
転職を考えるとき、申し出はいつまでにすべきなのか、期間はどのくらい必要かなど、疑問点が多く浮かびます。また、転職の目的によって退職に適したタイミングが異なるため、あらかじめ目的や年齢、現在の転職市場について知っておくと便利です。
転職する前に確認しておくべきポイント
転職は、在職する企業や転職先企業とも関わるため、自分の意向だけではなかなか進められません。まずは転職する前に確認しておくポイントを知り、行動の参考にしてみてください。
1.退職の申し出は1ヶ月前までが目安
派遣社員であれば、1ヶ月や3ヶ月など契約更新時期が区切られているため、その時期に合わせて営業担当と話し合いができます。
しかし、正社員の場合は契約更新もないので、退職はなかなか言い出せないものです。民法によると、「期間の定めのない場合、原則2週間前までに申し出る」と定められていますが、その他規定はありません。
そうであれば、「退職の2週間前に伝えれば良いのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、新たな人材の採用や業務引き継ぎがあるので、できるだけ早めに伝えるのがベストです。
多くの企業は社内規定として、退職までの期間は1ヵ月前までと定めているところが一般的です。退職を決意したのであれば、少しでも早めに在職する企業に伝え、時期を話し合いましょう。
2.退職までのタイミングに適切な期間は1~3ヶ月
申し出の目安は1ヶ月前が目安でも、退職に伴う準備や転職先企業への入社準備があります。
そのため、退職までの想定期間は1ヶ月〜3ヶ月の間で想定するのが良いでしょう。
転職先が決まっている場合は、転職先企業の入社時期も考慮しなければなりません。待ってもらえる期間にも限界がありますので、やはり3ヶ月が交渉可能な範囲だと言えます。
担当プロジェクトが完了するタイミングなどで多少の前後はあっても、退職するタイミングは、最短30日から最長90日を守るのが望ましいでしょう。
3.転職活動はできるだけ在職期間中に
「とりあえず今の会社を辞めたい」、「現職が忙しくて転職活動をする時間がない」などの理由から、転職先を決めずに退職してしまう人もいます。
もちろんその選択もOKなのですが失業期間が長引くほど、転職は厳しくなってしまうことを覚えておく必要があります。
転職市場では、失業期間長くなるほど、敬遠されるというのです。現場から離れる時間が長いほど、仕事にも疎くなりますし、自分のペースができてしまいます。
仕事から離れてからでも自分をコントロールできる人なら問題ありませんが、そうでない人は退職前に転職先を見つけておくのが無難です。
転職目的別のタイミングについて
同じ業界でキャリアアップを目指す場合や、未経験の業界に挑戦する場合など、転職に適した時期は目的によって異なってきます。ここでは、目的別に転職に適した時期を紹介します。
キャリアアップを目指す転職の場合
同業種でのキャリアアップを目指す転職に適したタイミングは、在職企業でのキャリアや業務に限界を感じたときだと言えます。
同業種での転職は、現職でどのようなスキル・経験を積んできたのかが採用の判断基準になります。
ですので、あなたが在職企業でどんな経験を積んで、実績を残してきたかを応募企業に明確に伝えなければなりません。
加えて、「現職ではキャリアに限界を感じ、理想のキャリアを実現すべく御社で活躍したい」と伝える必要があります。
大切にしてほしいのは、在職企業で「やりきった」と言える出来事があるかどうか。
もし、あなたがキャリアアップを目指して転職を希望しているのなら、理想のキャリアプランや、そのために努力していたことなどを一度振り返ってみるのをおすすめします。
振り返ってみて、「現職でもできることがあるかもしれない」と感じたら、それを達成してからでも、転職するタイミングは遅くありません。
ジョブチェンジを目指す転職の場合
他業界を目指すのであれば、一般的に“30歳”までが転職に適したタイミングだとされています。
なぜ30歳までなのかと言うと、未経験の仕事や新たな環境に適応しやすい年齢がおおよそ30歳なのです。
