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インタビュー

歌もチョコも。すべてが私の一部。好きと自由を追求する私らしい生き方を。 /金子 実加

自分らしく好きな事を追求して働きながら生きることは、誰しもが憧れる人生ではないでしょうか。しかし、周囲の目や目の前の現実が気になり、その憧れから距離を取っている人も少なくないはずで。
「どうすれば憧れに近づけるか」とヒントを求めている人に向け、今回はアパレルのプロデューサーを経て、シンガーソングライターやチョコレートソムリエの肩書きを持つ金子実加さん(アーティスト名:MIKA)にインタビューを行い、自分らしさを発揮して働くまでの軌跡を辿ってみました。

■プロフィール
・金子 実加(カネコ ミカ/1990年1月27日/京都府出身)
・高校の3年間フランスに留学
・大学は関西大学文学部総合人文学科フランス語フランス文学専攻。大学生時代にモデル活動を開始
・卒業後、SHIBUYA109で売れ筋トップのアパレル企業の企画職として入社
・退職後、シンガーソングライター、アーティスト名はMIKA。シングル曲iTunesレコチョクetc..配信中
・チョコレートソムリエの肩書を持ち、チョコレートの魅力をSNS等で発信しながらアドバイザーとしても活躍中
・その他、有料動画配信サービスで人気を誇る婚活番組シーズン3に参加

周囲とのギャップに戸惑う日々

幼少期の頃から公文やピアノ、絵画、習字、水泳、テニス、クレシックバレーなど、多くの習い事をしていました。送り迎えもして貰い通っていました、親子ともに忙しい日々を過ごしていましたね。

今思えば、教養として身についたので、無駄じゃなかったと思えています。小学校受験を経験。キリストの教えを基盤とする京都の由緒正しい私立小学校に入学しました。家系として代々通っていた学校なので、特にその道に違和感を覚えることなく進みました。

入学してみると、学校の伝統的な規則の厳しさに驚きました。制服や日頃の生活態度など、あらゆる面で決まりが多かったんです。
シスターである担任の先生に細い私の体型のことまで指摘され、「自分の個性を否定されて、私って駄目なんだ。」と思っていました。

そんな思いを友だちと共有できればよかったんですけど、周りの子たちは、その日常を当たり前だと認識しているようでした。仲の良い友達はいたのですが、心から打ち明けることはできませんでした。

そんなときに助けになっていたのが、「音楽」だったのです。

もともと父親が音楽好きだったこともあり、自宅には、本格的なスピーカーやたくさんのレコードが置いてあり、母や姉も音楽が好きだったこともあり身近な環境でした。

クラシックから洋楽、邦楽とさまざまなジャンルを聞きましたが当時、私のお気に入りは、個性を貫いているアーティストやキラキラしたアイドルでした。特にGACKTさんは、自分の個性を貫いていて語学堪能で憧れていました。歌手の夢を持ったのは、ちょうどこの頃です。
両親にも歌手になりたいとずっと伝えていたのですが、学生の仕事は勉強だと、反対されていたのです。

小学校5年生になる頃には歌手への憧れが押さえきれなくなり、友だちと東京の事務所にオーディションを受けにいきました。
自分でコツコツ貯めたお小遣いで新幹線の往復チケットを買いました。東京に行ったのは良いものの、その日は土曜日。案の定、事務所は空いておらず、その時は何もできず終わりましたね(笑)

両親にも何も告げずに行ったので、門限が過ぎてしまいとても心配し、後からこてんぱんに怒られましたね。けど、夢の一歩のために自分の力で行動できた事が嬉しかったです。

女子中学校に上がってからは、学校の厳しい規則はより一層強まり、皆が同じでなければいけない決まりに縛られる環境により一層と違和感を感じるようになっていました。

もちろん、ルールは大人数の協調を保つ上では必要なこと。しかし、”個性を殺し、新しい良い意見よりも伝統が全てであり、周りに合わせるのが正義”という雰囲気に疑問を感じていたのです。

自分の考えや価値観を意見できる事が珍しかったようで、少数派で珍しい、否定される辛い経験もしてきました。
そんなときに担当の先生に「その性格では日本で生きられないよ」と言われてしまいました。

この発言の衝撃は今でも鮮明に覚えています。そこから、「自分はこの世界では少数派(マイノリティ)なんだ、日本に合わないんだ」と思うようになり、海外を志すようになりました。

留学先の出会いが自分を肯定した。誰かの常識は誰かの非常識

留学先に選んだのはフランスでした。フランスは、個性を大切にする国であり、愛の表現がたくさんあり、おしゃれなフランスに憧れがありました。
フランス国旗には自由、平等、博愛という精神が宿っているとされています。そんな環境であれば、私自身もイキイキと生活していけるのではないかと思い、留学先として選びました。

進学したのは『フランス甲南学園トゥレーヌ高等学校』でした。この学校はフランスの旧首都であるトゥール(日本でいう京都みたいな感じです!)、フランス語を学ぶには最適な土地だったんです。入学すれば厳しい規則から解放されると思いきや、変わったのは服装だけでした!

