営業の仕事内容には、ターゲットの検討からアフターフォローまで幅広い業務が含まれます。それぞれどのような仕事が求められるのか、求められるスキルややりがいについて見ていきましょう。また、営業の種類による仕事の違いについても解説します。
営業職が担当する6つの仕事内容
ビジネスのすべてが詰まっているといわれるほど、幅広い業務を担当するのが営業の仕事です。そのため、新入社員は営業職に配属されることが多く、営業を通してビジネスにおいて知っておくべき知識や最低限必要とされるスキルなどを身につけることが可能です。
営業の仕事内容は大きく次の6つに分けることができます。
- 営業戦略の策定
- ターゲットの選定
- 営業
- 受注・手配
- 納品・請求
- アフターフォロー
それぞれの仕事内容について、詳しく見ていきましょう。
1.営業戦略の策定
行き当たりばったりな方法で営業をするというスタイルは、効率が良い営業とはいえません。販売する商品やサービスの特徴・メリット・使い方・注意点などを深く分析し、それぞれに応じた営業戦略を策定して効率的な営業を進めていきます。そのため、営業担当者は実際の営業活動を始める前に、丁寧な戦略策定を行う必要があるでしょう。
2.ターゲットの選定
営業戦略を策定した後は、営業ターゲットの選定です。商品やサービスによってターゲットが異なるため、正しく見極め、ニーズが高いと思われる人々に届けられるようにします。
ターゲットを決めた後は、ターゲットごとの売り方も決める必要があるでしょう。ターゲットによってニーズが微妙に異なるので、何に訴えかければ心を動かされるのか考え、適切な営業トークを行えるようにします。
3.営業
営業戦略とターゲットを明確に絞り、営業担当者一人ひとりが理解を深めたうえで、いよいよ営業に出かけます。既存のクライアントを訪問するだけでなく、新しい取引先の獲得にも努め、ターゲットを絞って営業を展開していきましょう。
なお、営業は通常チームで行います。メンバーの適性に応じて営業先を割り振ったり、場合によっては2人以上でクライアントを訪問したりするなど、柔軟に営業方法を変えていきましょう。
4.受注・手配
営業が実を結びクライアントから注文を受けたときには、商品やサービスの手配に進みます。このとき手配に不備があると、クライアントのニーズに対して正確に応えられません。数や納期に間違いがないか何度もチェックできる管理システムを構築し、クライアントに迷惑をかけることがないように工夫します。
また他の営業メンバーと逐一情報を共有することでも、受注や手配におけるミスを事前に防げるでしょう。
5.納品・請求
手配した商品やサービスをクライアントに提供できる状態になったら、納品を実施します。このとき「クライアントに早く納品したい」という気持ちが先走ってしまうと、最後の段階で取り返しのつかないミスをしてしまうことになりかねません。納品する前に丁寧に商品やサービスに初期不良などがないか確認し、納期や数量などにも間違いがないか調べたうえで納品しましょう。
納品後、クライアントに受注した内容と相違がないことを確認してもらい、代金の請求業務に移ります。請求書に記載されている内容にも間違いがないか確認し、代金の支払い方法についてお互いの認識に相違がないか再度チェックしておきましょう。
6.アフターフォロー
営業の仕事は、商品やサービスを販売すれば終わりではありません。定期的にクライアントに顔を見せ、購入した商品やサービスに使いづらい点がないか尋ねる「アフターフォロー」が不可欠です。トラブルが起こっているときは迅速に修理や交換を手配します。
また、定期的にクライアントに顔を見せることで、クライアントの別のニーズにいち早く気付くことができるでしょう。長く付き合える信頼関係を築くためにも、定期的にクライアントを訪問することが大切です。
営業の種類
営業とは、相手に商品やサービスを購入したいと思ってもらうための行為、また取引後、さらに次の営業につなげる行為を指します。ただし、誰をターゲットとして営業するか、どういう立場で営業するか、何を目的として営業するかによって営業手法が異なるので注意が必要です。
営業手法を次の3つに分けて詳しく解説します。
- ターゲットによる分類
- 営業形態による分類
- 営業手法による分類
ターゲットによる分類
