
会社の顔ともいえる広報の仕事は、社外にさまざまな情報を発信することがメインの業務と思われがちです。しかし、広報の仕事は社内向けのものも多く、多岐にわたります。
そこで今回は、広報の仕事内容や年収、向いている人の特徴などついて解説するので、この機会に知見を深めておきましょう。
広報の仕事とは?

広報担当者がおこなう業務は幅広く、それゆえに、広報がどんな業務をしているのか把握できている人は少ないかもしれません。社内向けの広報活動であれば、他部署の人からもわかりやすいですが、社外に向けた活動については、掴みにくい点も多くあります。
そこで本章では、広報担当者が担う役割や、社外広報と社内広報との違い、仕事のやりがいなどを解説します。
広報担当者が担う役割
広報の担当者が担う役割は、おもに以下の4つです。
- 自社と社会を繋ぐ
- コミュニケーションハブ
- 自社のブランディング
- 自社の認知拡大
「自社と社会を繋ぐ」とは、社内の情報を社外に広げる一方で、社外の情報を社内に広げることです。もちろん、経営陣や現場の社員でも実施は可能ですが、日々の業務と併せて行うのは現実的ではないでしょう。そこで、広報担当者が間に入り、情報をキャッチアップする役割を担うのです。
「コミュニケーションハブ」とは、社内外の架け橋となって双方をつなぐ役割と、各ステークホルダーとのコミュニケーションを図る役割も担うことを意味します。
一方「自社のブランディング」を推進することも、広報の役割です。自社のイメージアップを目指した取り組みや、ブランドイメージの強化なども、社内の情報を外部へ向けて発信する広報担当者の仕事です。
「自社の認知拡大」も、ブランディングと共通する点があります。各種メディアと良好な関係性を構築し、より多くの人々に自社が「どんな」企業であり、「何を」しているのかを発信していきます。
社外と社内の違い
広報の仕事は「社外広報」と「社内広報」の2つに分類できます。
「社外広報」とは、名前の通り、社外へ向けて情報を発信することを主とした広報活動です。広報担当者の役割でいう、自社の「ブランディング」や「認知拡大」が社外広報の目的です。
具体的には、顧客や取引先、メディアへ向けた情報発信が主な業務です。プレスリリースの作成(配信)や自社ブログの運営、SNSの更新、取材対応、メルマガの配信、自社イベントの企画など多岐にわたります。
「社内広報」は、自社で働く社員へ向けた広報活動です。業界動向などの共有をはじめ、社員の家族などに向けたニュースなどを発信することも業務の一環です。一人一人の社員が、仕事を通じて充実感を得られるように情報を共有することが、社内へ向けた広報活動の目的といえるでしょう。
広報のやりがい
広報は営業職でいう「売上」のように、明確な達成基準がありません。では、広報活動を通じて得られる「やりがい」とは何でしょうか。広報担当者は、以下のような点にやりがいを感じて業務にあたっているようです。
- 人脈が広がる
- 自社の顔となっている
広報担当者は、社内だけでなく社外へ向けた活動もおこなっています。そのため、1つの企業に囚われず、たくさんの人とコミュニケーションをとる機会が多く、人脈を広げやすくなります。また情報拡散を目的にマスコミ関係者と接することが多く、記者や編集者などとの繋がりをもつことも可能です。
他企業から見た広報担当者は、その企業の「顔」です。企業間の架け橋となるため、自社のイメージは広報担当者によって左右されるといっても、過言ではありません。大きな責任が伴いますが、その分やりがいも大きなものになります。
結果が出るまでには、相応の期間が必要になりますが、地道な努力を続け、成功を納めたときの達成感の大きさは何物にも替えがたいでしょう。
平均年収や男女比

これから広報の仕事へ就こうと考えている人は、やはり年収が気になると思います。また、男女比などについても知っておきたいところでしょう。そこで本章では、平均年収や職場の男女比などを解説します。
広報の平均年収
広報の平均年収は、477.7万円ほどです。年収の幅は、300万円未満から1,000万円以上と開きがあります。価格帯ごとの割合を、以下で一覧にしています。
年収 | 割合 |
300万円未満 | 11% |
300〜400万円未満 | 27% |
400〜500万円未満 | 25% |
500〜600万円未満 | 16% |
600〜700万円未満 | 9% |
700〜800万円未満 | 5% |
800〜900万円未満 | 3% |
900〜1,000万円未満 | 2% |
1,000万円以上 | 3% |