男女交際は禁止、2人で話しているだけでも怒られました。寮生活では朝の起床からすべてのスケジュールを分刻みで管理されるような生活でした。寮母さんの見回りもあったのでほとんど遊べず、自由がほぼない、まるで刑務所のような環境でしたね(笑)

高校2年生からは寮を出て、ホームステイ先で生活をしていました。フランス人家族は本当の家族のように接してくれて、自由ですごく楽しかったです。

マダムとムッシューは「ミカは自分の意見をしっかり伝えてくれる、オープンマインドな良い子だね。だいたいの日本人の子は夕飯を美味しいですと言いながらも残す。夕飯が済むとすぐに部屋に帰ってしまうなど、言葉と行動が違う事が不思議だったんだ。君はフランス人みたいだね。」と言ってもらえたことがあって、とても驚きました。

これまで否定されてきた性格が、場所が変わるとポジティブな印象に変わるのだと、このとき初めて知りました。世界では、自分の考えを発信することがダメなことではない、自分はこれで良いんだと思えた瞬間でしたね。

また留学時には、シャンソンの習い事をしたり、ダンスサークルに入ったり、学校イベントに参加して自分らしさを隠すことなく、思う存分楽しめるようになっていましたね。
人前に立つ機会も増えたことで、周りからも認めてもらうこともあり、日本に戻っても、人前に出るような経験・仕事をしたいと強く思えるようになっていました。

表現者への想いが募る日々

「大学は卒業してほしい」という両親の意向もあり、『関西大学』に進みました。

昔からの夢だった歌手への想いをもちつつ、人前に出るお仕事をするために、ファッション雑誌の読者モデルにも応募しました。ありがたいことに雑誌やテレビ番組など、少しずつ芸能のお仕事をいただくようになりました。
東京にも活動範囲を広げ、勉強をしながら夢のためにアルバイトをしながら自腹で東京の往復を繰り返していました。

芸能活動を通して、人に見られることや自分の魅せ方など、考えさせられる機会も多くて、すごく成長できたと思います。いろんな大人の方との出会いで価値観も広がりましたし、仕事をもらうありがたさや大変さも学びました。

また、学生時代は「身体が細いこと」を短所だと思っていたのですが、芸能のお仕事では褒められることが多くて。ここでも場所が変われば、短所は長所になるのだと気づかされました。

ファッション系の仕事を通じて、洋服への想いや愛情が強くなり、自分で洋服を作りたいという気持ちまで芽生え始めました。
まずは就職して、社会人としての心得を学ぼうと思い、アパレルの企業に務めました。

理想とかけ離れた社会人生活

当時、アパレル業界ではブランドの顔となり、おしゃれプロデューサーという存在が流行っていました。
女の子の憧れのような存在が、洋服をプロデュースすることによって、売上を伸ばすという仕組みだったんです。

私もそんな存在になって、「女の子を幸せにする洋服が作りたい!」と思い、企画職を志願しました。希望が通ったのは良いものの、思い描いていた洋服プロデュースとはかけ離れていました。

就職先はSHIBUYA109の中でも人気が高い好きなブランドだったのですが、お洋服の絵型など初めて知る事だらけで、ついていく事に必死でした。

すぐに企画書の提出やデザイン会議、多忙で大量生産、洋服を雑に扱わなければ間に合わない場面も多々見られるような環境だったのです。売上主義の考えも根付いていたため、真摯にお客様・洋服と向き合いたいという自分の気持ちとは正反対なものでした。

何より辛かったのは、作った企画書も上司に指示され作ったにも関わらず目を通さずに捨てられたり、投げられたり、残業代がつかない時間に怒られては掃除や雑用ばかりの日々で忙しく、つけまつげが外れているとデスクで嫌味を言われたりもしました。
右も左もわからない東京での初めての孤独な社会人経験は気が狂いそうでした。(笑)

この環境で日ごとにストレスが重なり、「死」を考える瞬間もあったほどです。仕事の辛さはもちろんのこと、慣れない東京での生活、恋人との別れ、いろんなことが重なり、精神的にも肉体的にもかなり参っていました。

誰にも打ち明けられず、呼吸をすることさえ困難に感じ、夜も眠れず、電車に乗る事も怖かったです。
いよいよ本格的に頭がおかしくなったかと思い、結果的に一年半で、この生活にピリオドを打ちました。

私らしくいるために表現し続ける

無になってから私は、自分らしさを取り戻すために好きなことが何かというところから向き合いました。

多忙の日々で自分らしさや好きなことさえわからない錯覚に陥っていました。「好きなこと・・・音楽、歌うことだ!」とそこからフリーのシンガーソングライターになり、日記に書いていた思いを歌詞にし、すぐにスタートしました。

