■プロフィール
・山口 しのぶ(大阪府出身)
・和歌山大学卒業後、人材サービス企業に就職
・2003年に総合求人代理店に転職し、営業アシスタントに従事
・会社の仕組みづくりにも参加し、ゼネラルマネージャーを担当
・プライベートでは2度の結婚&離婚を経験
・現在「株式会社キャリアチアーズ」の代表を務めながら1児の子育てに励む
多くの女性が悩むキャリア形成と私生活の両立。結婚や妊娠などのライフイベントは、幸せな反面、キャリア形成を諦める要因となってしまう場合もあります。
山口しのぶさんは、プライベートでは2度の結婚離婚を経験し、子育てに励みながら会社の代表を務めるキャリアウーマンです。今回はそんな山口さんにインタビューを行い、これまでの軌跡や考えを聞いてきました。
母親が頭を悩ませるほど破天荒だった幼少期
幼少期は自分が「これだ!」と思ったら全く言うことの聞かない子どもで、母親がどう育てたらよいか悩んでいたそうです。当時では珍しいスクールカウンセラーに相談に行ったくらい。
正義感がすごく強くて、同級生の女の子が「先生に不快なあだ名を付けられた」と悩んでいると聞くと「みんなで先生の行動が間違っているのを伝えよう!」とストライキを起こしたこともありました。
その行動を起こした当時は小学3年生。ストライキがなんなのかもよくわかっていなかったのですが、テレビで大人たちがデモ行進している姿を見て「自分の意見を通すにはこれしかない」と思い立ったんです(笑)
「◯月◯日の何時に学校の校庭集合してください」と同級生や上級生に呼びかけ、あれよあれよと人が集まり、指定した日時には350人もの人が集まり想像を超えた大問題になってしまいました。そのくらい正義感が強くて破天荒な子どもでしたね。
両親の意思で私立中学・高校に進学
そんな手のつけられない子どもでしたから、両親はなんとしても目の届く範囲かつ校則がしっかりしている私立中学に入れたかったようで、姉が先に通っていた大谷中学校に進学することになりました。
エスカレーターだったので、6年間同じ環境で学生生活を送りましたが、私立に入っても性格もスタンスも変わらず、自分が楽しいと思うことに全力でした。どこでも中心にいる子だったので、少し悪さすればそれも目立ってしまい、見せしめのように怒られることも多かったです(笑)
高校では進学クラスでちゃんと勉強しながら遊びも全力。夜中に家を抜け出して難波に遊びに行くようなことも多々ありました。親も厳しくすれば逆効果だと思ったようで「遊びに行くなとは言わないから、場所だけは教えておいて」と言われていました(笑)今考えるとほんとに大変な娘で申し訳なかったなと思います。
家庭教師のアルバイトに夢中になった大学時代
和歌山大学に進学したものの、通学に1時間半以上かかるので面倒になってしまい、ほとんど行っていませんでした。その代わりに夢中になっていたのが、家庭教師のアルバイト。
初めは家庭教師の協会に登録し生徒を紹介してもらっていたのですが、「この仕組みって自分でもできるんじゃないか」と感じてからは、すべてを自分で担当するようになりました。
自分ですべてを賄うようになってからは、時給は一般平均の半額に設定し、生徒が合格すれば成果報酬をもらう制度を作ったり、双方の効率化を考え平日の早朝授業を導入したりするようになりました。そうするようになってからはサラリーマンの月給の3倍くらい稼ぐ事もザラで、ビジネスって面白いなと実感しましたね。
気づいた頃にはもう就活開始時期で。周りの同級生たちは説明会や面接などを始めていましたが、自分の中では家庭教師の仕事に可能性を感じていたので、就職の選択肢はありませんでした。
しかし、両親の猛反対もありひとまず就職してみることになったのです。就職への意思を固めたのは大学4年生の1月。とにかく就活に時間を割くのがもったいないと思っていたので、面接回数の少ない会社を選び就活は無事2日で終了しました(笑)
