30代に差し掛かると、多くの人が「中間管理職特有のプレッシャーが増す」などの悩みから、転職を検討する傾向が高くなります。
本記事では、30代で転職を考える理由や成功のコツ、留意すべき事柄について紹介します。30代からの転職を成功に導くコツをつかみ、望む働き方を実現するための参考にしてみてください。
30代で転職を考える理由は?
じつは、30代で転職を考える人は非常に多くいます。その理由として多いものは以下の4つです。
1. 将来を考えて自信がなくなってしまうため
2. キャリアアップを考え始めたため
3. 評価に不満があるため
4. 上司と部下の板挟みになってしまったため
本章ではそれぞれの理由について解説していきます。自分自身がそのような理由で転職を考えているのかを踏まえ参考にしてみてください。
1.将来を考えて自信がなくなってしまうため
30代で仕事にやりがいを感じられないことから、転職を考える人も多いでしょう。また、中には定年まで働き続けられるかどうかを不安に感じる方もいるでしょう。このような理由から焦りを感じ、転職する人も少なくありません。
しかし、仕事にやりがいが感じられない場合は、自分自身の工夫によって改善できるケースもあります。まずは自分でできる工夫はないか、もう一度考えてみることが大切です。以下のような方法で再びやりがいを感じ、自信を取り戻せるでしょう。
● タスクの改善点を洗い出し、実行する
● 長期休暇を取得する
● 部署異動を申し出てみる
● 将来のイメージをする(長期の目標を設定する)
● 会社に対して、自分の業績をアピールしてみる
上記の方法を試したうえでも、なお、やりがいを感じられなかった場合は、このまま転職活動を始めてみましょう。
2.キャリアアップを考え始めたため
30代になると、20代の頃と比べて仕事に慣れてきます。仕事に慣れることは、良いことのように感じますが、日々の業務がルーティンワークのように感じられるケースも少なくありません。「毎日、同じことの繰り返し」と、感じてしまう状態です。
このようなときに、キャリアアップについて考える人も多いでしょう。しかし、今後のキャリアを考えた結果、現在の職場ではキャリアアップが叶いそうもないと考えた場合は、転職するのも選択肢の一つです。
その際は、具体的な目標を設定し、キャリアアップの道筋を明確にしておかなければなりません。
3.評価に不満があるため
30代の転職を検討する、多くの人が抱える一般的な懸念は、自身の能力が適切に評価されないことです。会社で働くプロフェッショナルは、組織内での評価を通じて昇進や新しい仕事の機会を獲得し、給与や待遇向上が期待されます。
しかし、社内評価が期待通りに上がらず、自分の実力が適切に評価されていないと感じる30代が多いのも事実です。
もしも、自分の能力が適切に評価されていないと感じているのであれば、転職を検討するタイミングだと考え、新たな職場で自分の実力を発揮するチャンスを探してみることも良いでしょう。
4.上司と部下の板挟みになってしまったため
30代になると、中間管理職に就いている人も多いでしょう。中間管理職のポジションは、しばしば上司からも部下からもプレッシャーを感じ、精神的にきつくなり転職を検討することがあります。
もしも、管理スキルに課題がある場合、必ずしも「転職」が解決策ではありません。管理スキルを向上させることで問題が解消することもあり、自身の仕事の進め方を見つめ直すことが大切です。
管理スキルを向上させるために、以下の要点に焦点を当ててみてください。
● 相手の立場になって考える
● 問題解決能力を磨く
● 指示の出し方を変えてみる
● 部下が気軽に意見を言える環境を目指す
30代の転職活動の流れ
30代の転職活動は以下のような流れで進められます。
1. スケジュール(計画)を立てる
2. 自己分析し、実績をまとめる
3. 求人情報を探す
4. 履歴書や職務経歴書を作成する
5. 面接
6. 条件のすり合わせ
7. 退職手続きをおこなう
基本的に、30代以上の中途採用をおこなっている企業が求めることは、即戦力となる人材です。転職を希望している企業が、何を求めているのか、そして自分自身にはどのようなスキルがあるのかをしっかりと分析しなければなりません。
30代の転職を成功へ導く4つのコツ
企業が30代の人材を採用する場合は即戦力を求めています。それを踏まえて30代で転職を成功させるにはいくつかのコツがあるので抑えておきましょう。
本章では以下の4点に分けて、それぞれのコツについて解説していきます。
1. 条件や待遇だけで判断しない
2. マッチするスキル・経験をアピールする
3. 面接などで前職を批判しない
4. 応募する企業の幅を広げる
1.条件や待遇だけで判断しない
企業を選ぶときは、年収などの条件面だけに依存しないよう心がけましょう。条件だけで選んでしまった結果、自分自身が思い描いていた働き方が実現できず、後悔をすることがあります。自身の転職における優先順位や希望条件を整理し、全体の適合度を考慮することが重要です。
年収条件の交渉は、面接中におこなうべきではありません。通常、年収条件の交渉は2次面接や内定後におこなわれます。
市場価値と一致しない条件を提示した場合、選考が見送られる可能性もあるため、慎重に検討しましょう。
2.マッチするスキル・経験をアピールする
求められる人材要件に適合していること、経験やスキルを強調することも重要です。30代の転職候補者は即戦力として求められることが多く、とくに競争が激しい企業や職種では、他の応募者と比較されます。