現職で社会人経験やキャリアを積んでいたとしても、未経験業種の転職先ではゼロからのスタートです。その業界や企業での仕事を入社後に覚えていくため、前職での勤務期間が長ければ長いほど、今までのやり方が自然に染み付いています。
ですので、環境や業務に柔軟に馴染みやすいという観点で、多くの企業がジョブチェンジを受け入れる年齢の基準を設けているのです。もちろん、希望する業界や企業によって差はありますので、志望先の求人情報を確認してみてくださいね。
ライフスタイルの変化に伴う転職の場合
結婚や出産など、月日の経過とともにライフスタイルは変化するものです。
現職がライフスタイルの変化に柔軟でなく、転職を考えているのであれば、産前産後休暇や育児休暇取得に関する法令から、転職のタイミングを見極めるのがおすすめです。
産前産後休暇は、労働基準法で定められた義務であり、「出産前6週間は、妊婦から申請があった場合、企業は必ず付与しなければならない」とされています。
出産後から8週間は、本人の申し出の有無に関わらず産後休暇も与えられます。
育児休暇については、育児介護休業法をチェックしてみましょう。「入社1年未満の従業員に対し、労使協定の書面に基づき拒否することができる」との内容が記載されています。
これらの条件を考慮して、育児休暇の取得も見据えると、出産を考える時期から1年以上前が転職のタイミングだと言えるでしょう。計画的に物事を進めたいのであれば、パートナーと人生設計を話し合った上で、転職活動に望むがベストですよ。
コロナ禍で転職を成功させるポイント
新型コロナウイルスの影響を受けて低迷する求人倍率の中、転職に不安を抱える人も多いはずです。
そんな状況下でも転職を成功させるポイントがあります。ここではコロナ禍で転職を成功させるポイントについて詳しく説明していきます。
リモート環境を整える
密閉・密集・密接がNGとされる状況下ですので、直接顔を合わせる説明会や面接が難しくなりました。そのため、多くの企業が採用活動をリモートで行っています。
パソコン・スマートフォン・タブレットなどの端末やWi-Fi環境も整えることが現在の転職活動の肝だと言えます。採用後も在宅勤務を導入している企業もありますので、環境を整えることに損はないでしょう。
また、リモートでのやりとりは、表情や声が鮮明に届かない場合も。そのため、話すときはハキハキとした声で抑揚をつける、リアクションを大きめに明るい表情心がけるなど、意識してみてください。
業界の動向を見極める
新型コロナウイルスの影響を受けて、旅行業界や飲食業界、エンタメ業界などは大きなダメージを受けています。
一方で、オンライン化が進んでいるWeb業界やIT業界は需要を伸ばしています。
もし大きなダメージを受けている業界への転職を希望しているのであれば、とにかく求人情報を集め、行動することがポイントになります。
「時期が悪いからタイミングを待とう」と忍耐強く待つのも良いかもしれません。
ただ、誰しも先が見えない状況下なので、行動を起こさなければ、転職はなかなか実現しないものです。
採用枠は少なくなっているかも知れませんが、募集をかけている企業もありますので、情報収集や面接に果敢にチャレンジしてみてください。
採用が活発になっている業界や業種でも、新型コロナウイルス拡大前に比べると、求人倍率は低迷気味です。ですので、とにかく行動量を増やし、前向きにいろいろな企業の情報を集めてみましょう。
待ちの姿勢ではなく、攻めの姿勢こそが転職を叶える重要なポイントです。
焦らず転職活動を進める
リモートでの採用活動や求人倍率の低迷によって、転職活動の期間が長期化しているとも言われています。
選考が上手く進まないと、「自分はどこからも必要とされないのか」と虚しくなってしまうこともあるかも知れません。
ただでさえ、転職活動は心と身体に負担がかかるものですので、無理せずじっくりと進めましょう。
さいごに
転職に適したタイミングは、キャリア形成を望む人やライフスタイルを考慮した人など、それぞれによって変わってきます。
そのため、「なぜ転職を望んでいるのか」「どんなキャリア・人生を歩むのか」自分としっかり向き合うことが必要です。
転職理由が明確になって、在職企業との折り合いをつけられたときが転職に適したタイミングだと言えるでしょう。