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インタビュー

「不登校になったから今がある」。ミス・ユニバースが語る“自分らしく生きる”ためのメンタルコントロール術とは?

新型コロナウイルスにより、自分の人生や仕事について向き合う時間が増えたこの一年。きっと多くの方が将来への不安だけでなく、“今の自分を変えたい”と願うようになったはず。

そこで今回は、個性を見つけ、貫くことで「自分らしく楽に生きられるようになった」と語る木部さんにインタビュー。

中学時代の壮絶ないじめのせいで誰よりも人の目を気にしていた木部さんが、過去と決別できた理由とは? そこには、自己分析の大切さやミス・ユニバースの経験で身につけたメンタルコントロール術が隠されていました。

■プロフィール
木部 真里(きべ まり)/1994年生まれ26歳。2017年度のミス・ユニバースで群馬代表として日本大会のファイナリストに選出。現在はフリーランスのモデルとして活躍中。その他、2021年ベストオブミス群馬大会(ミス・ユニバース、ミス・グランド、ミス・ユニバーシティの3大会合同のミスコンテスト)の運営や講師を担当。

ミス・ユニバースで求められるのは、外見の美しさではなく内面の美しさ


2017年度のミス・ユニバースジャパンを経て、現在の活動内容を教えてください。

フリーランスでモデル活動をしながら、ミスコンの運営や講師を担当しています。

昨年から今年にかけては、群馬県で開催されるミスコンの公式トレーナーとして携わらせて頂いていますね。群馬県代表のミスを決める大会が3月20日にあったので、約半年かけて、ミスコンで求められる資質についてイチから教えていました。

ミスコンはどのような評価基準で審査されるのでしょうか?

ミスコンって外見が重視されるイメージがありませんか? でも実は間違っていて、大切なのは知性や感性、人間性といった内面です。

審査項目にはウォーキングやボディメイク、ヘアメイク、スピーチなどがありますが、あくまで評価は容姿ではなく内側から溢れる美しさ。

特にスピーチは「ミスとして自分はどうしていきたいのか」を伝える必要があるので、人間性がそのまま評価されます。ミスを目指す理由や理想の姿など自分について理解していないと話せないので、自己分析が徹底的に求められますね。

自己分析を通じて気づいたことはありましたか?

“個性を見つけて貫くこと”の大切さがわかりました。自己分析により自分の個性を見つけられます。

ただ、難しいのはその個性を貫くこと。貫き続けるためには人と比べないことが求められましたね。

ミス・ユニバースは大会当日だけではなくレッスン期間も含めて選考されるので、常に順位が付けられます。結果が出ないと落ち込んで自信を失うため、つい人と比べてしまうことも…。

だからこそ、人と比べずに自信を持ち続けるためには、自分で自分のメンタルをコントロールできなければいけません。

この経験を通じて、人の目ばかり気にしていた私も個性を大切にするようになり、自分らしく楽に生きられるようになりました。

苦しむ人がいれば手を差し伸べたい。いじめのおかげで今がある


そもそもなぜ木部さんはミス・ユニバースに応募したのですか?

私は「1人が動けば社会は変わる」と信じています。1人ひとりの行動の積み重ねが大きなムーブメントにつながるはずです。

自分と同じように苦しむ人を救いたいと強く思っていたので、その1人になるために、社会貢献を目的に活動するミス・ユニバースに応募しました。

実はその背景にはいじめられた過去が関係していて…。当時は不登校になるくらい辛かったですけど、その経験があったからこそ今があると思えるようになりました。

中学時代のいじめの話について詳しく聞いても大丈夫でしょうか…?

気にしなくて大丈夫ですよ! 今は「真里って何も悩みなさそうだよね」と言われるくらいの性格なので(笑)。

いじめのきっかけは部活動でよくある小さな揉め事です。所属していたバドミントン部で先生と部員の意見で私が部長をやることになって。

ただ、他に部長になりたい子がいたので、「なんであなたが部長に選ばれるの?」とその子とそのグループの子達からいじめられるようになりました。いじめは部活全体に広がり、練習すらできない状況でしたね。

さらに、いじめの主犯グループが「木部が部活のメンバーをいじめている」とデマを部活の外にも広めて、結局は学校でも居場所を失いました。

いじめられている様子をたまたま先生が見つけ、両親とカウンセラーも交えて面談したうえで、不登校を選択しました。2年生の2〜3学期の間は一度も学校に行っていません。受験もあったので、3年生から別室登校を始めて、徐々に教室に行けるようになりました。

いつからミス・ユニバースを意識するようになったのですか?

