
就職活動において、企業への第一印象につながるエントリーシートの書き方は非常に重要です。特に志望動機は企業への想いを伝える部分になるため、正しく伝わるように内容を慎重に吟味する必要があります。
本記事では、エントリーシートの志望動機の書き方について、ポイントと例文を交えながら解説するので参考にしてみてください。
エントリーシートを書くための5つのポイント
エントリーシートの志望動機を書く上で、入れておきたいポイントを5つ紹介します。
1.将来のビジョン
自分がこれから成し遂げたい、将来のビジョンを明確にしておきましょう。「どのような問題を解決したいか」「課題に対しどのようなかかわり方をしたいか」「10年後の自分は何をしているか」といった観点から組み立ててみてください。
ここで注意しておきたいポイントが、抽象的な表現にとどめておくということです。将来のビジョンを軸に残り4つのポイントで具体的にしていくため、幅広くカバーできる表現を意識してみましょう。
例えばここでは「社会貢献したい」「仕事を通じて自己成長したい」といった表現がよく使われています。
2.将来のビジョンを達成したいと思ったきっかけ
次に、将来のビジョンを思い描くようになったきっかけを具体的に述べます。
ここが曖昧になってしまうと、本当にそのビジョンを達成したいと思っているのかどうかが曖昧になり、将来のビジョンに対する本気度や、志望動機の本気度が疑われる可能性があります。達成したいと思うようになったきっかけと、そこから現在に至るまでの流れをきちんと記載するようにしましょう。
きっかけとなった具体的な出来事や人物との出会いを書くことで、よりわかりやすくなります。
3.なぜこの業界なのか
他の業界ではなく、あえてこの業界を選んだ理由も明確に伝えるようにしましょう。
「自分のビジョンを達成するにはAとBが必要で、両方を満たせているのがこの業界だったから」といったように、論理的に伝えるのがコツです。もしくは、他の業界との違いに言及し、選択したポイントを明確にしてみるのもよいでしょう。
この業界を選んだ理由を明確化するためには、自己分析はもちろん、入念な業界分析が必要になります。
4.なぜこの会社なのか
他でもないこの会社を選んだ理由を伝えます。
ここで重要なのは、将来のビジョンとリンクさせることです。また、他社の批判をしないこともポイントになります。
同じ業界の企業の場合、事業内容や労働条件では会社同士で大きな違いはないと感じているようであれば「社内の雰囲気」「社員の魅力」といった感覚的な部分に触れ、この会社を選んだ根拠にプラスするのがおすすめです。よって、当然ながら事前に会社について詳しく調査しておく必要もあるでしょう。
5.入社したらやりたいこと
将来のビジョンと志望している会社の事業を紐づけて伝えるようにしましょう。
自社について詳しく調べてきているか、応募者の志望度の高さが問われる部分です。1~4までの内容を明確にするために、既に自己分析、業界・企業研究は十分に準備できていると思われます。
すべての内容を関連づけて、誰が見ても納得できる内容に仕上げられればベストです。
【エントリーシート例文1】公務員

職業別にエントリーシートの書き方のコツを紹介します。
公務員の志望動機を書く際の注意点
公務員は「安定した仕事に就きたい」「公務員試験さえ受かれば大丈夫」と思われがちです。しかし、エントリーシートを書く際には、安定性や福利厚生を志望動機にはしないようにしましょう。
公務員は「楽な仕事」だと思われがちですが、仕事相手の多くは一般市民です。民間企業とは異なる予想外のトラブルなども多く、常に臨機応変な対応が求められます。そのため、決して「楽な仕事」とはいえないでしょう。
したがって、公務員には仕事に対する「熱意」が求められます。志望動機を通じて、どのような仕事でもこなしていける熱意や根性があるかどうかを、面接官に試される機会だと思ってください。
よって、誰にでも作れるようなありきたりな内容は避け、自分の価値観や想いがこもった志望動機を準備しておきたいところです。
志望動機の例文
私は〇〇市の役員として【地域産業の活性化】といった面から、地域産業のインフラ構築に努めたいと考えています。
私の地元は自然が豊かで、山や畑で元気に農作業をしている地元の生産者の方がたくさんいます。しかし、せっかく良い作物が獲れても、販路が限定されてしまっているため、売り上げがあまり上がっていないようです。
地元の人たちだけで購入し続けるのも限界があり「作物はあるけれど販路の広げ方がわからない」ということから、生産性が上がらない状況となっています。
私はここが課題だと感じており、【地域産業の活性化】を実現するため、地方から日本全国へのインフラ整備をおこないたいと考えています。そして、その夢の実現にもっとも近い職業が地方公務員なのです。
特に〇〇市ではデジタルネットワークの拡張を推進しており、市民が使いやすいようセミナーなどの取り組みをおこなっているという点が、地域産業の活性化に役立てられそうだと考えました。学生時代にITを学んだ自分であれば、地域生産者の人たちがデジタルネットワークを通じて、日本全国に生産物を販売するためのサポートができると考えています。
以上の理由から、〇〇市を志望します。
【エントリーシート例文2】建築業界

