
第二新卒での転職を検討している方の中には、「第二新卒はやめとけ」という情報を目にして、不安を抱いている方も多いのではないでしょうか。第二新卒での転職にはメリット・デメリットがあり、成功させるポイントを押さえて転職活動に取り組むことが大切です。
今回は、第二新卒はやめとけといわれる理由や、転職時のポイントなどを解説します。
第二新卒とは?

第二新卒の転職について考えるうえで、そもそも第二新卒とは誰のことを指すのかを理解しましょう。第二新卒とは、学校を卒業してから新卒で入社し、2〜3年以内で転職を志す若者のことを指す場合が多いです。
第二新卒とよく似た言葉に既卒があり、自身がどれに該当するか迷っている方もいらっしゃるでしょう。また、第二新卒は珍しい存在なのでしょうか。
ここでは、第二新卒の定義や第二新卒の割合について解説します。
第二新卒の定義
入社タイミングや最終学歴は人によって異なるため、実は第二新卒に明確な定義はありません。しかし、一般的には新卒入社から2〜3年以内に離職し、転職活動を行う求職者のことを指します。
そのため、求人情報に「第二新卒歓迎」と記載されている場合は、卒業後に新卒で入社した、社会人経験が2〜3年ほどの20代中盤を指す場合が多いです。
なお、新卒は大学や大学院などを卒業し、その年に初めて社会人として働く方のことを指します。また、既卒は大学や大学院などを卒業後、正社員として勤務した経験がない方のことです。
そのため、第二新卒と既卒は、就業経験の有無が異なります。
第二新卒の割合
厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、新規大卒就職者のうち就職後3年以内の離職率は、31.5%という結果でした。約3割が、第二新卒として転職活動を行っていることになります。
第二新卒の割合は、業種によっても異なります。以下は、新規大卒就職者の3年以内離職率が特に高い業種です。
- 宿泊業・飲食サービス業:49.7%
- 生活関連サービス業・娯楽業:47.4%
- 教育・学習支援業:45.5%
- 医療、福祉:38.6%
- 不動産業、物品賃貸業:36.1%
業種によっては半数近くが第二新卒で就職活動を行っていることが読み取れます。このように、第二新卒は決して珍しい存在ではありません。
参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)を公表します」
第二新卒はやばい・やめとけといわれる理由
第二新卒での転職について調べていると、「第二新卒はやばい」「第二新卒での転職はやめとけ」というネガティブな言葉を目にする機会は多いです。結論から申し上げると、これは事実ではありません。しかし、そう言われる所以を知ることで、転職活動に役立てられます。
第二新卒での転職が難しいと考えられている理由は、以下のとおりです。
- すぐ辞めると思われているため
- スキル・経験不足で即戦力にはなれないため
- 職務経歴書に書くことがないため
- 企業の選択肢が少ないため
ここでは、「第二新卒はやめとけ」といわれる理由について解説します。
すぐ辞めると思われているため
第二新卒は、新卒で入社した会社を2〜3年で辞めているため、「今回もすぐに辞めるのではないか」と思われる可能性があります。そのため、企業が採用に消極的になりやすいと考えられているのです。
第二新卒の中には、明確なキャリアビジョンや志望動機を持っている方もいれば、仕事の辛さや人間関係のトラブルから逃げるために転職活動を進めている方もいます。
転職理由や志望動機を明確に伝えられないと、前者であっても「忍耐力がない」「飽きっぽい」というマイナスの印象を抱かれて、転職活動に失敗してしまう可能性が高いです。
そのため、なぜ新卒入社した会社とは合わなかったのか、次は何を重視して転職活動をしているかなどをアピールし、転職先では長く働く意志があることを伝える必要があります。
スキル・経験不足で即戦力にはなれないため
第二新卒は、社会人経験があるため新卒よりも実績やスキルをアピールしやすいです。しかし、2〜3年で得られるスキルや経験には限界があり、中途に比べると十分とは言えません。とにかく即戦力が欲しい、と考える企業の場合は、第二新卒よりも即戦力になりやすい中途が優遇される可能性があります。
また、ポテンシャルが主に重視される新卒の就職活動と異なり、学生時代の成果をアピールすることも難しいです。
そのため、第二新卒の転職は難しいといわれています。
職務経歴書に書くことがないため
第二新卒は、前述のとおり勤務年数が少なく、職務経歴書に書けるような前職での成果がない場合が多いです。書くことがないからといって「職歴なし」と記載してしまうと、書類選考で落とされ面接にすら進めない可能性があります。
実は、面接官が第二新卒の職務経歴書でチェックしているポイントは、社会人としての基本的なスキルや仕事へのやる気、人柄です。しかし、そのことを知らず情報量の薄い職務経歴書を作成してしまうと、転職活動に失敗してしまうリスクが高まります。
企業の選択肢が少ないため