最も多くの割合を占めるのは300〜400万円であり、平均年収よりもやや少ない傾向にあります。次いで、平均年収のラインである400〜500万円の層が多くなっています。ボーナスについては、夏季の平均額は67.3万円、冬季は72.4万円です。
広報部の男女比
広報の男女比は「男:女=4:6」です。広報部が分類される「企画/管理」の職種としては、最も女性の割合が高いとされています。女性が働きやすい職場環境と言えるでしょう。
その他の平均値については、以下の一覧で確認してください。
項目 | 平均 |
残業時間(1ヶ月) | 16.9時間 |
年間休日 | 129.3日 |
TOEICの点数 | 759.3点 |
転職者の平均年齢 | 31.9歳 |
全体を通して、残業時間も短めであり、休日もしっかり取れる、ホワイトな業種といえるでしょう。
転職相談をご希望の方はこちら(無料)広報に向いている人・向かない人

広報への転職を考えている人にとっては、自分がその仕事に向いているのか、向いていないのかという点が気になるところでしょう。本章では、広報担当者に向いている人・向いていない人の特徴を解説していきます。
向いている人の特徴に当てはまる方は自信を持って、向いていない特徴に当てはまってしまう方は、どのようにカバーしていくのかを考えた上で転職活動を進めてください。
広報に向いている人
広報に向いている方の特徴は、以下の3点です。
- 問題解決能力が高い
- コミュニケーション能力が高い
- 情報収集能力が高い
まず問題解決能力が高い人とは、社内外問わずトラブルが起きた際、冷静に判断して解決できるスキルがある人です。特に社外でのトラブルに対しては、迅速な対応が求められます。瞬時に相手の意見を把握し、それに対してどう対応すべきか判断できる能力が欠かせません。
広報担当者は、社内外問わず多くの人とコミュニケーションをとる仕事です。そのため、コミュニケーション能力が高いことは、広報担当者に必須のスキルです。他者とコミュニケーションを取ることにストレスをあまり感じない方は、広報に向いているといえるでしょう。
一方、情報取集能力が高い人も、広報に向いています。広報は、社内外の情報を積極的に吸収し、発信していくことが大切です。あらゆる情報に対し、常にアンテナを張って情報をキャッチできるとよいでしょう。
広報に向かない人
広報に向いていない方の特徴は、以下の3点です。
- 主観的な人
- 忍耐力がない人
- 集中力が続かない人
まず主観的な人は、広報担当者としては不向きです。広報担当者は情報発信だけでなく、ときには外部からのクレームにも対応しなければなりません。クレーム対応の際、主観的な意見を述べてしまうと、事態を悪化させる可能性があります。また、発信する情報に関しても、事前に客観的な整理が必要です。
次に「忍耐力がない人」も広報担当者としては、不向きだといえます。広報の仕事は、成果がでるまでに時間のかかることが多いからです。そのため、継続していく忍耐力がない人は、広報活動を続けていくのは難しいでしょう。
集中力がない人も不向きです。広報担当者は社外へ向けた情報を発信することが多く、間違った情報を提供してしまうと、会社全体のイメージダウンに繋がってしまいます。
6つの仕事内容

「プレスリリースの作成」「社内のニュースを発掘」「経営状況の把握」「SNSによる情報発信」「業界の動向をリサーチ」「求人票などの広報チェック」が、広報の主な仕事内容です。本章ではこの6つに絞って、広報の仕事を説明していきます。それぞれの仕事内容を理解し、転職に備えましょう。
1.プレスリリースの作成
広報の仕事内容として、まず挙げられるのが「プレスリリースの作成」です。広報担当は、情報発信の際にプレスリリースを活用することが多くあります。
プレスリリースとは、特定の企業がメディアへ向けて、経営や新サービス・新商品に関する情報を公式に発表するためのものです。この情報が、関連するメディアに取り上げられることによって、企業やサービスの認知向上が期待できます。
そのため、広報担当者はプレスリリースがより多くのメディアに掲載されることを目的に、日頃から各種メディアと良い関係性を築くことが大切です。
2.社内のニュースを発掘
社内へ向けた広報活動の際は「ネタ集め」も重要な仕事です。社内報を発信する際は、社内の動向や各社員の活動に、しっかりと目を光らせておくことが必要です。
もちろん、外部の情報を社内に提供する際にも、情報収集は必須です。顧客にとって貴重な情報や面白い情報を提供するため、常にアンテナを張っておかなければなりません。
3.経営状況を把握する