応募先が求める人材要件に対して、自身の経験とスキルがどれだけ適合しているかを明確にアピールしなければなりません。
転職先の企業文化や業務スタイルに適合する要素を、アピールすることも不可欠です。30代の経験豊富な候補者にとって、新しい職場環境への適応が求められることもあります。
入社前に企業に対するリサーチをおこない、企業の文化や業務スタイルに適合する自身の経験やアプローチを強調すると良いでしょう。
3.面接などで前職を批判しない
面接などで、前職や現職に対する不満を述べることは避けるべきです。転職理由に、会社に対しての不満があるケースは珍しくありませんが、本音と建前は使い分けましょう。
面接では前向きに、転職先で何を実現したいのかを伝えるべきです。転職理由は重要なトピックであり、不満や批判のみを述べることで、採用担当者から不安視される可能性が高くなります。
4.応募する企業の幅を広げる
応募企業を選ぶ際、自分の経験とスキルを最大限に活かす求人に応募することは、選考通過の可能性を高めます。
過度に業界や職種を狭めず、多様な企業を検討することがポイントです。同じ業界や職種にこだわらず、過去の経験やスキルを転用できる可能性も考慮しなければなりません。
同時に、複数の企業に応募する戦略も有効です。転職エージェントを利用する場合、通常は10社以上に応募するのが一般的です。
30代で転職することの注意点
30代で転職するためには、いくつかの注意点があります。本章では30代の転職をテーマに、注意すべきポイントを以下の4つに分けて解説していきます。
1. 年齢によって求められているスキルを把握する
2. 未経験な分野には転職しにくい
3. スキルと実績が必要
4. 1人で進めることは難しい
どのように対策をすべきなのか、20代の転職とはどのように違うのかを考えながらチェックしてみてください。
1.年齢によって求められているスキルを把握する
年齢によって求められているスキルを把握し、効果的にアピールすることが重要です。企業は30代の従業員に対して、組織内での「管理能力」を求めています。
30代前半ではマネジメント経験が稀なため、とくに30代後半の転職者にとって、このスキルが重要視されます。マネジメントの実績がない場合、内部での評価やリーダーシップを、面接時のアピールポイントと考えましょう。
2.未経験な分野には転職しにくい
30代の場合、一般的には「同じ業界または同じ職種」への転職が一般的です。業界知識や経験、スキルを持つ人材が即戦力として求められるからです。新しい分野に挑戦したい場合、これまでのスキルや経験をアピールすべきでしょう。
たとえば、「事務職」から「営業職」へ転職したい場合、コミュニケーション能力をアピールできます。前職と新しい職種の共通点を見つけ、スキルがどのように役立つかを、面接で伝えましょう。
3.スキルと実績が必要
同じ業界への転職でも、十分なスキルや実績がなければ、即戦力として認識されるのは難しいことがあります。スキルが不足している場合は、現職で経験を積むのがおすすめですが、スキルを過小評価しがちな方もいるでしょう。
目標が高すぎると、本来のスキルや経験を見落とすことがあります。自身のスキルを客観的に評価するのが難しい場合、転職エージェントのキャリアアドバイザーに相談することで、客観的な視点を得られます。
また、現在のスキルで応募できる求人や転職に関する助言を受けることも有益です。
4.1人で進めることは難しい
転職活動は求人検索や文書作成、企業調査など、想像以上に多くの作業が必要です。多忙な30代にとって、転職活動を並行して進めることは難しいでしょう。しかし、30代で転職を遅らせると、転職の難易度が上がる可能性もあります。
なにもかもを1人で進めようとせず、転職エージェントを利用しましょう。企業情報を短時間で入手でき、自分に合った求人を提案してもらえます。
よくある2つの質問
30代で転職活動をする場合、さまざまな不安があるでしょう。その証拠として、インターネット上には、30代の転職について、多数の質問が飛び交っています。中でもとくに多い質問は、以下の2つです。
● 転職回数が多いことは不利なのか
● 転職先の平均年齢が若い場合は不利なのか
上記のような点を不安に感じている方は多いのではないでしょうか。本章では、2つの質問に対する答えを、まとめて紹介します。
1.転職回数が多いことは不利?
30代で2回や3回の転職歴がある場合でも、各転職には妥当な理由がある場合は、とくに不利にはなりません。むしろ、企業が注目することは「自社で即戦力として活躍できるかどうか」です。
3回の転職を経て得た実績や習得したスキルを整理し、自身の強みとしてアピールできれば、転職経験がプラスに働くでしょう。自分をどのようにアピールするのか、よく考えたうえで面接に臨みましょう。
2.転職先の平均年齢が若い場合は不利?
若い社員が多い組織では、20代でリーダーシップの役割を果たすこともよくあります。したがって、30代の中途採用者が入社する場合、ときには「年齢的に上司と部下が逆転することもある」と考慮すべきです。
実際、企業が組織のバランスを考慮して、20代の上司より年下の人材を求める場合もあれば、30代のリーダー人材を必要とする企業もあります。各企業が求める人材像を把握することがポイントです。
30代でも転職を成功させよう!
これまで30代の転職について解説してきました。20代の転職とは異なるスキルや経験を求められるのが30代です。自分自身に何ができるのか、どのような能力が求められているのかを分析して転職活動に活かし、ぜひ転職成功をつかみ取りましょう。