大学に通っていた22歳の頃です。たまたま、母が読む新聞にミス・ユニバース群馬県大会の広告が掲載されていて、「ミス・ユニバース群馬大会があるんだって。出てみたら?」と声をかけられて。

小学生の頃から人のために何か力になりたい!と思い、募金活動や自然保護活動をしていたので、社会貢献活動に興味があると考えたのでしょう。

改めてミス・ユニバースについて調べると、社会貢献やオピニオンリーダーという言葉に私のアンテナが反応して。「ミスになれば、社会に貢献するオピニオンリーダーとして、1人でも多くの人を救える」と確信して応募しましたね。

誰かのコピーにはならない。比べるのは昨日の自分ただ1人


木部さんが出場した2017年度のミス・ユニバース大会の流れについて教えてください。

まずは都道府県の代表を決める地方予選、その後に世界大会に向けたファイナリストの育成プログラムを経て、最後の日本大会があります。

私の結果は地方予選で、モデルやミスコン経験者をはじめ、ライバルが出揃うなか群馬県代表に選出。その後、各都道府県の代表47人が集まる日本大会では、群馬県初となる一回戦突破を果たしました。

私が出場した日本大会では、最初にメディアへのお披露目会があり、その日から審査は始まっていました。

この日からウォーキングやメイク、スピーチはもちろん、衣装選びに立ち振る舞いまで常にチェックされていますね。

そこからは約3ヶ月の間でファイナリスト向け育成プログラム『ビューティーキャンプ』もスタートします。

毎月ファイナリスト全員が招集される日があり、講師の先生から実践形式のレッスンを受け、アドバイスをもらうと同時に審査も入ります。

途中からはレッスンの審査結果をもとにランク分けもされました。1人ひとりのランキングも発表されるのでメンタルが落ち込むことも…。

常にランク付けされるのはメンタルに影響が出ますよね。精神的に1番きつかったことは何でしたか?

やっぱり6月の2週間で行われた、『ホテル椿山荘東京』での最後のビューティーキャンプですね。まさにこれまでのレッスンの集大成でした。

レッスンは毎日9時から17時までみっちり。その後、19時までは自主練の時間を設けられ、自由時間は19時から21時のみ。夜も振り返りや翌日のイメトレをしていたので、睡眠時間は2〜3時間ほどでした。

また、外部との交流は禁止されていたため、1人きりで自分と向き合い続けなければいけません。

レッスン内容には、ファイナリスト同士による1対1の対決もあります。

例えば、ウォーキングやスピーチで群馬県代表の私と、東京代表のファイナリストが勝負するなど。勝敗もランキングに影響するのでみんな真剣そのもので、緊張感が漂っていました。

しかも、いつ勝負が始まるかは分かりません。常に肉体的にも精神的にもベストコンディション保つ必要がありました。

また、この2週間は休憩中も含めて審査用のカメラが1日中回っています。ホテルの寝室に戻るその時までは一瞬たりとも気は抜けません。

過酷なスケジュールのなかで常に緊張感を抱え、ランキングまで発表される状況では、精神的に追い込まれて自分が見えなくなることも…。


そこで大切となるのが、先ほど言っていた“個性を見つけて、貫くこと”だと。

その通りです。講師の先生もアドバイスをくれますが、ファイナリスト47人全員の細かな課題にまで目を向けられません。大切なのは自己分析を通して個性を見つけること。

そして、「どうしたら私の目指す理想のミスに近づけるのか?」と自分を見つめ直して、個性を磨き続けること。

そのとき、順位ばかりに囚われると、いつの間にか他人の真似ごとをするようになってしまうことも。個性を失ってしまえば、自分は真似しているだけの“誰かのコピー”。

嘘の自分では受賞することは不可能でしょう。だからこそ、自分でメンタルをコントロールして個性を貫くことが求められました。

ミス・ユニバース出場の経験を経て、木部さんに変化はありましたか?

