他己分析とは他人に自分のことを質問し、自己理解を深める取り組みです。自分では気が付かない強みや短所を発見できるため、就活対策として適しています。
今回は他己分析の手順やメリット、実際にやってみた人の感想、注意点などを解説します。
他己分析とは?手順を紹介
他己分析は他人に自分の長所や短所などを質問し、自身を客観的に捉えるために行われる取り組みです。
大きく「質問者の決定」→「質問シートの作成」→「自己分析結果との照合」という流れで進みます。自らの分析とのギャップを確かめるために、自己分析と比較を行うことが大切です。
他己分析の手順について詳しく解説します。
STEP1.質問する人を決める
質問する相手を選ぶ際は仲が良い人だけでなく、面識が浅い人にもお願いしましょう。親友や友人にだけ頼むと回答が偏り、客観的な視点が得られにくいためです。
例えば就活セミナーに参加し、グループワークで顔なじみになった人に依頼する方法が挙げられます。
年齢や立場、性別などさまざまな属性の人に聞くことこそ、効果的な他己分析を行うポイントです。面識が浅い人だとお願いしづらいかもしれませんが、第一印象の把握には適切な相手です。
STEP2.質問シートの作成
質問する前に聞きたい事柄を記載した質問シートを作成しましょう。具体的な項目を準備しないまま他己分析を行うと、「私ってどう?」というような曖昧で回答しづらい質問をしてしまいがちです。
他己分析に適した質問項目には、次のような内容が挙げられます。ぜひ参考にしてみてください。
- 強み(長所)と思うようなところは?
- 弱み(短所)と思うようなところは?
- 第一印象は?
- 最初の頃と比べて今の印象はどのように変わった?
- もっと伸ばしてほしいと思うところはある?
- 集団の中で私はどんな役割をしている?
- 尊敬できる部分は?
- 私との印象に残っているエピソードは?
STEP3.自己分析結果との照合
回答を得られたら、自己分析との照合を行いましょう。両方の結果を見比べ、同じ内容やギャップがある部分を見極めていきます。
他人から見た自分の強みや弱みが自己分析と大きくかけ離れているなら、理由を把握し改善する必要があります。
逆に自己分析で得た強みや弱みと他己分析の結果が同じなら、より胸を張って自身の強みをアピールできるでしょう。
自己分析だけでは証明が得られないため、本当に重要なのは他己分析の時間と言えるかもしれません。
他己分析のメリット3選
他人に自分のことをどう思うか聞くのは、何となく気恥ずかしさを覚える行為です。良いところならまだしも、悪い部分をズバッと指摘されたら嫌だと不安を抱く人もいるでしょう。
しかし他己分析はメリットが大きいため、ネガティブな箇所に目を向け、行わないのはもったいないと言えます。ここでは他己分析のメリットを3つ紹介します。
1.他者からの見え方と自己認識のズレを認識できる
客観的な視点が必要な自己分析において、他者からの見え方と自己認識のズレを発見できることは大きなメリットです。
他己分析によって今まで気づけなかった一面を見出し、ハッとする可能性もあります。自分では当たり前だと思っていた部分が他の人から見れば長所に該当することはあり得ます。
ズレがあった時に相手の見え方が間違っていると決めつけず、新たな発見と捉えることが大切です。相手にどう映るか自分では分からないため、臆せず他己分析を実施しましょう。
2.自分では気づかなかった短所を把握できる
自分では長所だと思っていた部分が、他人からすると短所に捉われる場合があります。例えばポジティブであることは一般的には長所に該当しますが、行き過ぎると無神経さだと思われる危険があります。
他にも落ち着きがあることは裏を返せば、引っ込み思案な性格だとも言えるでしょう。
面接では「あなたの短所や弱みはどこですか?」と聞かれるため、目を背けたい部分かもしれませんが、弱みを正確に把握する必要があります。
自分の短所を客観的に知りたければ、他己分析は良いツールです。
3.面接での印象を改善に導く
面接は限られた時間で自分の良さをアピールする必要があるため、第一印象が大切です。他己分析で他人から見た自分の第一印象を把握し、改善点があるか確認しましょう。
例えば自分では身なりを整えているつもりでも、天然パーマによる髪の乱れから「清潔感がない」と思われている場合があります。
他人からの見え方が分かれば、前髪を垂らさないように整髪料を付けるといった対処が可能です。他己分析は面接の回答を考えるだけでなく、見た目の印象改善にも役立ちます。
他己分析を行う際の注意点
他己分析を行う際はより信頼できるデータを得るため、できるだけ多くの人物に質問を依頼しましょう。
