日本を代表するハウスメーカー・不動産会社の1つ、積水ハウスは平均年収が高い企業です。どの程度の年収を期待できるのか、また、職種や年代、役職によって年収がどのように変わるのかについてまとめました。積水ハウスへの転職を実現するポイントについてもご紹介します。
積水ハウスの会社概要
積水ハウス株式会社は、1960年に設立したハウスメーカーです。本社は大阪市北区にあり、住宅などの建築物の開発や設計、施工、不動産売買、管理など、ハウスメーカー・不動産会社として幅広い業務に携わっています。
従業員数は15,017名(2022年1月31日)と多く、そのうち一級建築士の有資格者が2,994名です。また、顧客の暮らしを自由設計と先進技術で実現することを目指し、資材や工法の研究開発から設計、アフターメンテナンスまで一貫して自社、あるいは自社グループで担当している点も、積水ハウスの特徴です。
積水ハウスの年収は高い?
積水ハウスの第71期有価証券報告書によれば、2022年1月31日時点において、平均年収は7,995,230円、平均年齢43.3歳、平均勤続年数16.7年でした。ハウスメーカー業界全体の平均年収は約430万円のため、積水ハウスは高年収の企業といえます。
平均年収の推移
積水ハウスの平均年収は、2019年1月31日時点では約819万円でしたが、2020年の同時点では約802万円、2021年は約793万円、2022年は約800万円でした。2019年から2020年の間に約20万円ほど下がり、その後は800万円のラインを前後していることがわかります。
この理由としては、積水ハウスの年収のうち、賞与が占める割合が高いことが挙げられるかもしれません。積水ハウスでは賞与が6月、12月、3月の年3回実施されますが、このうち3月の賞与は決算賞与で、会社の業績や所属する部門の業績に大きく左右されることが特徴です。
業績が良好なときは、賞与だけでも給与8ヵ月分ほど支給されることもあるようです。2019年以降は、世界的な新型コロナウイルス感染症のまん延や木材の高騰、円安などにより決算賞与減、年収減を招いたと推測されるでしょう。
売上推移
積水ハウスの第71期有価証券報告書に記載されている連結経営指標等による売上高、経常利益、当期純利益は以下の通りです。売上高は右肩上がりですが、経常利益や当期純利益は変動幅が大きいことがわかります。
年度 |
売上高(百万円) |
経常利益(百万円) |
当期純利益(百万円) |
2017年度 |
2,159,363 |
203,678 |
133,224 |
2018年度 |
2,160,316 |
195,190 |
128,582 |
2019年度 |
2,415,186 |
213,905 |
141,256 |
2020年度 |
2,446,904 |
184,697 |
123,542 |
2021年度 |
2,589,579 |
230,094 |
153,905 |
※当期純利益は、親会社株主に帰属するものに限ります。
積水ハウスの年収データ
積水ハウス全体の平均年収は約800万円、平均年齢43.3歳、平均勤続年数16.7年です。ただし、全体的な平均だけでは、職種による違いや年代による違いは見えてきません。実際に職種・年代・役職によってどのように異なるかについて紹介します。
職種別
積水ハウスでは、職種ごとの平均年収については公開していません。そのため、転職を希望する方の平均年収でおおよその傾向をつかんでいきましょう。
営業職においては平均年収は約630万円とされています。ただし、個人差が大きく年収1,500万円程度の方もいれば300万円未満の方もいます。
差が大きい理由としては、営業職においては販売や仲介などが成立したときに受け取るインセンティブが多いことが挙げられるでしょう。営業力の高い社員であれば同年代の社員よりも高額な年収を期待できますが、結果が数字となって表れない場合は年収が上がりにくくなるようです。
また、技術職の平均年収は約640万円でした。営業職と比べると個人差は少なく、400万円~900万円ほどの間に分散しているようです。
技術職は売上に直接かかわる仕事ではないため、インセンティブによる収入は少ないと考えられます。ただし、業務にかかわる資格を有する場合は、技術革新につながる成果を上げたときには報酬の形で評価が反映されるでしょう。
設計職の平均年収は約600万円でした。営業職ほどではないものの個人差が大きく、300万円~1,000万円超の幅で分散しているようです。積水ハウスには一級建築士の資格を有する社員が多く、設計職に従事する社員の多くは高い技術と知見を有して設計を担当していると考えられます。年収の差は年代の差、担当案件の差などから生じていると想定されるでしょう。