ターゲットによる分類では、法人向けの営業と個人向けの営業に分けられるでしょう。法人向けの営業では、自動車・電気機器・ITシステム・広告・保険など、さまざまな商品やサービスを販売します。企業保険や会社全体のシステムに関わることは経営者に、その他の商品やサービスは担当する部署の社員に営業を行うことが一般的です。
個人向けの営業でも、自動車・不動産・保険などさまざまな商品やサービスを販売します。個人向けの営業ではターゲットとなる個人が気に入れば即購入に結びつくため、法人への営業よりも、より担当者の人柄やコミュニケーションスキルに結果が左右される傾向にあるといえるでしょう。
営業形態による分類
営業する立場によってメーカー営業と商社営業、代理店営業に分類できます。メーカー営業とは、自社が製造した製品を売り込むことです。個人に営業することもありますが、法人相手となることが多い傾向にあります。
一方、商社営業とは、別の企業から仕入れた商品を販売することです。商社ならではのネットワークを活かし、個人や法人に販売します。メーカーは多彩な販路を持つ商社に販売を依頼し、商社が営業を引き受けるスタイルです。商社の営業担当者の商品についての知識を補完する目的で、メーカーの社員が営業に同行することもあります。
代理店営業とは、自社の商品やサービスを扱う代理店に向けた営業活動です。代理店に商品の使い方を説明したり新商品の魅力をアピールしたりすることで、代理店のスタッフが消費者に販売しやすいようにサポートします。
営業手法による分類
営業手法によって、新規開拓営業・ルート営業・テレアポ営業・テレコール営業・受付営業・飛び込み営業に分類することができます。
新規開拓営業とは新たなクライアントを獲得するための営業です。反対にルート営業とは、既存のクライアントを対象とした営業を指します。ルート営業では新しい商品を紹介したり、現在使用してもらっている商品やサービスに問題がないか尋ねたりすることができるでしょう。またクライアントの抱えている問題を察知し、それに答える形で自社商品を提案するソリューション営業も行います。
テレアポ営業とは電話で会う約束を取り付け、実際に会ってから商品やサービスの営業を行うことです。まずは会う約束を取り付けることが大切なので、電話口で商品やサービスの魅力を端的に説明し、顧客の興味を惹きつける必要があります。
一方、テレコール営業とは、電話で商品やサービスの紹介から商品販売までのすべてを行う営業方法です。電話だけで契約に取り付けるため、巧みな話術と顧客のニーズを察知するスキルが求められる手法といえるでしょう。
受付営業とは、受付に座って顧客が来るのを待つタイプの営業方法です。自分から顧客に会いに行く必要はありませんが、その分取りこぼしなく、来た顧客すべてを満足させる対応を取ることが求められます。顧客はある程度商品やサービスについて知識があるケースも多いので、営業担当者はどんな質問をされてもスムーズに答える深い知識や柔軟な対応力を身につけている必要があるでしょう。
反対に飛び込み営業とは、見知らぬ顧客の元に飛び込んでいくスタイルの営業手法です。顧客は自社の商品やサービスに対してほとんど知識がない状態なので、いかに会社を信頼してもらえるか、商品やサービスに対して魅力を感じてもらえるかが成功のカギとなります。
関連記事問題解決策を提供するソリューション営業。必要なスキルを紹介営業職に求められるスキル
- 課題を発見するスキル
- ヒアリングスキル
- コミュニケーションスキル
- 専門知識(IT営業などの場合)
いずれのスキルも努力によって習得可能です。それぞれ具体的に見ていきましょう。
課題を発見するスキル
会話や行動観察などから、的確にクライアントが抱えている課題に気付く「課題発見スキル」は営業職に不可欠なスキルです。どんなに良い商品やサービスを持っていても、単に「これはとても良い商品です」というだけではクライアントに買いたいという気持ちを想起させられません。
クライアントの課題を的確に見つけ「これは〇〇なので、あなたにとって必要だ」とアピールすることで、より効率の良い営業を行っていきましょう。
ヒアリングスキル
自社の商品やサービスを売りたいという思いが強すぎると、つい相手の話を聞かずに自分ばかりが話してしまうことになりかねません。しかし、クライアントの話の中には、営業に繋げられるさまざまなヒントが隠れています。丁寧に相手の話を聞く「ヒアリングスキル」を高め、クライアントが何に興味を持っているのか、またどんな点に不便を感じているのかを察知しましょう。