広報担当者が発信する情報のなかには、経営に関する情報もあります。そのため経営陣と近い距離で、自社の経営状況を把握しておくことが重要です。
また、情報発信はタイミングも重要です。常に同じ業界の動向を把握しておき、効果的なタイミングで、自社の情報を発信しなくてはいけません。自社の経営状況と、業界全体の近況を合わせて知っておくとよいでしょう。
4.SNSによる情報発信
SNSを活用して社外に情報を発信することも、広報の大切な仕事です。TwitterやInstagram、FacebookといったSNSを駆使した情報発信を行います。
SNSでは、一方的に情報を発信するだけでなく、ユーザーとのコミュニケーションをとることが重要です。炎上しないよう注意しながら、顧客にとって価値のある情報を発信していきましょう。
5.業界の動向をリサーチ
社会や業界の動向をキャッチアップすることも、広報の仕事のうちです。情報を精査し、社内へ提供して、各写真が自身の業務へ活かせるようにサポートします。
もちろん、情報を右から左へ流すだけでは不十分です。社会の動きに合わせて、広報戦略や方針をアップデートしていく必要があります。
自社の社員でありながら、あくまでも客観的視点をもち「自社が業界内でどのような状況にあるのか」「今後はどう動くべきか」を判断し、情報を提供していくことが重要です。
6.求人票などの広報チェック
広報担当者がチェックすべき情報は多岐に渡ります。自社のサービスや求人情報など、多方面のコンテンツをチェックしなければなりません。また人事部が作成した、自社の求人票なども広報が最終的なチェックを行うことが一般的です。
会社としてトンマナを統一することや、公開すべきでない情報が含まれてしまっていないか、法律やモラルに反していないかなどをチェックします。
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広報担当者には、いくつか必須のスキルがあります。本章では、広報担当者における必須スキルとして「文章力」「客観的な視点」「コミュニケーション能力」の3点を解説します。
文章力
広報の仕事は、社内報やプレスリリース、SNSの更新など、文章を使った情報発信がメインです。広報担当者が発信する情報は、外部から見た自社のイメージや、評価に直結します。そのため、日本語を正しく使えることはもちろん、誤字脱字などの初歩的なミスは許されません。
また、情報の発信先は日本だけとは限りません。海外に向けた広報活動ができる語学スキルがあれば、多くの企業で貴重な人材とみなされるでしょう。
客観的な視点
客観的な視点をもつことも、広報担当者には必須のスキルといえます。インターネットが普及している昨今、少し調べるだけで膨大な情報が手に入ります。しかし、それらの情報を客観的な視点で精査できることが重要です。
社員という立場でありつつも、偏った情報にならないよう「見せ方」よりも「見え方」を配慮できることが大切です。
コミュニケーション能力
社内外の多くの方とやりとりをする広報担当者は、コミュニケーション能力が必須です。
広報担当者とは自社と社会との「架け橋」といえる存在であるため、双方が良好な関係を築けるように立ち回ることや、各ステークホルダーから求められるものを察知しなくてはいけません。よって、誰とでも円滑なコミュニケーションができることが、広報担当者に必要なスキルといえるでしょう。
持っておきたい資格
特別な資格がなくても、広報担当者になることはできます。しかし、以下3つの資格を取得していると、強力な武器になるでしょう。
- PRプランナー補:組織経営や広報・PR活動に関する知識やコミュニケーション手段に関する知識やマーケティング知識などが問われる試験
- 准PRプランナー:広報・PRやCSR、IR、危機管理、時事問題、企業経営、マーケティング、コミュニケーション、ブランドマネジメントと広範囲の知識を学べる資格
- PRプランナー:ニュースリリースの作成や広報・PR計画の立案作成といった実務経験から得る知識が問われる試験です。
広報の仕事内容を知って、自分のスキルを活かそう!
広報という仕事について、その内容や平均年収、男女比、向き・不向き、必要なスキルなどを解説しました。広報担当者の仕事は多岐に渡り、社内外に向けた情報発信など、会社の「顔」になるシーンも多くあります。
広報は大きな責任とともにやりがいもある仕事です。これから広報の仕事に就こうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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