また自分の本質を見極めるためにも、質問事項は具体的に設定することが大切。納得感を得るには、エピソードや理由も踏まえて教えてもらった方がよいでしょう。
ここでは他己分析を行う際に意識すべき、4つの注意点を紹介します。
できるだけ多くの人物に依頼する
他己分析では、できるだけ多くの人に対して質問を投げかけることが重要です。同じ友人でも、知らず知らずのうちに人によって態度に変化が生じているかもしれません。
また人によって受け取り方に違いがあるため、「優しくてステキ」だと思う人がいたり「甘くて情けない」と感じたりする人もいるでしょう。
他にも強烈な出来事があったために、印象を決定づけている場合があります。
したがって他己分析の人数が少ないと、あまりあてになりません。10人以上を目安に、色々な人に質問しましょう。
質問事項は具体的に
具体的な質問項目の設定は、他己分析の精度を上げるための重要なポイントです。特に自分では気付いていない本質的な部分の理解を深めたい場合、具体的な質問を考えるべきです。
率直に遠慮なく回答してもらうのがよいですが、相手との関係を壊したくないという想いから一般的な内容になりがちです。
「長所は?」だけでなく、「どうして私と友人になってくれたの?」というように具体性を上げると相手は本音を打ち明けやすくなるでしょう。
理由まで深掘りして答えてもらう
長所や短所について聞く際は、理由や根拠を含めてお願いするとよいかもしれません。具体的なエピソードを交えれば、納得感を得やすいでしょう。
「自立している」と言われたなら、どんな時にそう感じたのか合わせて聞くのです。ただしエピソードや明確な根拠が見つからないからと言って、嘘はいけません。
嘘が入ると不正確な他己分析になり、意味がなくなってしまうためです。嘘をつかれないために、どのような回答も受け入れる広い気持ちを持ちましょう。
就活の早い時期に取り組む
他己分析の結果をもとに応募書類を作成するというのが一般的な流れです。やることが多いため、他己分析は就活が本格化する前に早めに終わらせましょう。
面接が多く入る時期だとお互いに忙しく、なかなか都合が合わないためです。
直接対面しなくてもLINEや電話、メールなどでも実施できますが、明日面接なのに連絡がつかないと非常事態です。
遅くても大企業のエントリーが本格化する3年次の3月の前に実施することをおすすめします。
他己分析を行った感想は?満足・不満双方の意見
他己分析の有益さやメリットを伝えてきましたが、中には「信用できない」と感じている人もいませんか。
実際に体験した人の声を聞かないと、重い腰を上げてやってみようと思わないのは致し方ないのかもしれません。
他己分析を行った良い感想で多い意見は「今まで知らなかった一面を発見できた」です。一方で悪い感想もあり、「見当はずれで参考にならなかった」と漏らす人もいます。
ここでは他己分析の満足・不満双方の意見について詳しくチェックしましょう。
今まで知らなかった一面を発見できた
「他己分析を行って満足した」と答えた人の意見を集約すると、新たな一面を発見できたという回答に行きつきます。次に、他己分析で満足した人のリアルな意見をまとめました。
- 10年間続けていた部活では良い成績を残したわけではなかったため、自分ではアピールできないと考えていた。しかし友人から「10年続けただけでもすごい継続力だと思うよ」と言ってもらい、励みになった
- 人見知りなので人とあまり関わりたくなかったが、バイト先の店長から「営業向きだと思うよ」と言ってもらえ、隠れた適性を知ることができた
- 自分では短所だと思っていた部分を幼馴染が肯定的に捉えていたので、自信になった
- 友人から「意思が強い部分があるよね」と言ってもらえ、新たな自分を発見できた
上記のように、他己分析が役に立ったと感じている人は少なくありません。
見当はずれで参考にならなかった
他己分析を行った全ての人が満足しているわけではなく、中には「参考にならなかった」と不満の声を漏らす人もいます。割合は肯定的な意見より少ないですが、リアルボイスを見てみましょう。
- 当たり障りのないことしか答えてくれず、がっかりした
- 自己分析と同じ結果が出たため、参考にならなかった
- 見当違いなことを言われて、信用できないと感じた
- 友人に自分の弱みを聞いたのに遠慮からか明確な回答がもらえず、意味がないと思った
- 指摘されるのは結局、過去の自分や現在の自分のことに過ぎず、将来的な事柄は分からないから
上記の意見のうち「見当違いだった」と感じている場合、自己分析の方に誤りがある可能性も否定できません。
思い込みを排除し、フラットな気持ちで他人の声に耳を傾ける必要があるかもしれません。
他己分析は誰に聞けば良い?