建築業界は激務である一方、社会貢献度が高いことで注目されている業界です。ライバルも多いことが予想されるため、志望動機はポイントを押さえて念入りに書くようにしましょう。
建築業界の志望動機の注意点
建築業界は人々の生活に役立つ、社会貢献度の高い業界です。社会貢献や人々の暮らしを支える建物をつくることへの想いなど、建築業界ならではの理由を盛り込んでおくとよいでしょう。
ただし、同じ建築業界においても、業種によって扱う案件が異なります。よって、十分に業界研究をおこなったうえで、なぜその業種を選んだのかその理由を明確に伝えることが重要です。
また、その際には「企業の理念に惹かれた」「社風が自分に合うと感じた」という抽象的な回答だけでなく、その企業が得意としている建物や技術の特徴なども加えて、差別化のポイントを伝えるようにしましょう。
志望動機の例文
私が御社に入社できた暁には「現場事務」に携わりたいと考えています。理由としては、多くの人の生活を支える建築業界の最前線で仕事できることと、チームで仕事ができることの2点に魅力を感じているからです。
建築業界に興味を持つきっかけとなったのは、海外旅行中に途上国のインフラ整備の現状を肌で感じた経験からでした。そこででは、インフラ整備が不完全なために、多く人々が不便な生活を強いられている姿を目の当たりにしました。
そのときから将来は海外事業に携わり、国境を超えて人々の生活を守りたいという目標が生まれました。そのためにも、現場で必要な知識と経験を習得し、御社で活躍できる人間になりたいと思っています。
私の強みは「多くの人の長所を掛け合わせ、チームとして力を発揮する」ことです。周囲との信頼関係の構築が必要不可欠な建築の現場において、相手の長所を知り伸ばすことで信頼関係の構築に努めていければと思います。
【エントリーシート例文3】メーカー

メーカーへの就職を希望する方の志望動機は、扱う商品が異なるだけで似たり寄ったりになることが多く、差別化を図ることが難しいといわれています。差別化を図るためのポイントを紹介するので参考にしてみてください。
メーカーの志望動機の注意点
メーカーの志望動機で差別化を図るには、大前提として自己分析、業界・企業分析が十分にできていることが大切です。これらをしっかりと掘り下げることで、他の就活生と差をつけることができるでしょう。
メーカーの志望動機を書く場合「商品が好き」といった消費者目線に陥りがちになります。しかし、ここではメーカーで取り扱う商品をビジネス目線でとらえることが重要なポイントです。
「なぜその商品をつくっているのか」「世の中にどのような影響を与えるのか」「どのような想いでつくっているのか」といった、メーカー側の社員目線で考えてみてください。
志望動機の例文
私は御社でマーケティング業務に従事したいと考えています。理由は、多く人にA製品の魅力を知ってもらいたいからです。
OB訪問の際、マーケティング部の〇〇さんにお話を伺いました。A製品は他社では廃棄されてしまう素材を有効活用することで、大幅なコストカットを実現し環境保全にも貢献しているというお話を聞き、非常に感銘を受けました。
しかし一方で、認知度はあまり高くないという課題があることも伺いました。A製品を必要としていない企業にアプローチしてしまうケースや、なかなか導入まではいたらない企業も多いと聞き、非常にもったいないと感じました。
私は学生時代から、目の前の人が何を求めているかを知る努力をして、価値を正しく伝えることを意識しています。学生時代は学内新聞をつくり、ただ面白い記事を載せるだけでなく、どの学部の学生に読んでもらいたいかを常に意識していました。
一度学外に発信する機会があり、学校中の学部や部活動に取材を実施して学生目線の新聞を作成する機会がありました。そのとき、私が書いた新聞を見て入学を決めたという言葉をもらったこともあります。
この経験で得られた知見を活かし、A製品の魅力を必要としている人の元に届けたいと考えています。
エントリーシートの志望動機にこだわろう
今回は、エントリーシートの志望動機の書き方や例文についてまとめました。
基本的には自己分析と業界・企業研究を十分におこなったうえで、自身の将来のビジョンとつなげた志望動機を書くことがベストです。エントリーシートの志望動機は面接に進んだ際にも重要になる、いわば就職活動の核となる部分になります。
内容のブラッシュアップと推敲を重ねることで、誰もが納得できる内容に仕上げておきましょう。
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