すべての企業が第二新卒を募集しているわけではありません。新卒は、退職者の穴埋めを行うために大量に採用される一方、第二新卒は、異動や転勤による欠員を補うために募集される場合が多いです。
そのため、そもそも第二新卒を募集していない企業も多く存在し、募集したとしても人数が限られていたり、募集時期が不定期だったりします。
このように、第二新卒は転職先の選択肢が少なく、自分にあった企業を見つけるのが難しい可能性が高いです。就職を希望する先があっても、転職したいタイミングで募集が行われていない、というケースもあり、新卒採用に比べると就職が難しいとされています。
第二新卒のメリット
ここまで第二新卒の転職が難しいといわれる理由について解説しましたが、実は第二新卒での転職にはメリットがあり、第二新卒ならではの強みも存在します。採用担当者に自身をアピールするためには、第二新卒だからこその強みを理解しましょう。
ここでは、第二新卒で転職するメリットや、企業が第二新卒に期待している強みを紹介します。
- 異業種にチャレンジしやすい
- 新卒よりも転職するハードルが低い
- 将来に向けた転職ができる
- 柔軟性があり社風になじみやすい
異業種にチャレンジしやすい
実績やスキルが重視される中途採用の場合、「営業経験5年以上」のように応募条件に職歴に関する詳細な条件が定められていることが多いです。そのため、指定された経験がないとそもそも応募すらできない場合があります。
一方、社会人経験が少ない第二新卒採用の場合は、実績だけでなくポテンシャルも判断基準となるため、異業種にもチャレンジしやすいのがメリットです。逆に、第二新卒のタイミングを逃すと、未経験から異業種に挑戦するのは難しくなります。
新卒よりも就職するハードルが低い
第二新卒は、新卒と中途のいいところをとった存在とも言えます。ポテンシャルだけでなく、職歴によっては実績やスキルもアピールできるため、新卒時に縁がなかった企業にも再度挑戦しやすいのがメリットです。場合によっては、新卒よりも就職するハードルが低いと考えられます。
また、基本的なビジネスマナーやある程度の実務経験があることから、新卒よりも教育コストがかからず、重宝される可能性も高いです。
将来に向けた転職ができる
新卒で入った会社と自身の価値観がなかなか合わなかったり、仕事をしていくうちに新たな目標ができたりすることは少なくありません。第二新卒は、若くて体力もあり、その資質を評価する企業も多く存在します。そのため、自身のキャリアプランや目標に向けて積極的に挑戦しやすく、転職で将来を切り拓きやすいのがメリットです。
柔軟性があり社風になじみやすい
第二新卒は、中途よりも若く、経験が少ない分前職の価値観や社風に染まっていない場合が多いです。そのため、新しい会社でも比較的簡単になじめ、円滑に業務をスタートできます。一方、中途で転職すると、新しい環境になじむのに時間がかかったり、前職とのギャップがストレスになったりする可能性があります。
転職先でもスムーズになじめることは、企業にとってもメリットです。柔軟性の高さを期待して、第二新卒からの応募を受け入れている企業も存在します。
第二新卒のデメリット
第二新卒での転職には多くのメリットがある一方、以下のようなデメリットがある点には注意が必要です。
- 20代で転職歴ができてしまう
- 基本的なスキルやビジネスマナーが必要となる
- 即戦力が求められる可能性がある
- キャリアアップの妨げになる可能性がある
デメリットをよく理解しないままなんとなく転職活動を進めると、転職後に後悔してしまう危険性があります。メリット・デメリットをよく勘案したうえで、転職するか否かを決めましょう。
ここでは、第二新卒のデメリットについて解説します。
20代で転職歴ができてしまう
第二新卒で転職すると、20代で転職歴ができることになります。短期間で転職を繰り返す方のことを「ジョブホッパー」と呼び、「忍耐力がなく長続きしない」「協調性が低く人間関係をうまく築けない」などのマイナスな印象を与えてしまうリスクがあります。
転職回数が許容される回数は、20代後半であれば2回程度です。3回目以降は、その後の転職において不利になる可能性があるため、注意しましょう。
今の仕事に明確な不満はないがなんとなく仕事に飽きたため、のような曖昧な理由で転職を考えるのはおすすめできません。
基本的なスキルやビジネスマナーが必要となる
第二新卒の採用試験では、社会人としての基本的なスキルやビジネスマナーが身についていることが重視されます。また、名刺の渡し方や電話の応対方法、ビジネスメールの書き方といった基本的なビジネスマナーについては、入社後に教えてもらえない可能性が高いです。
ビジネスマナーのほかにも、以下のようなスキルについては問題なく身についているかを確認しましょう。
- パソコンスキル
- コミュニケーションスキル
- 業界や企業に対する理解
- 業務に関する基本的な知識
即戦力が求められる可能性がある
教育コストをかけずに現場で活躍できる人材は、多くの企業から重宝されます。企業によっては、第二新卒が即戦力となることを期待して、採用している場合も多いです。
