円満退職とは、従業員が会社を退職する際にトラブルなく労働契約を解除することです。わだかまりなく退職したいと願う方が多い中で、退職理由の伝え方によっては円満退職が難しくなることがあります。
本記事では、円満退職のメリットをはじめ、ケース別の退職理由の伝え方やコツまで解説します。
この記事を読めばわかること
・円満退職のメリット
・円満退職するための理由(ケース別)
・円満退職するための理由の伝え方
円満退職のメリット
円満退職にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
以下にてメリット3つをご紹介します。
スムーズに転職活動ができる
転職活動の面接では、前職の退職理由や経緯を質問されることが多くあります。円満退職できれば面接官にしっかりと事実を伝えられるでしょう。
また、円満退職は好印象を抱かれることが多いため、円満退職は転職活動の中で大きなメリットとなります。
手続きや引き継ぎが円滑に進む
退職する際には、事務的な手続きや同僚への引き継ぎが必要です。円満退職は周囲の理解を得て退職することとなるため、円滑に進めることができるでしょう。
人脈を利用できる
良好な人間関係のまま職場を離れる円満退職であれば、これまでに構築した人脈を転職先でも利用できます。独立を目指す場合も、人脈によってビジネスチャンスにつなげることも可能になるでしょう。
ケース別退職の理由
円満退職できるかどうかは、退職理由の内容が大きなカギとなります。
ここでは、理由別に円満退職するための伝え方を解説します。
家庭の事情で退職する場合
「家族が転勤することになった」「親の介護をしなければいけない」など、家族や家庭の事情で仕事の継続が難しくなることはよくあるケースです。退職を告げる際には、素直に退職理由を述べるといいでしょう。
家庭の事情は深く掘り下げない方が多く、会社が対処できることではないため、引き留められにくい傾向があります。
詳細を聞かれ話したく場合には、「家庭の事情により、家族と相談して決断した」と伝えられる範囲で理由を述べるだけで問題ありません。
業務内容に不満がある場合
「取り扱う製品・サービスが好きではない」「仕事にやりがいを感じない」など、業務内容に不満がある場合もあるでしょう。
しかし、この理由を素直に伝えるのは賢明ではありません。自分より経験を積んでいる上司から、「経験を積んでスキルアップすればやりがいを感じるようになる」と引き留められる可能性があります。
退職理由を述べる際は、業務内容への不満ではなく、今後取り組みたい仕事を明確にして伝えるようにしましょう。
環境・待遇に不満がある場合
残業や給与など環境・待遇に不満がある場合にも、退職理由を素直に伝えるのは円満退職を遠ざけてしまいます。上司から改善の意思を伝えられ、引き留められる可能性もあります。退職理由を伝える際には、別の部分に焦点を当てるようにしましょう。
どうしても環境・待遇面について伝えたい場合は、「子育てに時間が必要なため、業務量の調整ができる仕事に就きたい」「インセンティブの大きい企業に挑戦したい」など引き留めにくい理由を絡めるようにしてください。
自社では実現できない仕事を希望している場合
自社では実現できない仕事に取り組みたい場合や、キャリアアップを目指す場合には素直に伝えてもいいでしょう。
自分自身のキャリアを実現したいという成長意欲があり、計画的な理由であれば会社側も引き留めにくいと言えます。もし引き留められれば、強い意志を見せることが大切です。
体調不良が理由の場合
病気が原因で退職を希望する場合には、会社に引き留められることは少ないです。理由を説明する際には、症状や状況をしっかりと伝え、理解してもらうことが重要です。
あいまいな説明だと理解を得ることができず、「やめるほどではないんじゃないか」と引き留められる可能性もあります。必須ではありませんが、診断書があれば説得力が増すでしょう。
人間関係が理由の場合
「上司からパワハラを受けている」「指示に一貫性がなく、うまく仕事が回らない」「孤独に感じている」など人間関係が原因で退職を考える方は多くいます。
考え方を変えることで悩みが消えることもありますが、今後ずっと同じ人間関係で仕事をしていくことにツラさを感じる場合が多いはずです。
円満退職を希望するなら、人間関係を理由にするのは望ましくありません。どのような職場環境で仕事がしたいのか、そして仕事を通して何をかなえていきたいのかを考え、前向きな退職であることを伝えましょう。
退職理由を伝えるときのコツ
どんな理由で退職意思を伝える時も、2つのコツをおさえておくことが大切です。
では、順に解説していきます。
ネガティブな退職理由を伝えない
会社や上司への不満などネガティブな理由を伝えることは避けましょう。ネガティブな理由を伝えてしまうと、上司や同僚からの印象が悪くなり、円満退職ができない可能性があります。
理由を聞かれた際は、不満の裏にある自身の希望面に焦点を当てて話すようにします。ポジティブな理由であれば悪い印象を抱かれることはありません。
あいまいな考えを伝えない
退職理由が明確ではなく、あいまいである場合には引き留められる可能性が高まります。たとえば、嘘の退職理由では質問された際に上手く答えられず、あいまいな返事になってしまうことがあります。
退職理由を伝えるときのポイントは、「退職意思が強い」「引き留めに応じそうにない」と会社に考えさせることです。しっかり理由を伝えても引き留められた場合は、感謝を伝えつつも退職の意思は変わらないことを伝えるようにしましょう。
まとめ
退職理由をしっかりと考えることはもちろん、転職先では自身の希望を叶えることができるのかを検討することも大切です。また、転職先が決まったからといって、お世話になった会社に適当な態度をとったり手続きを怠ったりすると思わぬトラブルを招いてしまう恐れがあります。
円満退職するためにしっかりと理由を伝え、快く送り出してもらえるようにしましょう。より充実した社会人生活が送れることを祈っています。