中途採用は月によって求人数も増減している
通年採用が増えてきている昨今ですが、それでも求人数が特段増える月というものがあります。今回は厚生労働省が毎月公表している「一般職業紹介状況」を元に、転職のベストな時期をお伝えしていきたいと思います。
一般職業紹介状況とは?
一般職業紹介状況とは、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況を厚生労働省がとりまとめたもので、毎月公表されています。
データには「有効求職者数」、「有効求人数」、そして「有効求人倍率」がまとめられており、特に「有効求人倍率」は倍率が1を上回れば、求職者よりも求人が多く、下回れば求職者の方が多いことを示すため、雇用動向を示す重要指標のひとつであると同時に、景気動向指数の一致指数となっています。
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年3月分及び令和3年度分)について(令和4年4月26日発表)」(※1)
令和3年度で一番有効求人倍率が高かった月は?
上記を参照するに、最も有効求人倍率が高い月は「3月」であり、やはり年度の変わり目であるこの月は求職者に対して求人数も多くなっていることが分かります。
なぜ3月は求人数が増えるの?
一般的に日本の年度始まりは「4月」となっており、会社の中ではそれに向けて年末年始あたりから人事異動や組織再編が行われます。異動、退職含め改めて不足している人材を把握、求人応募をかける企業が多いため1月から3月にかけては求人がどんどん増えているのです。
「3月」以外にオススメの時期は?
年度の変わり目である3月は求人数が増える月ですが、4月には求人数が減って有効倍率も下がっており、3月がいわゆる「勝負どころ」ではあるようです。
なぜ4月に求人数は減るの?
当然のことながら、4月は年度はじめであり、中途採用はもちろんですが、新卒入社の社員も多く入ってきます。人事部としてはまず新卒入社の社員の育成にするため、中途入社の応募を一時ストップする企業が多いようです。
オススメの時期は「7月」
グラフを見れば分かるように、6月から7月にかけて有効求人倍率がぐぐっと上がっていますね。これはつまり、求職者に対して求人数が上回る時期であり、転職にはオススメの時期と言えます。
7月って実は・・・・・・。
実は、この7月というのは夏のボーナスをもらって退職する社員が多い時期でもあります。それに加え、年度の下半期が始まる10月には異動もありますから、10月入社に向けた転職者向けの求人が多くなるのもこの時期です。
そのため、同じように夏のボーナスをもらって辞めよう、と考えている転職者にはピンポイントでオススメできる月といえます。
それなら1月は?
ボーナスをもらって、というなら1月も同様では?と思うかもしれません。
確かに1月からどんどん求人倍率は上がっており、転職しやすい月のひとつではありますが、やはり3月の方が求人が増えるのは言うまでもありません。もしよくよく会社を吟味したいなら3月まで就職活動を行い、早めに今の会社を辞めたい!という人は1月から始める、など、自分のペースに合わせた就職活動を行いましょう。
オススメしない時期は?
3月や7月は求人数も増え、転職にオススメの月ですが、逆にオススメしづらい月もあります。
4月はどこも忙しい
前述したように、4月は年度初めの時期であり、新卒・中途ともに新しい人材が会社に入ってくる時期でもあります。引き継ぎや育成など現場はもちろん人事部も忙しい時期ですから、もし求人があってもじっくり時間が取れない場合もあるでしょう。
もしまだ経済的にも余裕があり、気になる求人も無い場合は、4月はじっくりと準備期間に充てる方が良いかもしれません。
8月、12月はスケジューリングが難しい
8月はお盆という長期休暇に加え、下半期に向けての異動や決算などもあるため、繁忙期である会社が多いです。そのため求人数も減るほか、日程調整も難しい月でもあります。もし10月入社を目指しているなら、7月から就職活動をはじめてみるのがベストでしょう。
12月も同様に年末休暇があり、休暇の前に仕事を一段落させるため8月同様、繁忙期である会社が多いです。そのため、求人が徐々に増えてくる時期ではありますが、自分の所属している会社の忙しさと照らし合わせて転職活動を行うことをオススメします。
転職タイプ別オススメ時期
では、7月と3月、どちらで転職を考えるべきか。それぞれのタイプ別にオススメ月をご紹介していきます。
3月に転職した方が良い人:今の職場を円満に退職したい人
繁忙期や休みの多い時期に退職します、とは中々言いだしにくいですよね。職場環境によっては有給休暇も心情的に取りづらく、気まずい中で引き継ぎなども行わなくてはいけません。
ですが、2月、3月の年度末とは一般的に退職や異動も多く、比較的にスムーズに退職できる月でもあります。
そのため、円満に退職したい、退職した後も現在勤めている会社の方々と関係を持ち続けていたい、と思っている方は3月での転職をオススメします。
3月に転職した方が良い人:長期化を避けたい人
グラフを見ればわかるように、3月は求人数が一番増える時期でもあり、それだけ求人倍率も高くなっています。そのため「次の会社に早く決まりたい!」「早く転職したい!」という方は3月に行うことで、より転職の成功率を上げることができるでしょう。
ですが、衝動的な転職活動はあまりオススメしません。自己分析と企業分析をきちんと行い、自分が納得できる会社に転職できるようにしておきましょう。
7月に転職した方が良い人:長期休暇がほしい人
7月に転職活動を行い、8月から入職、というパターンももちろんありますが、8月は長期休暇を挟むので、9月や10月から入社、というパターンも多いようです。
そのため7月に転職活動を行い、ボーナスをもらって今の会社を退職。8月はゆっくりバカンスをして9月から心機一転次の会社に、というふうに、自分のライフプランを考えて「ゆっくり旅行に行きたい」「ボーナスを使って休暇を満喫したい」という方は7月の転職活動をオススメします。
7月に転職した方が良い人:余裕を持って転職活動をしたい人
年度末というのは決算や引き継ぎなどで忙しく、転職活動にあまり時間が割けない時期でもあります。年度始まりも同様のため、その点7月というのは年度始まりから少し経って現場も徐々に落ち着き、業界によっては繁忙期ですがそれでもスケジューリングがしやすい傾向にあります。
そのためスケジュール管理を円滑に行いたい方や、じっくり準備をして転職活動を行いたい、という方は7月をオススメします。
まとめ
今回は中途入社において求人数の増える時期や、オススメの月、オススメするタイプまでお伝えしてきました。
もちろん求人数の増減はあるものの、まず大事なのは自己分析と企業分析。明確な転職理由や自分の経歴の言語化に努め、よりよい転職活動につなげましょう。
その上でぜひ今回ご紹介したポイントを活かし、実りある転職活動にしていただけたらと思います。