日本だけでなく、世界にも店舗を展開しているストレッチ専門店「Dr.ストレッチ」(株式会社nobitel運営)。プロのトレーナーが行うストレッチは、アスリートから一般のお客様まで多くの人に利用されています。
今回紹介する紺谷さんは、2019年にDr.ストレッチに入社、2021年1月にDr.ストレッチの心斎橋店の店長に就任したばかりの方。紺谷さんは高校卒業後、工場で仕事をしてお金を貯めた後、ワーキングホリデーを利用してオーストラリアなどで働き、接客業などを経験したあとにこの世界に入りました。
「この仕事って、人生を変える仕事やなって思うんですよね」と笑う紺谷さんに、いままでのお仕事経験や今のお仕事について伺いました。
■プロフィール
・紺谷尚史(こんや なおふみ/石川県出身)
・工業高校卒業後、製造業に2年間勤務
・20歳の時にフィジーへ語学留学したのち、オーストラリアでワーキングホリデーを利用し働く
・帰国後、英会話講師やリゾートバイト、製造業などを経験し2019年にDr.ストレッチに入社
・2021年1月にDr.ストレッチ心斎橋店店長に就任
「俺にもできるんちゃうか」と語学留学&ワーキングホリデーへ
工業高校を卒業し、2年間工場で働いたあと、語学留学とワーキングホリデーに出た紺谷さん。高校の頃から海外に対する憧れはあったのかと思いきや、実はそうではなかったそうです。英語は赤点、外国に行ったことも憧れもまったくなし。高校を卒業したあとは、大学に進学するつもりだったそうです。
そんな紺谷さんが海外に目を向けたきっかけは、ある友人の存在でした。
紺谷さん
浪人したんですけどね、その頃、中学の友だちが、フィジーとオーストラリアに行ってたんですよ。それで現地の話を聞いていたら、すごく面白そうで。正直その友だち、内気でおとなしい感じの子だったんですけど、それが意外で。じゃあ、俺にもできるんちゃうかな、やってみたらきっとおもろいんちゃうかなと。
それからお金を貯めて、通帳を親に見せて『行かしてください!』と土下座したんです。
こうしてまず紺谷さんはフィジーに4ヶ月の語学留学をします。
紺谷さん
まあ、4ヶ月じゃあ英語は全然できるようにならないんですけどね。
そもそもフィジーって、みんなフィジー語かヒンディー語しか使わないんですよ。英語は通じるんですけどね。基本学校の中でしか英語が飛び交わない。そんなところで勉強してました。
語学留学のあとは、ワーキングホリデーを利用してオーストラリアへ。気になるのは、英語がまだまだできないのにうまくお仕事が見つかったのか、なのですが……
紺谷さん
ワーキングホリデー向けの英語の求人サイトが読めないから、日本語の求人サイトを見て、そこからテキスト送りました。それで、飛行機とバス乗り継いで何時間もかけて「来ました!」みたいな感じで。コミュニケーションは身振り手振りもフル活用、みたいな。
行った後は、東京ドーム30個ぶんのバナナファームで一日中収穫作業するんですよ。ウクライナ人、オーストラリア人、ドイツ人、イタリア人、インド人なんかと一緒でしたね。朝早くから夕方まで、暑い中ずっと。麦わら帽子が手放せなくて、もう作業が終わったらくったくた(笑)
そうやって働くうちに、英語も少しずつ上達。帰国後はこの経験を活かして英会話学校に勤めたこともあります。現在でも、外国人のお客様が来店したときの接客にこのときの経験が活きているのだそうです。
「手に職をつけて、海外で働きたい」とDr.ストレッチへ
帰国後、紺谷さんは「知らない土地で、知らない人と働きたい」といくつかの仕事を転々とします。テーマパークやリゾートでアルバイトをしたり、工場で重機の組み立てを行ったり……そして、工場の仕事をやめた後に求人サイトで見つけたのが、Dr.ストレッチの求人広告でした。
紺谷さん
そろそろ手に職つけたいな、と思ったんです。あと「海外制度あり」って言葉にもひかれました。また海外で働きたいとも思ってたので、この制度はありがたいな、と。
ただひとつ不安だったのは、地元石川県にDr.ストレッチのお店はなく、どんなお店なのかがよくわからなかったこと。しかしこの不安は、入社してすぐなくなりました。
紺谷さん
こんなに人に優しい会社ないんじゃないか、と感じましたね。
とにかく、上司から部下への関わり方が本当に優しい。立場が上の人ほど、しっかり下の人にいろいろ教えてくれたり、気を使ってくれたりする。それがすごく優しいし、かっこいいなと思ったんです。ああ、ああいう人になりたいなと自然と思いました。
入社して最初はストレッチの研修するんですけど、その指導してくれた人もとても優しかったんですよ。厳しい言葉もときにはありましたけど、根気よくじっくり教えてもらえて。いい人に教えてもらえたと感謝しています。
研修後、上本町YUFURA店で紺谷さんは働きはじめます。先輩やお客様にも恵まれ、一生懸命仕事に取り組んでいたのですが、そんな中起こったのが、新型コロナウイルス感染症の大流行。店舗も2ヶ月間休店を余儀なくされました。
紺谷さん
休業から復帰したあとは「僕らが引っ張って、盛り返すしかない」と思って仕事やったんです。厳しい状況やけど、自分たちならきっとできるって信じて。
そうしたら、過去最高の売上を出せたんですよ! 2ヶ月離れていたからこそ、みんなの、お客様のおかげでやっていけんやなと、そんなことに気づいたできごとでした。
こういった経験を積み重ね、紺谷さんの「仕事に対する考え方」も少しずつ変わってきたそうです。
紺谷さん
ストレッチって、人生変えるんですよ。たとえば、生まれてずっと50数年間前屈できなかった人が、ストレッチの結果できるようになる。できる人にとっては、たかが前屈かもしれません。だけどこの人にとっては、人生が変わるレベルの大きな変化だったりするんです。
ほかにも、気分が落ち込んていた人が、ストレッチして体動かして少し前向きな気持ちになることもあって。
お客様にすごく喜んでもらえて「ありがとう」と言ってもらえる。「ありがとう」と言ってもらえるとこっちも嬉しくて、僕の人生も変わっていく。素晴らしい仕事やなあと思います。
もちろん仕事だから、ストレスもプレッシャーも感じますよ。だけどそういうことすら今は楽しめるようになりました。働く意識も「働かされる」から「働く」に変わりましたね。
目指すは関西一、全国一、そして世界展開!