思い返してみれば、自分の辛さって他人の当たり前に縛られ個性を否定される事、団体生活や組織に縛られることからきていると、気づいたんです。
だからこそ、事務所にも所属せず、自分自身を自由にプロデュースしていこうと思いました。

シンガーソングライターは、自分の表現する歌詞や曲で、誰かの背中を押せる喜びをとても感じられる仕事です。
人に評価されるためではなく、音楽が好きで自分にとって必要だから表現し続けています。

自分が万人受けしない事もさすがに理解して、他人に認めて欲しいと思う承認欲求も音楽を通してうまく克服できるようになったかなと思っています。まだまだ怖くなったり克服しないといけないことが山積みです(笑)

私の軸は、働くことは「自分らしい人生を過ごすための手段」だということです。そのために、仕事も好きなものをしていきたいし、自分らしさを活かして働いていたいと思っています。そのカタチは、一つにとどまらなくて、チョコレートソムリエとしても活動しています。

もともとチョコレートが大好きで、この魅力を広く発信していきたいという思いがありました。本物のチョコレートは健康と心にも良いと実証されています。
チョコレートは小さい頃からずっと食べていて大切な必需品です。だからこそ、自分の足でいろいろなお店に出向き、研究し、その情報を発信するような仕事をしています。

今はSNSでいただいた依頼に答えることしかできていませんが、将来的には、好きなチョコレートをプロデュースしたり、MIKAセレクトをしていきたいと考えています。

仕事への充実を感じながら、プライベートでは結婚も意識するようになって。30歳を目前にしたときには、有料動画配信サービスの有名婚活番組シーズン3にも出演しました。

これをきっかけに結婚への意識も変わり、大切な仲間に出逢えました。

それから今は、自分や愛する人たちとの時間を大切にしながら、仕事や料理や掃除など、すべきことの日常生活を丁寧に生き、当たり前にある日常の生活に感謝しながら、ワクワクして人生を謳歌したいと思っています。
フランス語学学校の秘書もしているので高校の頃の経験も生かせています。

自分の人生は自分だけのもの

これまでの経験で感じたのは、「働くために生きる日本人」「受け身な人」が多いように思います。

しかし、そんな思いで働いていると心が疲れてしまいますよね。私は留学先で学んだ、フランス人の「バカンスのために働く」という考え方が自分にしっくりきたんです。もちろん日本人の良いところもたくさんあります。

とは言っても、なかなか好きなことを仕事にしたり、好きなように生きたりするのは現実的じゃないと考える人も多いのではないでしょうか。「現実はこうだから」と諦めている人も多いかと思います。
でも、一度の人生を後悔しないためには失敗を恐れず、一歩を踏み出してみることが大切だと思うんです。

どんな人生を過ごしていてもネガティブな出来事との遭遇はつきものですよね。
そんなときに、その出来事をポジティブに変換していけると、素敵な人生が開けてくると思っています。物事は捉え方で180度変えることができます。

これを読んでくださっている皆さんの周りにも、夢を持つ事やできるわけがないと否定したりする人がいるかもしれません。

そのような人を私は「ドリームキラー」と呼んでいます。そういう人の意見は聞かない方がいいです。(笑)

自分の人生に責任を持つのは自分ですから、他人の言葉に傷つけられる必要がありません。 その環境に身を置かれるが故に「周りに評価される人間でいなきゃ」という想いが生まれているのなら一度、自分の気持ちに正直に向き合ってください。
誰かの当たり前に振り回されてあなただけの人生を否定しないでください。

私の周囲にいる素敵な大人たちに共通しているのは、「自分のやりたいことをやって楽しそうに生きている」こと。人に左右されずに、「僕、私はこれが好き」と自信を持って目を輝かせて語っています。

だから他人がどう生きようと干渉しませんし、尊重はします。そういう方はやはり人望もあつく、結果的にお金につながっているように見えます。

とにかく行動する事、それから失敗して学べば良いと思います。人との出会いや環境で人生は大きく変わります。受け身で他人から与えてもらうのを待つのではなく、一歩踏み出し、自らの手でチャンスを掴み取ってください。

大好きなディズニープリンセスも自ら行動しています。歴史からも学べる事は、革命を起こさない限り変わらないのです。他人からしたら些細な事でも、自分の中で積み上げていくと経験が自信をつくりだします。
鏡が先に笑う事もありません。自分から笑顔になるから鏡の自分が笑うのです。

この記事を読んで下さった方に感謝の気持ちを込めて…幸運を祈っております。私も日々、頑張っていきます。Merci. (MIKA KANEKO)

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HAKU

HAKU

大手人材会社にて、法人営業を経験後、制作部門に異動し製造、IT、飲食、エンタメとあらゆる業界の上場企業からスタートアップのベンチャーなど、10年超のキャリアにおいて約3000社以上の企業の取材・制作・ライティングを実施。関西の制作責任者を務めた後、フリーランスにて活動を開始。

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