとりにくい
接客業は「平日は9〜17時に仕事をし、土日は休む」といった規則的な勤務が難しい場合は多いです。シフトが不規則でまとまった休みをとりにくかったり、土日や年末年始にも出勤しなければならなかったりと、勤務日時に不満を抱いている方も多いでしょう。
平日に休めることにはメリットもありますが、家族や友人と休みを合わせるのが難しいことは、転職を検討する1つのきっかけとなります。
正社員の給料が比較的低い
接客業は正社員であっても、仕事内容や勤務日数のわりに給料は比較的低いのが現状です。厚生労働省が発表している「令和3年賃金構造基本統計調査」では、宿泊業・飲食サービス業の賃金は257,600円でした。これは、ほかの産業と比較すると1番低いという結果です。賃金の増加も緩やかな傾向にあり、働いてもなかなか収入が上がらないことに不満を抱く方は少なくありません。
このように、収入が仕事のハードさに釣り合わないと考え、収入アップを目指して転職活動を進めるパターンも多く見られます。
参考:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
スキルに不安がある
接客の仕事をしていると、デスクワークや専門性が求められる仕事に就いている友人を見て、自身のスキルに不安を抱くこともあるでしょう。もちろん、接客業ではコミュニケーション能力をはじめとするさまざまなスキルが身につきます。
しかし、自身のキャリアビジョンを考えたときに、接客業で身につけられるスキルに限界を感じるケースは多いです。ITスキルや営業スキルを身につけるために、異業種への転職を目指す方や、資格をとって資格を活かせる仕事に就く方もいます。
接客業から接客以外の仕事に転職するメリット
接客業では、接客業ならではのやりがいや経験、スキルを得られます。しかし「接客業から異業種に転職してよかった」と感じている方が多く存在する点は、見逃せません。その理由としては、以下が挙げられます。
- ストレスが軽減された
- 待遇がよくなった
- ワークライフバランスをとりやすくなった
- 土日に休めるようになった
このように、接客以外の仕事に転職することで、仕事のストレスや不満を解消できる可能性が期待できるのです。転職にはさまざまなメリットがあるため、勇気を出して転職に挑戦する価値は十分にあるといえます。
接客業はきつい・辛いだけ?接客業で培える3つのスキル
接客業は、単にきつい・辛いだけの仕事ではありません。接客業の仕事を通じて、接客以外の仕事にも活かせるさまざまなスキルを身につけられるのです。
ここでは、接客業で培える3つの能力について解説します。
- コミュニケーション能力
- 臨機応変に対応する能力
- 協調性
以下で紹介するスキルを、具体的なエピソードとともにアピールできれば、転職に成功する可能性が高まります。
1.コミュニケーション能力
接客業で身につく代表的なスキルの1つが、コミュニケーション能力です。コミュニケーション能力は、お客様に対応する接客業において欠かせません。お客様との信頼関係を構築するためには、それぞれに合わせた会話力や傾聴力、観察力などが求められます。
コミュニケーション能力は、さまざまな仕事において欠かせない重要なスキルです。接客業で身につけた高いコミュニケーション能力は、転職時のよいアピール材料となります。スキルの高さを証明するために、コミュニケーション能力を活かして、お客様と信頼関係を構築できた具体的なエピソードも加えてアピールするのがおすすめです。
2.臨機応変に対応する能力
接客業では、臨機応変に対応する能力も身につきます。不特定多数のお客様を相手にしている以上、必ずしもマニュアルどおりに進むとは限りません。その度に誰かの指示を待っているようでは、現場をスムーズに回すことは難しいです。
状況に合わせて適切な行動を見極めて臨機応変に対応できる能力は、どのような仕事においても重宝されます。「トラブルが発生しても柔軟に対応できる人材」というプラスのイメージを与えられ、転職活動において有利にはたらく可能性が期待できます。
3.協調性
お客様に高品質なサービスを提供するためには、ほかのスタッフと協力して仕事をすることが欠かせません。接客業では、スムーズに対応するためにチームで動いたり従業員同士で密にコミュニケーションを取り合ったりと、協調性が求められる場面が多く存在します。
協調性は、接客業だけでなく、幅広い仕事において重要なスキルです。接客業で身につけた協調性の高さを説明し、入社後も社員と協力しながらスムーズに業務がこなせることをアピールしましょう。
接客業しかしたことがない方におすすめの職種3選
接客業しかしたことがない方も、異業種に挑戦することは十分可能です。なかでも、接客業で得た経験やスキルを活かせる仕事に挑戦すると、転職に成功する可能性が高まります。
接客業からの転職におすすめな職種は、以下のとおりです。
- 営業職
- 事務職
- カスタマーセンターのコールセンター
ここでは、それぞれの職種と接客業での経験・スキルが活かせる理由について解説します。
1.営業職
営業職は、接客業と同様にお客様と向き合う仕事です。顧客のニーズをヒアリングし、適切な提案をする営業職は、接客業で培ったコミュニケーション能力を存分に活かせる職種といえます。