コミュニケーションスキル
訪問営業であれ電話を通した営業であれ、すべての営業はクライアントとのコミュニケーションによって成り立っています。営業職は「コミュニケーションスキル」を有し、クライアントの気持ちを理解し、また自分の気持ちを伝える必要があるでしょう。
コミュニケーションスキルを高めることで、クライアントの隠れたニーズを発見できることがあります。ニーズ発見から営業に繋げることもできるので、普段からこまめにクライアントとコミュニケーションを取る習慣を身につけましょう。
専門知識(IT営業などの場合)
商品やサービスに対する「専門知識」がないと、クライアントの疑問に的確に答えることができません。あやふやな返答をしているとクライアントの信頼を勝ち得ることができず、商品やサービスの導入に繋げることは難しいでしょう。
特にITシステムなどの営業には、深い専門的な知識が求められます。事前に勉強をし、どんな質問でも答えられるようにしておきましょう。
営業職として働くやりがい
営業職はやりがいの多い仕事です。営業職を行うことで、戦略策定やマーケティング、販売などビジネスに必要なほとんどのスキルを獲得することができます。ビジネスパーソンとしてのブラッシュアップを目指すのであれば、まずは営業職を行うということは良い選択肢といえるでしょう。
また、営業職は成果が見える仕事だという点もやりがいにつながります。売上増に直接貢献できるので、会社によってはインセンティブなども受け取れるかもしれません。
営業職が知っておきたい2つのポイント
営業職として働くことで、自身のビジネススキルをブラッシュアップすることができます。ブラッシュアップしたスキルを転職先や現在の職場で活かすためには、次の2つのポイントを押さえておくことが必要といえるでしょう。
- 営業職をアピールする職務経歴書の書き方
- 「売らなくてはいけない」と意識しすぎない
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
1.営業職をアピールする職務経歴書の書き方
営業職に従事していたということは、転職するときにもアピールポイントになります。次の3つの点に留意して職務経歴書を作成しましょう。
- 販売した商品やサービス
- 営業の種類
- 営業の実績
まずはどんな商品やサービスの営業を受け持ったのかについて記載します。そのうえで、新規開拓営業がメインだったのかルート営業を受け持ったのかなど、営業の種類についても記載しましょう。
また売上や成約件数、目標達成率、社内表彰の実績、部署内の順位などについても詳しく記載することで、面接官にスキルを伝えやすくなります。社内の事情を知らない人が読んでも理解しやすいか、何度も推敲を重ねて職務経歴書を作成していきましょう。
社内表彰や部署内の順位などにおいて特筆すべき結果が出ていない場合には、営業にまつわるエピソードなどを書き加えることでアピールすることも可能です。例えば具体的な売上増には繋がらなくとも、営業先から「〇〇さんが担当してくれないと困る」と褒められた経験があれば、誇張することなく記載しておきましょう。
いくつかのエピソードを通して、コミュニケーションスキルが高いことや誠実さなどを面接官にも理解してもらいやすくなります。
2.「売らなくてはいけない」と意識しすぎない
転職するかどうかに関わらず、営業スキル向上を目指すのであれば、「売らなくてはいけない」という意識を強く持たないようにすることが大切です。「売らなくては」という意識が強ければ強いほど、クライアント目線ではなく自身や自社目線の営業をしてしまいます。クライアントにも「こちらの気持ちや立場を理解していない」ということが伝わり、良好な関係を築きにくくなるでしょう。
営業への転職も検討してみよう
営業職を担当することで、ビジネスにおけるスキルを向上させることが可能です。今まで営業を受け持ったことがない人も、自身のビジネススキルアップのために営業職にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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