転職のリファレンスチェック(レファレンス)とは
転職におけるリファレンスチェック(レファレンス)とは、前職での勤務状況や人柄などを関係者に確認し、採用の精度を上げる方法のことをいいます。リファレンスチェックは本人の同意なしに行うことはできません。そのため断ることも可能です。
ただ、断ることで「なにか隠していることがあるのではないか」「なにかやましいことがあるのではないか」と疑念を持たれる可能性があります。
そんなリファレンスチェックですが、欧米の方では一般的な採用方法の1つとして、正社員はもちろんアルバイトの採用にも導入されています。
一方、日本においては外資系の企業を中心に導入しているところは多いものの、そこまで浸透していないのが現実です。
引用元:en world 中途採用における、リファレンスチェック実施状況調査
※303社回答
ただ、今のコロナ禍において需要は少しずつ高まっています。その理由はオンライン面接が当たり前になったこと。
直接対面で会わないことで、応募者の見極めが難しくなったのです。そのため本人以外の第三者から見た客観的な評価を得られるリファレンスチェックの認知が広まり、需要が高くなっているというわけなのです。
リファレンスチェックの方法
リファレンスチェックは主にアンケート形式で行われます。リファレンスチェックを実施する企業が本人に同意を取り、前職の上司や同僚、関係者に送付します。
また、他にも直接話をして行う場合も。その際はコロナ禍ということもあり、ZoomやSkypeなどのオンライン通話で行われることが多いです。
誰がリファレンスチェックするのか
誰がリファレンスチェックを行うかは企業によって違います。多くの場合はその企業の採用担当者が行い、場合によってはキャリアアドバイザーや転職エージェント、第三者機関などが行うケースもあります。
前述したように、リファレンスチェック先は前職の関係者になります。応募者自らがリファレンスチェック先を紹介する場合もあれば、企業側が自ら探す場合もあります。
リファレンスチェックの目的
冒頭でも軽くお伝えしましたが、リファレンスチェックは採用の精度を上げるために行われます。ここではもう少し具体的に、その目的について解説していきます。
書類や面接で確認できなかった部分をチェックするため
応募者側が書類や面接で伝えきれていなかった部分はないか、もしくは企業側が確認できてなかった部分はないかをチェックする目的で行われます。
応募者が伝えきれていなかった強みが、自社にとって有益だったということもあるでしょう。また、細かい部分を確認する手段としても有効です。
応募者が申告していないことを確認するため
転職における書類や面接では、ネガティブなことを隠すことも少なくはないでしょう。例えば休職期間があった場合などは、履歴書に書きづらいものです。
後のトラブルを避けるためにもリファレンスチェックの有無に限らず、履歴書には正直に書くようにしてください。
第三者からの裏付けを得るため
応募者の経歴や面接などについて、第三者からの裏付けを得る目的でもリファレンスチェックは行われます。両者から得られる情報が一致していることで、企業側は安心するだけでなく信用にも繋がります。
リファレンスチェックのメリット
それでは次に、リファレンスチェックを行う4つのメリットについて紹介していきます。
メリット1:ミスマッチを防ぐことできる
前述したようにリファレンスチェックは、応募者と第三者との両者から得られる情報が一致しているか確認する目的でも行われます。
例えば面接で採用されたいという気持ちから、できないことを「できる」と答えてしまったとしましょう。企業側はそれを信じて採用しますが、実際にはできないので入社してからミスマッチが生じてしまいます。
このように細かいところを第三者に確認することで、ミスマッチを防ぐことにも繋がります。ミスマッチは企業側だけでなく、応募者側にもデメリットしかありません。入社前のミスマッチを防げるのは大きなメリットといえるでしょう。
メリット2:アピールに繋がる
自分では気づいていない、もしくはそう思っていない強みというのは意外とあるものです。本人は強みと思っていないため、履歴書に書かなかったり面接でアピールしなかったりします。それは非常にもったいないことです。
リファレンスチェックでは、そんな本人が強みと感じていないアピールポイントを発見できることもあるのです。
自分では思っていなくても、他者から見ればすごいと思えるところを伝えてもらえるのでアピールにも繋がります。
メリット3:自分のことをよく理解してもらえる
面接は短い時間の中で、自分のことをアピールする必要があります。緊張して上手く伝えられないことも多くあるでしょう。
リファレンスチェックは、満足に自分のことをアピールできなかったり、緊張して上手く話せなかったときの補完の役割を担ってくれます。これにより、自分のことをよく理解してもらえることができるのです。
メリット4:成果や実績を客観的に把握できる
これは企業側のメリットといえます。履歴書や面接で伝えた内容と一致しているなら問題ありませんが、自分の成果や実績を大げさに伝えてしまっていた場合は、企業側が疑念を抱いてしまう可能性があります。
そのためリファレンスチェックの有無に限らずですが、いくら自己PRといっても大げさに伝えすぎないようにしましょう。これは入社後のミスマッチを防ぐことにも繋がります。
リファレンスチェックの質問内容
実際にリファレンスチェックでは、どのような質問がされるのでしょうか。ここでは主な質問内容について紹介していきます。
勤務状況について
勤務状況については、以下のような質問が多いです。
勤務状況について | |
質問1 | 〇〇さん(応募者)の勤務期間はいつからいつまでになりますか? |
質問2 | 仕事への向き合い方はいかがでしたでしょうか? |
質問3 | 業務内容や役職はこちらでお間違いありませんでしょうか? |
質問4 | 経歴はこちらでお間違いありませんでしょうか? |
質問5 | 強みと弱みを教えてください。 |
人柄やコミュニケーション能力について
人柄やコミュニケーション能力については、以下のような質問をされます。
人柄やコミュニケーション能力について | |
質問1 | 周囲との関係は良好でしたでしょうか? |
質問2 | 上司や部下とは、どのようなコミュニケーションのとり方でしたか? |
質問3 | 個人とチームでは、どちらの方が力を発揮できていましたか? |
質問4 | どのような人物だと思いますか? |
質問5 | 遅刻や欠勤などは多かったでしょうか? |
働く上での能力について
働く上での能力については、以下のような質問がされるでしょう。
働く上での能力について | |
質問1 | また一緒に働きたいと思いますか? |
質問2 | 成果や実績などを教えてください。 |
質問3 | リーダーシップはありましたでしょうか? |
質問4 | 問題解決能力はありましたでしょうか? |
質問5 | 決断力はありましたでしょうか? |
まとめ
日本においてリファレンスチェックは、外資系の企業が多く導入しています。もし、外資系への転職を目指すのであれば、リファレンスチェックをされることを想定しておいた方が良いでしょう。現職の仕事にしっかりと取組み、人間関係にも気を配るようにしてください。