こんにちは、フリーライターの永野です!
私はUターン以前、東京で日本語教員をしていました。当時はオリンピックに向け留学生の受け入れも積極的に行われていましたが、現在はコロナ禍で日本語学校がピンチに陥っているようです。
今回は、日本語学校の前と今、日本語教員を目指している方が今後安定した収入を得るためにはどうしていけばよいのかなどを、お話していきます!
1.コロナ禍以前の留学生や日本語学校の数
一般財団法人日本語教育振興協会のデータによると、日本語教育機関と学生数のピークはそれぞれ平成23年度と平成28年度。ここを境にその数はどんどん減少しています。
また、グローバル戦略の一環として文部科学省などが策定した「留学生30万人計画」では、2020年をめどに留学生30万人の受け入れを目指し、教育機関や社会における受け入れ態勢の整備や就職支援などの施策などがまとめられていました。
この計画については2019年に留学生数が31万人となったことで達成されましたが、その翌年の2020年頭に新型コロナウイルスが世界で猛威を振るったことで、2020年は24万人、2021年は23万人と、留学生の数は減少の一途をたどっています。
2.コロナで一変!日本語学校の現状
新型コロナウイルスの水際対策として、外国からの入国制限がなされるなか、当然日本への留学が決まっていた多くの学生も、来日が困難となりました。コロナ禍の始まりから2年が経過した現在も留学生の受け入れがなかなか進まない状況は続いており、2022年3月時点で、全国の日本語学校のうち80校が「3カ月以内に事業困難に陥る」もしくは「事業を停止せざるを得ない状況に陥っている」ことが報告されています。
入国制限自体は3月から緩和されることが発表され、留学生が戻ってくることが期待されていましたが、およそ2年間で受けたダメージは大きく、大手の日本語学校でも閉校や事業の縮小がみられます。
筆者が勤務していた東京23区内にある日本語学校も、厳しい状況であると、経営する学校長は語ります。筆者が在籍していた当初、平成27年、28年頃は日本語教育機関の学生数のピークともいえる時期で、留学生の増加に伴い、教室を増設するほどでした。しかし昨年度の時点では学生数が当時の1/3以下となっており、オンライン授業も続いているとのことでした。
3.国内の日本語学校の今後に未来はあるのか
留学生教育学会会長の見解によると、長期にわたった入国制限により日本語教育機関の機能が弱ってしまったことで、日本語や日本に興味を持ち、学ぼうという意欲を持った外国人の受け入れが困難になっているとのことです。入国制限は緩和されたものの、この期間に受けたダメージは、今後数年間は続くと、会長は予見しています。
日本語教育界がピンチに陥るなか、驚くべき回答があるのも事実です。現在日本にいる外国人留学生は、日本語学校での授業が思うように進まない、アルバイトもできないといった厳しい状況に立たされていることも多く、日本人側からすると「日本にいる意味があるのか」と思われがちです。
しかし、あるアンケート調査によると、在留外国人の6割以上は「母国に帰りたくない」とこたえています。こうした日本に留まりたい外国人、そして入国緩和により新たにやってくる留学生たちにより、すぐにとはいかないまでの、日本語学校は徐々に立て直されていくのではないでしょうか。
4.日本語教員として安定した収入を得るには
留学生の減少、日本語学校の閉校という状況のなか、日本語教員の採用数が減少しているのも事実です。筆者が住む東海地方においても、Uターンをした2018年当初は名古屋や周辺地域の日本語学校の求人が多くみられ、「子供が保育園に入ったら近場の日本語学校に復職したい」と考えていました。しかし現在求人を募集している日本語学校は、ほぼゼロに近い状態です。
こうした厳しい状況のなか、日本語教員として安定した収入を得る方法は、大きく3つあります。1つは、募集のある学校を見つけることです。特に単身世帯の方は、学校のある地域への転居などもできなくはありませんので、求人のある日本語学校に応募し、採用されたら近くへ引っ越すこともできるでしょう。「何が何でも日本語学校で働きたい」という方は、場所を選ばず国内の日本語学校の求人を探すことをおすすめします。
2つ目は、海外で日本語学校として活躍する方法です。日本語学校は国内だけでなく、もちろん世界中に存在します。海外勤務はさまざまな手当が充実していたり、日本よりも高収入であったりと、メリットも多くあります。日本に来られないものの日本語を学びたいという意欲のある学生は、母国の日本語学校に通うことを選択しますので、海外での求人のほうが採用率の高い場合もあるでしょう。
コロナ禍におけるさまざまな不安がない、海外に行ってみたいという方は、このピンチをチャンスに変え、日本を離れての活動に挑戦してみるのも1つの方法だといえます。
3つ目は、オンラインでのレッスンに特化することです。コロナ禍で面接やミーティング、各種レッスンなどのオンライン化が急速に進むなか、日本語教育もオンラインで実施する機会が増加しました。さまざまな企業がオンラインレッスンを行っており、レッスン可能な日本語教員を求めています。
報酬については、レッスンを行った時間によって決まるケースが多いです。15分1コマのレッスンで300円など、単価が決して高いとはいえないものもありますが、1時間レッスンを受けてもらえれば1200円の報酬になります。日本語学校の時給に比べると低いと感じるかもしれませんが、多くのアルバイトよりも高い報酬であるのは事実です。
オンラインレッスンはクラスや生徒をクライアントからあてがわれるタイプ、生徒が指名して予約、レッスンを受けるタイプなど、さまざまな形態があります。前者は複数のクラスを担当することが決まれば安定した収入につながるでしょう。後者は人気講師になれば報酬もアップしますし、コマ数も増えるのでより多くの収入を得ることができますが、人気が出なければレッスンの予約が入らないといった問題もあるので注意が必要です。
5.日本語教員の経験を生かした職業にも注目
日本語教員として生徒に日本語を教えるだけでなく、教員としての知識や経験を生かした仕事に就くのも、1つの方法です。たとえば外国人向けの教材を作成する出版社や外国人向けのオンラインやWebコンテンツを制作する企業、役所や大使館、領事館での翻訳や通訳、大学や専門学校での日本語教員の養成、日本語教育研究を行っている機関、学会での研究などが挙げられます。
「やっぱり日本語を教えたい!」という方は、日本語学校以外にも小中高等学校や大学、企業などで外国人に日本語を教える仕事などもあります。もちろん、これを機に日本語教育とはかけ離れた企業へ転職し、新たな道を歩むというのも、勇気ある選択です。
コロナ禍で注目されるようになった仕事、人気が上がっている仕事も多くありますので、自身にとってベストな選択は何なのかを見直す機会にするのもよいのではないでしょうか。
6.おわりに
日本の留学生を多く受け入れるという施策は達成されたものの、コロナ禍の影響で留学生は激減。日本語学校へのダメージは非常に大きなものとなりました。徐々にさまざまな規制が緩和されるなか、留学生も戻りつつありますが、多くの日本語学校において、経営不振はまだまだ続きそうです。
日本語教員は人気や注目を集める職業の1つでしたが、こうしたトラブルにより就職先がなくなるなどの問題が生じています。しかし、ある程度柔軟に仕事を探せば、必ず資格を生かした就職先にたどり着けるでしょう。
日本語教員になりたい!という夢をもって資格取得に挑んだ方は、ぜひその気持ちを忘れず、現状に負けないで日本語教員として活躍していただきたいです。