本採用前に導入している企業も多い試用期間。試用期間はなぜ設けられているのでしょうか。そして試用期間中に解雇はあるのか、退職はどんな手順で行うのか不安に思うことも多いはず。この記事ではそんな試用期間に関する悩みを解決していきます。
試用期間に関する疑問
そもそも試用期間とはどんな期間で、何を目的にしているのでしょうか。ここでは試用期間の定義やそれに付随する疑問などを紹介していきます。
試用期間とは?
試用期間とは、採用した人材が業務・職場環境への適性があるかどうかを判断する期間のことです。いわゆる正式雇用前のお試し期間です。数回の面接だけでは、企業にマッチする人材であるかの見極めは難しいもの。そのため、長期雇用を前提に企業に招き入れ、採用者の勤務態度やスキルなど見極めるのです。
試用期間の日数に決まりはある?
試用期間は法的に設置義務はありませんので、期限は導入している企業によって異なってきます。一般的なのは、大体1ヵ月から半年程度。最長でも1年が限度と考えられています。また、試用期間を設ける場合には、労働契約書や就業規則に明記する必要がありますので、口頭のみのやり取りの場合、書面で確認したいと申し出るのがおすすめです。
試用期間中に解雇はありえる?
採用した人材の適性を判断するための試用期間でもありますので、適性がないと判断された場合、試用期間の解雇は十分にありえます。しかし、長期雇用が前提の採用なので正当な理由がなければ簡単に解雇はできません。
正当な理由とは、経歴詐称や出勤率不良、勤務態度の悪さなど。社風に合わない、期待よりもスキルが伴っていないなどは、正当な理由には該当しません。
試用期間中でも退職はできる?
試用期間中は企業側が組織にマッチする人材であるかを判断する期間でもありますが、採用者側からしても自分にフィットする組織なのかを判断する期間でもあります。「業務内容が合わない」、「組織の雰囲気が合わない」など、働いてから気づくことは誰しもあるもの。ですので、試用期間中でも退職は可能です。しかし、注意点がいくつかありますので、次の段落で紹介していきます。
試用期間中の退職に関する注意点
試用期間中に組織との方向性や業務内容が合わず、退職したいと考えたとき、申し出るタイミングや退職届けなどさまざまなことに注意を払う必要があります。ここではその注意点を紹介します。
即日退職は原則不可能
民法627条によると、雇用期間の決まりがない場合「退職の申し出はいつでも可能」で、退職を申し出た日から2週間経過した段階で試用期間終了&退職となると記されています。
つまり、原則として退職希望日の2週間前までに会社に退職したい旨を伝えれば、試用期間中であっても退職できます。
この定めに乗っ取ると、最低でも退職の申し出から2週間は会社に在籍することになりますので、即日退社は原則不可能。円満に退職するためにも、期間を早めるようなことはせず、会社、上司と相談しながら退職日を決めるようにしましょう。
特例に限り即日退職も可能
上述したように、試用期間中であっても雇用契約は成立していますので、即日退職は原則不可能。しかし、会社側の都合や問題があって退職せざるを得ない場合には、即日退職も可能です。
例えば、上司によるパワハラや労働基準法違反など、劣悪な職場環境が原因の場合です。こうした場合の退職は会社側の問題なので、基本的に即日退職ができます。
退職届の準備も忘れずに
会社側に問題がある場合以外は、試用期間であっても2週間前までに退職届を提出しなければなりません。口頭のやり取りのみで問題ない企業もあるようですが、退職時のマナーとして退職届は必要になりますので、きちんと準備しておくようにしましょう。
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試用期間中の退職手順
試用期間中の退職は、「自主退職」と「合意退職」の2種類に分けられます。この2種類の退職区分は会社に決定権があります。決定した区分によって退職手続き方法が変わってきますので、ここでは「自主退職」と「合意退職」それぞれの退職の手続き・流れについて紹介します。
自主退職の場合の手順
採用された側の一方的な意思表示によって退職の効力が発生する「自主退職」。企業側の承諾や同意は必要ありません。退職届が企業側に渡り、2週間が経過したのちに退職できることになります。そのため自主退職区分に値する場合には、上司にアポをとって退職届を渡した時点で退職の手続きが完了となります。
ただしこの場合には1度提出した退職届を撤回することはできませんので、注意が必要です。
合意退職の場合の手順
採用者側が企業に退職届を提出し、受理された場合に退職が成立することを「合意退職」と言います。そのため、自主退職とは違い、退職届が受理される前であれば退職届を撤回することができます。どちらにしても、退職には一定の期間が必要になりますので、退職を決意したらできるだけ早めに直属の上司、または人事担当にアポを取り伝えるようにしましょう。
《例文あり》試用期間中における退職の上手な伝え方
上司に退職を申し出る際には、退職を希望する理由を伝える必要があります。退職理由を感情のままストレートに伝えてしまっては、関係性が壊れたり、円満に退職できなくなってしまったりする恐れも。そのためには上手く退職理由を伝えなければなりません。ここでは退職理由別の試用期間中における退職の上手な伝え方を紹介します。
業務内容が想定していたものと違った場合
仕事内容は書面や面接の際に確認していても、実際に働いてみると業務範囲が広かったり、違ったりして違和感を抱く場合も。そんな場合の退職の上手な伝え方は以下です。
「業務に取り組む上で入社前にお伺いした業務内容よりも多岐にわたる業務にギャップを感じています。今回の転職理由として専門性を深めたいとの願望がありました。しかし現状の職場では、満足のいく社会生活を得られないと感じ、退職を考えています。試用期間中の申し出で大変申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。」
社風や人間関係が合わなかった場合
業務内容のギャップ同様、社風や人間関係などは入社してからでないと詳しくわからないもの。職場環境への不満を理由に退職を希望する場合の上手な伝え方は以下になります。
「職場の社風や雰囲気が自分の想像していたものとギャップを感じており、自分には適していない環境だと感じております。人間関係にも悩んでいて、自分なりに雰囲気に合わせようと努力しましたが厳しく、退職を決意いたしました。試用期間中の立場で、このような申し出は大変心苦しいのですが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。」
体調不良が続き勤務ができない場合
体調不良や病気などが原因で退職を考える場合、ストレートに理由を伝えるのがベストです。医師による診断や通院している事実がある場合は、その旨も併せて伝えると信憑性が高まり、退職の手続きもスムーズになるでしょう。
「弊社に入社した頃から体調不良が続いており、業務に支障が出つつあります。病院を受診したところ、医師から休養の必要があるとの診断を受け、退職して体調回復に努めたいと思っております。試用期間中にこのような事態となり、誠に申し訳ありません。」
まとめ
試用期間は企業側と採用者側互いの相性や適性を見極めるお試し期間のようなもの。試用期間とはいえ、雇用期間を結んでいますので互いに簡単に契約を破棄することはできません。退職を決意した場合には、退職届を事前に準備し、余裕を持って上司に申し伝えて円満退職を目指しましょう。
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