性格や価値観が大きく変わりました! 自己分析の結果を比べても、ミスコン出場前よりも今の自分の方が圧倒的に好きですね。

いじめられた過去もあったので、出場前の自己分析の結果は「周りの目を気にし過ぎている」「周りと比べてしまう」と自己肯定感の低い人間でした。

今では「リーダーシップが取れる」「誰とでも分け隔てなく接することができる」「他者の意見を素直に受け入れる」などポジティブなワードが当てはまります。

そして何よりメンタルコントロールができるようになってからは、人と比べず自分に自信を持てるようになりました。

さらに、自分らしくいられることで生きるのも楽になりましたね。唯一比べるとしたら、昨日の自分だけです。

自己分析とメンタルコントロールで「自分らしく楽に生きる」


木部さんのように、もっと「自分らしく楽に生きていたい」と願う人は何から始めれば良いでしょうか?

まずは個性を見つけるための自己分析ですね。

私が思う個性とは長所と短所のどちらも含めたもの。自己分析のやり方も特別なことはなく、まずは“長所と短所を書き出す”といった誰でもすぐにできる内容です。

あとは第三者にも「私の長所と短所は何だと思う?」と自分の個性について意見を聞いてみましょう。主観と客観で出した長所と短所を合わせれば必ず個性を発見できます。

自己分析のやり方は分かりました。ただ、個性を見つけて自分らしく生きようと思っても、日常ではSNSなどを通じてつい人と比べてしまうことってありませんか?

誰かに目を向けるのではなく、自分に目を向けるようにすれば大丈夫ですよ!

人と比べることのほとんどは、他の誰かを羨む気持ちや自分ができないことを悔しがる気持ちですよね。

「あの人はいいな」とか「どうせ私なんて」と思ったときに、「なぜ、そう感じたのか?」と自分に問いかけてみてください。

羨む気持ちからは「どうしたいのか」という願望が見つかり、悔しがる気持ちからは「どうすべきなのか」という課題が見つかります。

自分に目を向けることで、今まで誰かと比べてモヤモヤしていた感情はきっとなくなりますよ。

また、“なぜ、そう感じたのか?”と自分と向き合うことは自己分析そのものです。発見した願望や課題に向かって行動すれば、人と比べていた時間は自分が成長する機会に変化します。自分と向き合いながら行動する習慣をつけることで、個性はさらに磨かれます。

そのうえで、自信を持ち続けるためにも自分でメンタルをコントロールできるようにしますね。

自信を持って自分らしく生きるためにメンタルコントロールが必要ということでしょうか。

そうですね。生きていれば、さっき言った通りに人と比べてしまったり、課題を乗り越えられなかったり、さらには生き方を否定されたりもします。

そんなとき、「もっと頑張るぞ!」とポジティブな気持ちになることもあれば、「もうダメだ…」とネガティブな気持ちになることもありませんか?

ネガティブな気持ちになるということは、メンタルが落ちている証拠です。その状態で、自分の悪いところやできないことに向き合い続けると、誰だって自信を失くします。

そうすると、メンタルはさらに落ちていくばかりで、余計にネガティブな感情が溢れてくるものです。

そのメンタルの下降にブレーキをかけるためにも、ネガティブな感情のときこそ、自分の長所やできることに目を向けましょう。

さらに、その内容を声に出して潜在意識に語りかける『アファメーション』で、自分をポジティブな感情に持っていくんです。

波のようにメンタルの状態をイメージして、「メンタルが落ちていきそう」と感じたら、とにかく自分を褒める! メンタルはコントロールできないなんてただの思い込みです。必ずコントロールできます。

このメンタルコントロールは仕事で困難に立ち向かうときにも使えるので、ぜひ試してみてくださいね。

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Written by

松田岳

松田岳

1992年生まれのフリーライター兼編集者。前の仕事は中途採用の転職エージェント。現在は採用・医療・グルメのジャンルを中心に取材から執筆まで担当しています。人生で大切なことは漫画とアニメが教えてくれました。

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