快活だった社会人デビュー
大手人材サービスの会社に入って媒体営業を経験。はじめての業界・職種でしたが、とにかく売れることが楽しかったんです。楽しんで仕事をしていたら、売り上げはほぼトップで常に全国10位圏内にはいる感じでした。
営業は即決即断型の提案スタイル。広告は水物ですし、やってみなきゃわからないことの方が多いですよね。なので、とにかくやってみる、すぐ決めることをクライアントに徹底して提案していたように思います。
入社から数年が経って現実も見え始めた頃に、仕事は面白いけど、「この商品はお客さんにとって最適な商品ではないんじゃないか」と疑問を持つようになり、退職しました。
退職後は働かず、人材サービス会社時代に出会った人と結婚し、一旦は専業主婦になりました。最初はその生活も楽しんでいたのですが、やっぱり性に合わなくて(笑)…改めて就活をすることにしました。
入社時は4人の小さな会社。退職時には20倍規模に
新卒のときにちゃんと就活していなかった事もあり、次はいろんな業界・業種をみたいなと感じていました。しかし、中途採用は実績勝負。未経験の業界は厳しくて、結局前と同じ人材業界に決めました。
ただ、当時は営業に疲れ切っていた事もあり、業界は同じでも絶対に営業はしないと心に誓っていました。
中途入社する会社の面接でも「営業は絶対しません!」と言い放ったほど(笑)。そんな姿を見かねて、社長の好意で社長のアシスタント兼営業アシスタントのポジションとして迎え入れてもらえることになりました。
入社した会社はまだ規模が小さく、理念や企業規則すらない会社でした。商品も代理店以外何もなかったので、とにかくカタチを整えなければ!と社長をはじめ既存メンバーと共に作り上げた感じです。
特に力を入れたのが新卒採用と新サービスの展開。新卒採用はノウハウを別の会社に学びにいき、手探りですべてスタートさせました。
新サービスは、当時まだあまり着目されていなかった求人広告を打ってからのレスポンスの集計・分析に着目。求人広告は、同じ屋号で同じ媒体を使ってもエリアによって反響や採用率が違っていました。採用単価や情報を解析し、チェーン展開しているところにターゲットを絞って営業も重ねていました。
社長が私の扱いが上手で、営業が嫌で入ったのに、気付いたら営業を含めていろんなことさせられてたんですよ(笑)。いつの間にか役職もリーダーになり、採用担当も兼務。最初3人だったメンバーが20倍近くになり、売り上げも10倍以上に成長していました。
株式会社キャリアチアーズで働く私生活でも大きな変化に直面
プライベートでは入社後すぐに離婚し、35歳のときに再婚しました。1回目の結婚がスピード離婚だった事もあり、次の結婚は子どもも欲しいしちゃんと考えたいと思い、始めはお試し婚、いわゆる事実婚にして一緒に生活していました。
共同生活から半年ほど経ったときに東京への異動辞令が出て東京に移ることに。そのタイミングで結婚式を挙げ、新婚旅行に行き、バタバタと過ごしているうちに妊娠が発覚したんです。子どもが産まれても仕事は続けたかったので、ひとまず産休を取ることにしました。
仕事復帰を考えたときに時短勤務ではなく、以前と同じようにバリバリ働くことしか想像できなくて、夫には「子どもが産まれたら実家に住む。あなたは好きにしていいよ」と伝えました。その後、夫も私の実家での生活を考えてくれて、和歌山の実家に両親、姉と姉の子ども、私たち家族で住むことに。子どもにとっても自然溢れ、家族がいつもそばにいてくれる環境なので、良い選択だったと思っています。
予想外の独立。周りのあと押しで社長に
産休復帰後、以前と同様に働こうと意気込んでいましたが、会社から「ワーキングママとしてのロールモデルになって欲しい」と以前よりも緩やかな働き方を提案されました。
私自身、時短勤務や制限した働き方は望んでおらず、その頃から会社と意見が合わなくなってきたのです。12年も働いた会社ですから、多くの取引先も持っており、役職を降りる際にはお客様に挨拶周りをしました。