ひと口に営業職といっても、企業を相手にするか(toB)一般の消費者を相手にするか(toC)で、細かい仕事内容や求められるスキルは異なります。扱う商材や業界などによってもさまざまなパターンが存在するため、自身に適した求人を見極めることが大切です。
2.事務職
事務職も、接客業経験者に適性がある仕事です。事務職というと、黙々とデスクワークをするイメージを持つ方も多いでしょう。しかし、社内外の関係者とのコミュニケーションが発生する場面も多く、接客業で培ったコミュニケーション能力や協調性を活かせる仕事です。臨機応変な対応が求められるシチュエーションも多く存在します。
また、事務職に転職するにあたって、専門的な知識やスキルがあまり求められないのも魅力です。未経験でも採用されるチャンスが多いため、これまで接客業しかしたことがない方にも適しています。
3.カスタマーセンターのオペレーター
カスタマーセンターのオペレーターは、お客様からの問い合わせに電話やメールなどで対応する仕事です。目の前にお客様が存在しないだけで、接客業と本質は変わりません。接客業で身につけたスキルを活かせる仕事であり、即戦力として活躍できる可能性が高いです。
クレームに対応しなければならない場面もあるため、接客業経験者が評価されやすい傾向にあります。勤務日時も調整しやすく、ワークライフバランスを実現しやすいのも魅力です。
接客業から異業種への転職に成功する4つの方法
無計画な転職活動では、選考に通過できなかったり、自身の強みを発揮できない仕事に転職することになったりと転職活動に失敗してしまいます。
接客業から異業種への転職に成功するためには、以下の方法を実践し、入念に準備しましょう。
- 自身のスキルや経験を洗い出す
- 自己分析で志望動機を明確化する
- 面接対策を徹底的に行う
- 転職エージェントに相談する
ここでは、接客業から異業種への転職に成功するための4つの方法について解説します。
1.自身のスキルや経験を洗い出す
まずは、これまでの経験や自身のスキルなどを洗い出し、自身の強みを明確化しましょう。自身の経験やスキルを棚卸しすることには、以下のようなメリットがあります。
- 履歴書やES、面接でアピールすべきポイントが明らかになる
- 自身の強みを発揮できる求人を見つけやすくなる
このように、スキルや経験を洗い出すことは、選考で高い評価を獲得し、さらに転職後に活躍するために重要な工程です。
2.自己分析で志望動機を明確化する
転職活動では、面接官に刺さる志望動機を作成し、熱意をアピールすることが大切です。そのためには、徹底した自己分析を通じて「なぜ接客業に就いたのか」「接客業以外の仕事になぜ挑戦しようと思ったのか」などを言語化する必要があります。自己分析によって、自身の強みを明確化できるのもメリットです。
自己分析では、以下の項目について振り返り、掘り下げましょう。
- これまでに経験した仕事や実績
- 印象的だった仕事
- これまで嬉しかった経験・悲しかった経験
- 挫折経験とそこから学んだこと
- 苦労を乗り越えた経験や乗り越え方
自己分析によって自身の価値観を言語化し、魅力的で説得力のある志望動機作成に活かすことがポイントです。
3.面接対策を徹底的に行う
転職活動に成功するためには、徹底した面接対策が鍵です。面接で聞かれることを想定して回答を作成し、練習を繰り返しましょう。面接対策を何度も行うことで、本番でも自信を持って対応できるようになります。
具体的に、以下のような項目については回答を準備しておきましょう。
- 志望動機
- 退職理由
- 自身の強み
準備を怠ると、長くまとまりのない回答になってしまい、「何をアピールしたいのかわからない」「話に一貫性がない」などのマイナス評価につながります。準備不足を見抜かれ、志望度が低いと判断されてしまう可能性もあるため注意が必要です。
要点が明確に伝わるような回答を作成し、わかりやすく説明できるようにしましょう。
4.転職エージェントに相談する
転職活動をスムーズに進めるためには、転職エージェントを活用するのがおすすめです。転職活動のプロであるエージェントのサポートを受けながら、二人三脚で進められるのが魅力です。
転職エージェントは、以下のようなサポートをしてくれます。
- 自分にあった求人を紹介してくれる
- 転職活動中の相談に乗ってくれる
- ESを添削してくれる
- 模擬面接を実施してくれる
とくに、未経験の業種や人気の高い職種に挑戦する際は、転職エージェントを活用するのがおすすめです。1人で転職活動を進めるよりも、転職に成功しやすくなります。
接客業しかしたことがない方の転職ではエージェントを活用しよう
今回は、接客業しかしたことがない方の転職について、メリットやおすすめの職種、転職に成功する方法などを解説しました。
接客業しか経験がない場合でも、接客業で培った経験やスキルを活かして、異業種に転職することが可能です。その際は、自己分析を通じて志望動機や自身の強みを明確化し、入念な面接対策を行いましょう。さらに、転職エージェントを活用することで、転職に成功する確率が高まります。
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