事務職の平均年収は約430万円で、積水ハウス全体の中では低めであることがわかります。年収の幅も300万円~700万円程度と狭めで、年代や勤続年数によってほぼ年収が決まると考えられます。実際に事務職は営業職とは異なり、売上に直結する業務には携わらない傾向があるため、インセンティブがなく固定給や各種手当だけで年収が決まりがちです。
なお、事務職の平均年収の数字はハウスメーカー全体の平均年収と同水準です。他のハウスメーカーでも営業職はインセンティブ制度を導入していることが多いとすれば、ハウスメーカー全体の事務職の平均年収は430万円より低いと考えられるため、積水ハウスの事務職は比較的高年収といえます。
年代別
積水ハウスの年収は、勤続年数や年代によっても左右されます。年に一度、4月に昇給があるため、他の企業と同様、年齢が進むほど平均年収は高くなることが一般的です。
25歳の平均年収は500万円、30歳は620万円、35歳は680万円、40歳は710万円、45歳は740万円、50歳は800万円ほどとされています。ただし、営業職のようにインセンティブ制度が導入されている職種に関しては、各年代の平均とは大きく外れた年収を得ている方も多いと考えられます。
例えば、25歳の平均年収は500万円ですが、年収の幅は400万円~700万円と広く、営業成績によっては40代の平均年収ほど稼いでいる方もいるようです。
役職別
役職による年収については情報がありません。しかし、転職経験者の声から次のような傾向がわかります。
- 店長などの責任の高い役職につくと給与が大幅に増える
- 定年後も働くときは年収が2/3程度に減ることがある。ただし、インセンティブ制度は定年後も適用されるため、コンスタントに実績を上げている場合はあまり減給とはならない
- 職階制度があり、上位に移動すると年収も高くなる
- 役職が上がらないときは基本給もあまり変化しない
- 段階的に年功序列制度からの脱却を図っている
営業職などのインセンティブ制度のある仕事に就いている場合、コンスタントに成果を上げることで、年収アップにつなげることも可能です。しかし、年に1回の昇給があるとはいえ、基本給が大きく増えることはないため、インセンティブによらない安定した収入を確保するためには昇進を視野に入れることが必要になります。
ただし、積水ハウスは社員数が多く、多くの人が等しく昇進の機会を得ているわけではありません。転職経験者の声からは、何年も昇進せずに基本給がほぼ据え置きになっている方が多いと推察されます。
思うように昇進できない場合、また営業職に従事しているにもかかわらず思うような実績を得られていない場合は、他企業への転職も検討できるでしょう。自分に合う働き方を実現できる職場、自分の能力を適正に評価して報酬に反映している職場を見つけることが大切です。
競合他社との平均年収比較
積水ハウスの平均年収は以下の通りです。
平均年収 |
平均年齢 |
平均勤続年数 |
7,995,230円 |
43.3歳 |
16.7年 |
※2022年1月31日時点
積水ハウスの競合他社と考えられる国内大手のハウスメーカーについて、平均年収の情報をまとめました。平均年齢や勤続年数も紹介するので、年収を取り巻く状況を判断する際の参考にしてください。
なお、積水ハウスの平均年収はハウスメーカー全体の平均年収よりも2倍弱ほどの高水準にありますが、他の大手ハウスメーカーと比較する場合は突出して高水準ではありません。このことから、ハウスメーカー業界では大手と中小では年収に開きがあること、高年収を目指すのであれば大手への転職が望ましいことがわかります。
大和ハウス工業
大和ハウス工業の平均年収は約880万円と高く、紹介する国内大手ハウスメーカーの中でももっとも高水準となっています。平均年齢は39.7歳、平均勤続年数は15.0年でした。
積水ハウスと比べると平均年齢も低いため、若くして高年収を期待できる企業と考えられます。インセンティブの割合が高いなどの可能性も考えられるため、営業力に自信がある方にはおすすめの転職先といえます。
平均年収 |
平均年齢 |
平均勤続年数 |
8,842,493円 |
39.7歳 |
15.0年 |
※2022年3月31日時点
住友林業
住友林業株式会社の平均年収も約870万円と高く、国内大手ハウスメーカーの中でも屈指の高水準となっています。平均年齢は43.2歳、平均勤続年数は15.8年でした。
積水ハウスと比べると平均年数はほぼ同じですが、平均年収に70万円以上もの開きがあります。昇給制度の違いなども原因として考えられますが、売上による影響なども想定されるかもしれません。いずれにしてもハウスメーカー全体と比べるとかなりの高給与となっており、年収増を目指す方は転職先の候補として検討できるでしょう。
平均年収 |
平均年齢 |
平均勤続年数 |
8,723,534円 |
43.2歳 |
15.8年 |
※2021年12月31日時点
ミサワホーム