他己分析は多くの人に聞くのが良いとお伝えしましたが「いったい誰に聞けば良いだろう?」と悩む方はいませんか。
頼みやすさで言えば、友人や知人が適しています。厳しいところを率直に言ってくれるかという観点に立てば、家族も良い相手です。意外とおすすめしたいのが、過去に就活を経験している先輩やゼミの教授などです。
それぞれの相手方についてメリットやデメリットを中心に解説します。
1.友人や知人
他己分析の第一候補は友人や知人です。友人や知人に頼むメリットには、依頼しやすさが挙げられます。
同級生なら就職活動を共に行う仲間でもあるため、就活の悩みも相談しやすいでしょう。遠慮せずお互いに意見交換し、長所や短所などを深掘りしやすいはずです。
ただし再三お伝えしている通り、仲が良いからこそ採点が甘くなる危険はあります。大切な友人であるからこそ、厳しい言葉でも投げかけるべきだと言えるかもしれません。
友人にお願いするなら、あらかじめ「採点は厳しめでね!」とお願いしてもよいでしょう。
2.家族
両親や祖父母、兄弟などの家族も他己分析の相手として適しています。多くの方にとって家族は今まで最も長い時間を過ごしてきた存在です。
昔からの自分を一番知っている存在でもあるため、客観的な意見をもらえる可能性が高いです。短所を多く言い当てられる可能性もあり、委縮してしまわないように注意しましょう。
家族に自分のことを聞くのは、友人以上に恥ずかしいと感じるかもしれません。そんな人は自分で長所や短所だと思う箇所をさりげなく伝えて、同意を求める方式を採用するのがおすすめです。
3.就活の先輩やゼミの教官
実際に他己分析をした人は、就活経験者や社会人にお願いした方がよいと言っています。「参考にできる意見が見当たらなかった。就活経験者にお願いすれば良かった」との不安の声も聞かれます。
就活経験者は就活で活かせる長所や短所をある程度把握しているため、自己の経験に照らし合わせて、アピールに使える強みや弱みを教えてくれる可能性が高いです。
社会人なら採用目線に立って、アピールすると効果的な部分を教えてくれるでしょう。ゼミの教官は最初にゼミの面接を行っている可能性が高く、面接官の視点からの評価を受けやすいでしょう。
他己分析ができる診断ツールを紹介
中には「友人がいない」「大学でゼミに入っておらず、家族とも離れて暮らしている」など、他己分析を頼める相手が見つからず困っている人がいるかもしれません。
他己分析の相手がいない人に試してほしいのが、エニアグラム診断です。エニアグラム診断は性格分析手法の一種。行動や思考に関する質問に回答していき、結果を測定し9つの性格に分類するもの。
エニアグラム診断はインターネットから受けられます。ホームぺージ上に羅列された質問項目で当てはまる内容にチェックを入れていくだけで、長所や短所、行動傾向などを把握可能です。
エニアグラム診断を使えば、他己分析が短時間で終わります。きちんとやるなら多くの人に質問する必要があるため、煩わしいと感じる人もいるでしょう。
エニアグラム診断は簡単なだけでなく、精度が高いと評判です。ぜひ上手く活用し、辛い転職活動を乗り越えてください。
他己分析で新たな自分を発見しよう
友人や家族、先輩などに他己分析をお願いすることで、自分では気付かなかった新たな自分を発見できます。
見つかるのは良い部分ばかりではありませんが、客観的な視点を得られるため、自己分析には役に立ちます。
もし気軽に他己分析を依頼できる相手がいなければ、弊社のアドバイザーを活用してはいかがでしょうか。
転職相談チョイスでは友達に話すかのごとく、気軽な気持ちでアドバイザーと就活に関する相談ができます。相性が良いアドバイザーに出会えるかどうかは重要なポイントです。
ホームぺージには各アドバイザーが経歴や重視していることを公開しています。相談は無料で行っているため、ぜひお気軽にお問い合わせください。