大学の成績表に毎回記載されるGPA。そもそもGPAとは何なのか。どうやって計算されているのか。
就活に影響があることはぼんやりわかっていても、具体的にどんな影響があるのか把握している方は少ないかもしれません。
そこで今回は、GPAの基礎知識や平均値、そして就活に与える影響について解説していきます。
GPAとは
大学の成績の数値化
GPAは「Grade Point Average」の略称で、大学在学時の成績評価を分析し数値化したもので、成績が高いほどGPAの数値も高くなっていきます。
元々はアメリカの教育機関が発案した仕組みで、現在は日本でも一般化されています。奨学金や留学といった制度を受ける場合の判断基準として用いられることも多いシステムです。
計算方法
計算方法としては、それぞれの項目の(GPA×単位数)の総計を、履修登録した科目の合計単位数で割ることで算出されます。
例えば3単位の科目がAの場合、その科目の成績評価は3×3で9点になります。その後、すべての科目の合計を算出し、その総計を単位数で割った数値がGPAとなります。
落第した科目、つまり単位が取得できなかった科目については、ほとんどの大学はGPAに算出しないシステムを採用しています。
なお、GPAは学期毎、あるいは年度毎に算出して提示されますが、就職活動では大学4年間のすべてのGPAが見られます。新卒で受ける場合は3年生時点、すなわち現段階で最新のGPA数値の合計が選考対象となります。
大学生の平均GPA
平均GPAは2.4~2.8
評価制度については大学によって異なりますが、ほとんどの大学が科目の点数をもとにアルファベットや漢字を用いつつ、上限を4.00、下限を0.00として以下のように設定しています。
評価 点数 ポイント
秀(S) [90~100点]・・・4ポイント
優(A) [80~89点]・・・3ポイント
良(B) [70~79点]・・・2ポイント
可(C) [60~69点]・・・1ポイント
不可(D) [0~59点]・・・0ポイント
そしてほとんどの大学生は、B、つまり2点台で提示されます。平均値としては2.4~2.8です。すなわち2点台の場合は普通の評価、3以上となると普通より上、という評価になります。
大学によって変動する
前述したようにGPAは大学の評価制度によって異なってくるため、一概にこの点数が良いといった割り切り方はできない仕組みとなっています。
また大学内であっても、学部によって評価方式が異なるなど統一性がないのが特徴です。そのため、成績について他大学や他の学部の学生とGPAで比較することは難しいと言えます。
GPAが就活に与える影響
企業はGPAをほとんど見ない
日本企業の場合、GPAを選考の判断基準に入れないことがほとんどです。
そもそもGPAの提出を要さない企業もありますし、提出を要した場合でも、ほとんど見ないもしくは参考にしない人事の方が多いです。特にベンチャーや中小ほどGPAを重視しない傾向があります。
理由としては、前述したように成績評価制度に統一感がないため、GPAで学力指数を判断することが難しいことが挙げられます。
また、日本の就活ではSPIによって学力を判断するため、GPAで学力を見る必要がないことも理由のひとつです。例えGPAが高かったとしても、SPIの数値が低ければ「学力がない」と判断されます。
さらに、学力を選考基準に入れない企業もあることも、GPAが見られない理由のひとつです。
例えば、介護や保育といった福祉関係の職業の場合、学業の頑張りよりも優しさや丁寧さといった性格面を重視した選考を行ないます。
また、ソフトウェアエンジニアのような技術職であれば、大学時代の成績ではなく実技試験の結果から内定を出すか否かを判断するでしょう。
上記のようなGPAをほとんど考慮しない企業がある一方で、書類段階からGPAを重要視する企業もあります。それは外資系企業です。
外資系企業の場合、例外としてGPAを考慮する場合があります。前述したようにアメリカが発祥の制度であり、かつ海外ではGPAが広く認知されていることから、海外の基準を採用する外資系ではGPAを考慮して選考を進める企業が多いです。
企業によってはGPAが基準値に満たさない場合は選考をしないといった場合もあるため、応募規約を事前に確認し基準値より上のGPAを獲得する必要があります。
では、外資系企業を受けない場合はGPAを疎かにして良いか?となると、そうとも言い切れません。
GPAが極端に低い場合、この学生はきちんと卒業するのだろうか?といった懸念を与えてしまうためです。
せっかく内定を出したにも関わらず留年によって入社が出来なくなってしまえば、企業は抜けた穴を補うために採用活動を再開しなければなりません。そのため、GPAは少なくとも平均値かそれ以上を獲得しておくことをおすすめします。
なお、GPAを求めるタイミングについてですが、こちらも企業によりさまざまです。
選考過程でしっかり見る外資系企業などはエントリーシートの段階から提示を求めます。
一方、GPAを考慮しない企業の場合は、内定後に成績証明書を提出する際に見られる程度です。
GPAはアピールポイントになる?
これまで説明したようにGPAは大学や学部によって判断基準が異なるため、選考の評価に入れにくいという背景があります。
ではアピールポイントにならないか?といえば、一概にそうとも言い切れません。
GPAが高いという事実は、同時に以下のアピールポイントにも繋がるからです。
・学業を真面目に取り組んでいる
・ロジカルに考える能力がある
・卒なくタスクを遂行できる
逆にGPAが低いにも関わらず、学業の頑張りや論理的な思考をアピールした場合、説得力に欠けるため人事側に響かないでしょう。
そのため、上記3項目をアピールポイントとして提示したい場合は入学時点から学業を頑張り、3~4年生まで成績上位を維持する必要があります。
統一性がないゆえ選考基準に含みにくいGPAですが、高いことがマイナスに働くことはなく、むしろプラスに捉える企業のほうが多いのも事実です。
平均値より高い数値を目指して学業に取り組み、エントリーシートや面接の段階で学業面の頑張りのアピールとして活用することをおすすめします。
今後、GPAは重視される?
今後も外資系以外はGPAを重視しない状況が続くかどうか?という点ですが、結論としては、今後重視する傾向になるといえます。
なぜなら国際的に見た場合、GPAでの判断は広く一般的だからです。
現在では、アメリカを皮切りに世界各国の大学で採用されています。産業の発展に伴い、今後ますます国際化が広がっていくことを鑑みると、GPAは徐々に重視されていくことが考えられます。
特に海外企業へ就職したい学生や、国外の市場を狙う企業からの内定を希望する学生は、GPAを意識すべきといえるでしょう。
ちなみにアメリカの場合、GPAの最高数値が4となっており、3.5以上なければ大手企業には入れないとされています。日本のGPAで計算すると4.5以上となるため、上位クラスの成績評価が必要であるといえます。
今後日本企業も先進国に倣って上記の基準を取り入れる日も遠くはないでしょう。
まとめ
GPAは就活に影響しないといった声が多いですが、一概にそうとも言い切れないという側面があります。さらに将来的には徐々に重視されていく可能性もあります。
日頃から学業を疎かにせずに平均値以上のGPAを確保することで、万全の態勢で就活に臨めるようにしましょう。