ミサワホーム株式会社の平均年収は約710万円です。ハウスメーカー全体の平均年収と比較すると十分に高年収といえますが、大和ハウス工業株式会社や住友林業株式会社、積水ハウス株式会社と比べると、決して高水準とはいえません。
ミサワホームの社員の特徴として、平均勤続年数の長さに注目できるでしょう。平均勤続年数が長いということは働きやすい、居心地が良い、仕事に見合った収入を得られているなど、ポジティブな要素が多いことも想定されます。長く働ける職場に転職したい方は、ミサワホームを検討できるかもしれません。
平均年収 |
平均年齢 |
平均勤続年数 |
7,098,096円 |
44歳1ヵ月 |
18年3ヵ月 |
※2019年3月31日時点
参考:ミサワホーム株式会社 2019年3月期 有価証券報告書
三井ホーム
三井ホーム株式会社の平均年収は約650万円です。平均年齢は40.0歳、平均勤続年数は15.3年となっています。ただし、三井ホーム株式会社で公開しているIR情報が少し古く、現状とは少し異なる可能性があるため注意が必要です。
三井ホーム株式会社の平均年収はハウスメーカー全体で見れば高水準ですが、大手ハウスメーカーだけに限ると、突出して高水準とはいえません。年収だけでは見えない要素、例えば固定給の割合や残業時間、有給取得率なども調べてから三井ホームを転職先として検討することで、満足度の高い転職につなげていきましょう。
平均年収 |
平均年齢 |
平均勤続年数 |
6,462,531円 |
40.0歳 |
15.3年 |
※2018年3月31日時点
積水ハウスの勤務環境
平均年収だけで転職先を決めることはおすすめできません。例えば、企業全体の基準は高年収であってもインセンティブの割合が高い場合であれば、営業などの売上に直結する職種以外で働くときは期待するような年収を得られないことがあります。
また、働きやすさについても調べておくことが必要です。残業時間が多い、有給休暇がほとんど取得できないといった環境では、どれほど高年収でも割に合わないと感じるかもしれません。
積水ハウス株式会社の勤務環境を知る上で、次のポイントは押さえておくようにしましょう。
- 平均残業時間
- 有給休暇の取得日数
- 福利厚生
- ボーナスの支給回数
それぞれのポイントについて説明します。
平均残業時間
平均残業時間(1ヵ月あたり)を知ることは、働きやすさや業務量が適正であるかを知ることにつながります。企業がデータを公開していることはあまりありませんが、転職サイトなどの情報も参考にして、おおよその時間を把握しておくようにしましょう。
月平均残業時間が20時間よりも少ない企業は、一般的に、ライフワークバランスが取りやすく、働きやすい環境だといわれます。積水ハウスの月平均残業時間は23~34時間ほどとされているため、少し多めだと考えられるでしょう。
ただし、職種によって平均残業時間は大きく異なります。例えば、事務職は業務量が予測しやすいため、残業になることは少なく、比較的定時退社しやすい環境です。
また、営業職はクライアントとの調整があるため、場合によっては残業となることもありますが、残業手当として年収に反映されるので、サービス残業になることはありません。残業時間や年収を考慮し、ご自身に合う職種に応募するようにしましょう。
有給休暇の取得日数
積水ハウスでは有給休暇の取得率向上に向けて企業努力を続けています。実際に2016年度の有給取得率は35.0%でしたが、2017年度は39.7%、2018年度は42.2%、2019年度は56.1%と着実に増加してきました。
年間の有給休暇日数を20日とすれば11.2日と換算できます。ハウスメーカーなどの建設関連の業種では10日を切ることも多いため、比較的有給取得率は高いと考えられるでしょう。
なお、積水ハウスの休日制度は以下の通りです。
- 週休2日制
- 国民の休祝日、夏季休日、年末年始休日、創立記念日、有給休暇(初年度は10日)など
積水ハウスの年間休日は、カレンダーによっても異なりますが、最大129日です。また、週休2日制の曜日は、部門によって異なります。営業部門に所属し、戸建て住宅の支店に配属された場合は、毎週火曜日と水曜日が休日です。
シャーメゾンなどの非住宅を取り扱う支店に配属された場合は、毎週土曜日と日曜日が休日となります。本社や工場に配属された場合も同様で、毎週土曜日と日曜日が休日です。
福利厚生
積水ハウスでは、次のような福利厚生制度を導入しています。
- 自己研鑽への支援制度
- 退職金制度、企業年金制度、従業員持株制度、住宅資金融資制度
- 独身寮
- ベネフィットステーションへの加入
- 仕事と育児・介護の両立を支援する制度
ハウスメーカーで働くには、建築や金融などの幅広い知識が必要とされることがあります。積水ハウスでは資格取得などの自己研鑽につながる行為に対して、かかった費用を支援する制度が確立されています。今後もハウスメーカー関連、建設関連で働いていきたい方は、積水ハウスで資格取得を目指すのも1つの方法です。