すると、あるお客様から「ノウハウもあるし、独立してみたら?後押しするよ」と言ってもらったんです。独立を考えた事もなかったし、不安もあったのでお断りしていたのですが、人材育成セミナーの場をセッティングしてくださったり、知り合いを紹介してくださったりと手厚くサポートしてくださったことで、独立を決意しました。
1年目は、大阪でシェアオフィスを持ちながらも仕事を繋いでくれたお客様が東京をメインに活躍していたので、東京での販路拡大からスタート。
2年目も、教育研修の市場も東京が圧倒的だったので、千代田区にもオフィスを開設しました。今でも依頼をいただいている大手航空会社や家電量販店の企業様の研修を担当するようになったのもこの頃です。
3年目に入ったときに前職の部下を迎え入れ、採用事業を任せることになり、続けて大学時代の友人をCS部隊の責任者として迎え入れました。人が増えてきたことで、会社としてのビジョンを決めていく必要があると感じ、5期目を境にしっかりとしたオフィスを開設し、組織として大きくしていこうと決断しました。
今では新しく営業を2名、テレアポ担当の1名を迎え入れ、全員で7名になっています。
2回目の離婚と子育てのあり方
事業が軌道に乗り始めた4年ほど前に、2回目の離婚を経験。子どもも物心がついてきた事もあり、最近では実家を出て大阪で2人暮らしをしています。子どもにも協力してもらいながら、働き方は変えず両立。
私が楽しそうに働く姿を見て、子どもは「私も社長になる!」と言っています(笑)そんな言葉を聞くと、楽しそうに働く姿を見せることが本当に大切なんだなと気づかされました。
お客様の最大の応援団であり続けたいキャリアチアーズ
会社を立ち上げるときに社名は「事業内容がわかるようなものがいいな」とふわっとしていたのですが、「山口さんは僕たちの応援団だ」と言ってもらえることがあって。その姿勢を自分の信念にしたいと思い、「キャリアチアーズ」と名付けました。
人材育成を軸にさまざまな業務を展開していますが、得意なのは管理職研修。女性活躍の推進が進む今の時代、私の人生を通しての経験が講師として活きています。今こうして仕事を頑張れているのも、この仕事ができているのも、これまでに関わった上司にとても恵まれていたから。
私には壮大な夢もなかったし、目標があったわけでもない。でもどこの職場でも個性を受け入れてもらえて、上司が上手に育ててくれたから今のやりがいがあるんです。
おかげさまで今では、自分の仕事を通じて社会に貢献したい、子どものためにはどうすればいいんだろうと他人のことまで考えるようになって。上司次第で私のように姿勢もマインドも変わるのなら、管理職の育成・研修こそ社会の良い仕組みづくりの肝だと感じ、注力しています。
実務に活かせるまでしっかり落とし込む研修
私たちの研修の強みは、アフターフォローまで整った体制です。
知識をレクチャーし、その後学んだ内容をテスト・添削。そうすることで身になり、成果を出すことができます。
研修内容に自信があるのはもちろん、研修後にお客様からの意見で一番多くいただくのが「とにかく面白かった」という声。ありがたいことに一度ご依頼いただいた企業様には、必ず継続してご依頼いただいています。
今までは東京を中心に販路を広げてきたのですが、オンライン化も進んだ今、研修範囲を全国に広げたり、BtoCの事業を展開したりしていこうと考えています。
極論を言ってみれば、世界に通用する子どもの人材の育成を目指す「寺子屋」のような場所を作れたらと思っています。勉強だけじゃない生き抜く力を育てたり、働く楽しさを伝えたりできたりする場所の創作を目指しながら、研修事業を通じて少しでも良い社会づくりの一助ができればと思います。
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