入社して約2年後の2021年1月、紺谷さんは心斎橋店の店長に就任しました。店長になって、仕事に対する気持ちや思いはどう変わったのでしょうか。
紺谷さん
がらりと変わりました。店長になったら、お客様に加え、お店のこと、スタッフのことも考えないといけません。
特にスタッフは、本人の人生5年後10年後を考えると、甘い言葉も厳しい言葉も両方必要なんですよね。しかもその言葉も、相手のバックボーンを知って、考えて選ばなきゃいけないわけで……
あと、スタッフの中には、僕よりキャリアが長い人もいます。そういう人に対するリスペクトももちろん忘れちゃいけない。大げさな言い方ですが、スタッフの人生を預かっているようなものだと思い、仕事をしています。
以前は僕自身が成長することだけ考えればよかったんですが、今はお店の成長、スタッフの成長もすべてひっくるめて考えなきゃいけない。これがとても大きな変化でした
そんな紺谷さんの、店長としての今後の目標について伺いました。
紺谷さん
お客様評価で、1年後には関西1位、2年後には全国1位を取りたいです!
Dr.ストレッチは横のつながりも強いんです。だから先輩に電話で相談したり、評価が高い店にどんなことやっているか聞いたり、実際に様子見に行ったりもしています。ライバルだからといって内緒にせず、みんなで頑張ろう、という雰囲気があるのはこの会社のいいところだと思います。
ただ、横のつながりがあるというのは同時に怖いところもあるんですよ。年に1回、スタッフさんたちが自分の上司を投票で決めるイベントがあるんです。そこで評価が悪いと、降格もありえるんです。スタッフ同士も交流しているから、店長についての評判も、ね(笑)
昇進したからといっても安心できない環境は緊張感がありますが、同時にとても面白くやりがいも感じますね。
それでは、個人としてはどんな目標をお持ちでしょうか。質問すると「いっぱいあって……」と紺谷さんは顔を輝かせました。
紺谷さん
やっぱり海外のお店には行きたいです。シンガポールとかのね。行くだけじゃなくて、新店舗立ち上げとかそのエリアの店舗展開にも関わりたいです。
あとは本当に個人的な目標ですが、地元に恩返ししたいですね。石川にはストレッチのお店ってないんですよね。それで以前、帰省したときに祖母にストレッチしてあげたら、泣いて喜んでくれたんですよ。そんな祖母や、応援してくれた親や友だちのためにも、地元にDr.ストレッチの店舗を作れたらなあと。
人に恵まれている会社。今までの経験がすべて活かせる仕事だと思う
最後に、Dr.ストレッチ(株式会社nobitel)はどのような会社なのかを改めて伺いました。
紺谷さん
人に恵まれている会社やと思います。仲間、上司、そしてお客様すべてですね。すごくありがちな言い方になるんですが、人の縁や温かさ、優しさを感じられる場所だな、と。
上の人が優しいしかっこいいから、自分もそうなりたいと思う。下の人にも優しくありたいと思う。あと、お客様の年代って、10代から80代まで幅広いんですよね。そんなお客様の、さまざまな考え方や価値観にも触れられるし。
大げさな言い方だけど、人生預けて預かって、自分と人の人生を変える、変わる仕事やな、と思います。正直自分も、ここまで仕事に熱くなれるなんて思ってもいませんでした(笑)
「ストレッチのトレーナー」という仕事は未経験で飛び込む人がほとんど。この記事を読んで、Dr.ストレッチに興味を持った人も未経験者であることに不安を持つかも知れません。そこで、そんな人に対してのメッセージも伺いました。
紺谷さん
ストレッチって、今までやってきた経験が全部活かせる仕事だと思っています。たとえば海外で英語使って働いた経験は外国人の方と接客するときに活きているし、接客業の経験も当然活きている。だから、未経験だからといってまったくゼロからのスタートになるとは思わないんですよね。
実際僕も、ストレッチのことほとんど何も知らずに入りました。そんな僕でも、店長やらせてもらってます。スポーツやっている、やっていた人は多いけれども、そうでない人もいます。最初はしっかり研修しますので、そこは不安に思う必要はないと思います。こんな熱く、成長できる会社はそうそうないと思いますので、ぜひ!