また、退職金や企業年金などの制度に加え、独身寮の制度もあります。寮費が安く、しかも駅前などの好立地のことも多く、住居費の節約に役立つでしょう。住居費を抑えて貯蓄を増やし、早期にマイホームを建てることも実現できます。積水ハウスでは社員に住宅資金を融資する制度も実施しているため、マイホームを建てるための環境は整っているといえるでしょう。
他にも、ベネフィットステーションに加入している点にも注目できます。ベネフィットステーションとは福利厚生代行サービスのことで、グルメやレジャー、引っ越し、eラーニングなどの幅広いメニューから福利厚生として利用したいものを選択できる仕組みです。
また、積水ハウスでは福利厚生の一環として、仕事と育児・介護の両立をサポートしています。例えば、男性の育児休暇取得率は、2016年度は436人でしたが、2017年度は597人、2018年度は818人、2019年度は1,054人と増加し続けています。
ボーナスの支給回数
積水ハウスでは賞与が6月、12月に加え、3月に決算賞与が実施されるため、基本的には年3回の賞与を受け取れます。積水ハウスは比較的賞与額が大きく、年間8~10ヵ月分の賞与が支給されることもあります。
ただし、決算賞与は会社の業績や所属する部門の業績に大きく左右されます。業績が思わしくないときは、会社全体あるいは部門や営業所全体で決算賞与が実施されないこともあるため注意が必要です。
積水ハウスへの転職を成功させる3つのポイント
大手ハウスメーカーで働きたい方、福利厚生が充実した環境で働きたい方、また高年収を実現したい方は、積水ハウスへの転職を検討できます。積水ハウスは福利厚生や年収なども高水準にあるため、転職難易度は低くはないと考えられます。成功のためにも、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
- 志望動機を明確にする
- 熱意を伝える
- 転職エージェントを活用する
それぞれのポイントについて説明します。
1.志望動機を明確にする
積水ハウスでは、未経験者でも中途採用に応募ができます。今までハウスメーカーや建設関連で経験があることもアピールポイントになりますが、未経験であってもモチベーションが高く、なおかつ応募する業務に対してポテンシャルが高いと判断される方も採用の可能性が十分にあります。
モチベーションの高さを示すためにも、志望動機を明確にしておくことは不可欠です。積水ハウスの企業理念や業績、現在取り組んでいる業務などについて詳細に調べ、なぜ積水ハウスに転職したいのかを理論的に説明できるようにしておきましょう。
また、ポテンシャルの高さを示すためには、職種に関わらず現在の業務に対して熱意を持って取り組むことが大切です。職務経歴書にも関わったプロジェクトや果たした役割などをわかりやすく記載し、積水ハウスでも能力を発揮できる人材であることをアピールしましょう。
2.熱意を伝える
積水ハウスに限ったことではありませんが、仕事に対する熱意を伝えることは転職活動の成功には欠かせない要素です。「現在の仕事が自分に合わないから」「年収が少ない、残業が多いなどの不満があるから」といったネガティブな気持ちから転職を思い立ったとしても、それをそのまま面接時に伝えるのは好ましいとはいえません。
なぜ積水ハウスに入社したいのか、入社後どのような目標を達成したいのか、どのような仕事に取り組みたいのかを言葉で表現し、理想を叶えるために転職を志したことが分かるように説明しましょう。
3.転職エージェントを活用する
働きやすさや年収などがハイレベルで整っている積水ハウスには、転職を希望する方も大勢います。ほとんどの方が「積水ハウスで働きたい」という強い意志を持っているため、熱意やポテンシャルの高さをアピールするだけでは、他の転職希望者から抜きんでた存在になるのは難しいかもしれません。
少しでも転職活動を有利に進めるためにも、転職エージェントの活用を検討してみましょう。転職エージェントでは多くの転職を成功に導いてきた実績から、転職をスムーズに進めるためのノウハウを確立しているため、転職機能者の適性に合うサポートを提供してくれます。
積水ハウスの勤務環境や条件を理解して転職を成功させよう
積水ハウスは平均年収や有給取得率も高く、転職希望者からの人気も高い企業です。また、仕事と育児や介護の両立を支援するサポート体制も整っており、長く働ける点も魅力です。
積水ハウスへの転職を考えている方は、ぜひハレダスにご相談ください。ハレダスではハウスメーカーなどの建設関連の経歴を持つキャリアアドバイザーも在籍しており、当事者目線でのサポートを提供しております。なお、相談やサポートはすべて無料です。お気軽にお問い合わせください。