即戦力を求めている場合、入社後の研修に時間をかけてもらえなかったり、十分な知識がないまますぐに現場に出ないといけなかったりするため、入社後に苦労する可能性があります。
キャリアアップの妨げになる可能性がある
第二新卒で転職すると、新卒と同様に一からのスタートになります。そのため、キャリアアップの妨げになるリスクがある点には注意が必要です。
新卒と第二新卒では、給与水準がほとんど変わらない会社が多く、収入を上げるためには地道に実績を積まなければなりません。また、管理職に昇進するまで時間がかかることもあり、もとの会社にいた方が早いうちにキャリアアップできる可能性もあります。
転職する前にキャリアプランをよく考え、転職が自身の目標を達成するために有効であるかを検討しましょう。
ただし、IT企業やベンチャー企業では、若いうちからキャリアアップのために転職する方も多く存在します。第二新卒での転職が必ずしもキャリアアップの妨げになるわけではありません。
第二新卒が転職する際の5つのポイント
第二新卒で転職する際は、以下の5つのポイントを押さえましょう。
- ビジョンを明確にする
- 自身の強みをアピールする
- 履歴書・職務経歴書の完成度を高める
- ポジティブな退職理由を具体的に説明できるようにする
- 転職エージェントを活用する
転職に成功するためには、入念な準備が必要です。転職を意識したら早めに行動し、十分に時間をかけて万全な状態で転職に挑みましょう。
ここでは、第二新卒が転職する際のポイントについて解説します。
1.ビジョンを明確にする
転職活動を始める前に、まずは自身のキャリアビジョンを明確にしましょう。挑戦したいことや身につけたいスキル、理想の働き方など、ビジョンによって今やるべきことが大きく変わります。
ビジョンを明らかにすることで、それを達成できる転職先を見つけやすくなり、入社後のミスマッチも防げるのもメリットです。説得力のある志望動機を作成することにもつながるため、転職に成功する可能性も高まります。
2.自身の強みをアピールする
中途よりも経験やスキルが不十分な第二新卒は、自身の強みをアピールすることが大切です。
まずは自己分析を徹底し、強みを明確化しましょう。
自己分析では、学生時代に得意だったことや興味のあること、前職で印象的だった出来事などを振り返り、「なぜ得意だったのか」「なぜ興味を持ったのか」など、深掘りします。
強みを洗い出した後、企業が求める人物像にマッチする部分をピックアップし、自己PRに役立ててください。
3.履歴書・職務経歴書の完成度を高める
履歴書や職務経歴書は、選考において重要な判断基準です。志望度の高さや自身の強みなどを明確に記載し、内容の濃い完成度の高い応募書類を作成しましょう。
不備がある場合は、書類選考の段階で不採用となってしまいます。インターネットに多くの記載例が掲載されているため、参考にしながら、正しく応募書類を記載してください。
第二新卒の場合、特に職務経歴書の書き方に迷う場合が多いです。ビジネスにおける基礎的な知識やスキルが身についていることをアピールできるよう、以下のポイントを強調して記載する必要があります。
- 新人研修で受けた教育や、身につけた知識・スキル
- 前職で経験した業務
- 仕事を進めるうえで工夫していたこと
経験が少なく書ける内容が薄くても、書き方を工夫して完成度の高い書類を作成することが大切です。
4.ポジティブな退職理由を具体的に説明できるようにする
面接では、退職理由や転職理由を聞かれる場合が多いです。「仕事がつまらなかった」「人間関係に問題があった」などネガディブな理由で転職を検討する方も多いですが、ポジティブな理由を説明できるようにしましょう。
例えば、「仕事がつまらなかった」は「より成長できる環境に行きたかった」と言い換えられます。
ネガティブな理由だけでは、「自分勝手な理由で転職する人」という印象を与えかねません。ポジティブな理由を具体的に説明できるように準備しましょう。
5.転職エージェントを活用する
転職エージェントを活用することで、プロのキャリアアドバイザーからアドバイスをもらいながら転職活動を進められます。企業選びや志望動機の整理、面接対策まで、転職活動を一貫してサポートしてくれる心強い存在です。転職活動の参考になる有益な情報を提供してくれることもあります。
1人で転職活動を進めることに不安がある方や、プロのアドバイスを聞きながら自分にあった転職先を見つけたい方には、転職エージェントの活用がおすすめです。第二新卒の転職に特化した転職エージェントも存在するため、ぜひ活用してみてください。
第二新卒の転職を成功させよう
今回は、第二新卒の転職について、「やめとけ」といわれる理由や第二新卒で転職するメリット・デメリット、転職に成功するポイントなどを解説しました。
第二新卒での転職は珍しいことではなく、第二新卒ならではの強みを活かせば転職に成功する可能性が高いです。今回紹介したポイントを意識し、転職エージェントの力も借りながら、キャリアを切り拓くために転職活動に挑戦してみましょう。
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