長期インターンシップとは、3ヵ月以上の長期間にわたり実際の現場で就業するプログラムです。社員とともに業務に携わり、実務のスキルや経験を身につけられます。本記事では長期インターンシップに参加するメリットや探し方、効果を高めるためのポイントなどをご紹介します。
長期インターンシップとは
長期インターンシップとは、3ヵ月以上の長期間にわたり参加するプログラムです。長い場合は1年以上におよびます。
1日から2週間程度で終了する短期インターンシップと異なり、実際の職場で給与をもらいながら参加するのが特徴です。短期インターンシップがセミナーや体験のような内容であるのに対し、長期インターンシップの場合は社員と同じ業務を行い、スキルや経験を積めるという点が異なります。
短期インターンシップと長期インターンシップを比較表にしました。
勤務期間 |
給与 |
参加学年 |
業務内容 |
開催企業 |
|
短期インターンシップ |
1日〜2種間程度 |
無給 |
基本的に3年生 |
セミナーやグループワークなど |
大企業が多い |
長期インターンシップ |
3ヵ月以上 |
有給の場合が多い |
学年を問わない |
社員と変わらない業務 |
ベンチャー企業など |
長期インターンシップに参加するメリット
長期インターンシップは実際に社員と同じ業務に携われることにより、さまざまなメリットを得られます。業界や職種への理解を深められるとともに、働きが評価されて内定を獲得できる可能性もあるでしょう。就活に活かしながら給与をもらえるのも魅力です。
ここでは、長期インターンシップに参加するメリットについて、見ていきましょう。
業界や職種への理解度が高まる
長期インターンシップは、業界や職種への理解度が高まるのが大きなメリットです。外部からはわからないことも、実際に働くことで具体的なイメージがつかめます。
就職活動で情報を集める方法は、インターネットでの検索や説明会への参加などさまざまありますが、これらの情報は良い部分だけを提示している側面があり、情報として十分とはいえません。
リアルな内部の情報を手に入れるためには、長期インターンシップへの参加が効果的です。業界や職種への理解を深めることで、採用後のミスマッチを抑制できます。
また、インターンシップに参加して志望していた業界がイメージと違っていた場合でも、これまでは興味がなかったほかの業界に目を向けるきっかけになります。就職の選択肢が増え、結果的に自分に合う仕事を見つけられるのもメリットです。
内定を獲得できる可能性がある
長期インターンシップでは、企業側に働く姿勢が見られます。手際よく仕事をこなす、教えてもらったことはすぐにメモするなど学ぼうとする意欲がある、細かい仕事も丁寧にこなすなど、日々の仕事ぶりが評価されれば、選考でも有利に働く可能性があるでしょう。
内定直結型の長期インターンシップもあります。インターンシップを通じて学生と企業の双方が「今後も一緒に働きたい」という気持ちになれば、そのまま内定となるシステムです。
入社後の仕事内容や職場の雰囲気、人間関係などを確認してから入社を決められるため、入社後にミスマッチが起こる心配もありません。入社前に経験やスキルを積み、不安なく仕事を始められるのもメリットといえるでしょう。
就活でのアピールポイントになる
長期インターンシップでは、ビジネスマナーをはじめ、実務で求められるさまざまなスキルや能力を身につけられます。インターンシップで得たこれらのスキルは、志望動機や自己PRでのアピールポイントになるでしょう。
長期インターンシップに参加している学生は少なく、ほかの就活生と差別化したエピソードを提示できるのもメリットです。長期インターンを通して見えてきた自分の適性や強み、将来のビジョンについて、具体的に伝えられます。
アピールの際は、ただ長期インターンシップに参加したことを伝えるのではなく、長期インターンシップで得た学びやスキル、成長できたことなどを伝えることが大切です。
給料がもらえる
短期インターンシップの多くは無給ですが、長期インターンシップは基本的に給与が支給されます。短期インターンシップの場合、学生はあくまで企業のゲストであり、インターンシップの内容もセミナーやグループワークなど、企業の売上には直接結びつかないものです。
しかし、長期インターンシップは実際の業務を担当し、社員と同じ仕事をします。企業の売上や利益に貢献するもので、労働基準法の「労働者」として労働の対価を支払う義務が生じます。
長期インターンシップは有給という点では、アルバイトと変わりありません。しかし、両者は目的が異なります。アルバイトは収入を得ることが目的であるのに対し、長期インターンシップはスキルの習得や企業・仕事への理解を深めることが目的です。
長期インターンシップに参加するデメリット
長期インターンシップに参加するのは、メリットばかりではありません。デメリットな側面もあります。例えば、長期インターンシップに参加すると内定が出る可能性はありますが、それに固執するとその後の就職活動に影響します。事前にデメリットな点を把握しておけば、適切な対策ができるでしょう。
長期インターンシップに参加するデメリットを紹介します。
内定が出た際に固執しがち
長期インターンシップに参加すると、そのまま内定をもらえる可能性があります。内定がもらえること自体は長期インターンシップのメリットですが、それに固執し、その後の就職活動が疎かになるのはデメリットです。
より自分に合う企業との出会いを失う可能性もあるでしょう。実際に働いて「この会社が自分に合っている」という確信があれば良い判断になりますが、そうでない場合にはデメリットな方向に作用する可能性もあります。
学業が疎かになる可能性がある
長期インターンシップでは社員と同じ実務を担当し、責任を伴う仕事を与えられることも少なくありません。しかし、就活生の本分はあくまでも学業であり、長期インターンシップに没頭しすぎると学業が疎かになるというデメリットがあります。
長期インターンシップに時間を割かれて単位を落とし、留年してしまうのは本末転倒です。長期インターンシップの参加を決める際は、しっかり計画を立てて学業に支障のないようにしなければなりません。
ただし、企業側もその点は心得ており、長期インターンシップの場合は最低労働時間を満たした上で、働く時間を自由に設定できるようにしているのが一般的です。
試験期間などの大学の事情を理解している企業も多く、通常のアルバイトとは異なるといえるでしょう。
就活で長期インターンシップについて聞かれる
長期インターンシップの経験は就活のアピールポイントになりますが、面接では「なぜそのまま就職しなかったか」と聞かれるケースが多くなります。長期インターンシップで学びを得られたならば、その会社に就職を決めるのは当然と考えるのも無理はないでしょう。
その回答としては、「企業の方向性が合わなかった」「インターンシップ先の企業は自分の企業選びの軸を満たしていない」といった内容が考えられます。自分なりの回答を用意しておくとよいでしょう。
長期インターンシップの探し方7選
長期インターンシップの探し方はさまざまあり、インターンシップ専用の求人サイトを利用するのが一般的です。志望する企業が明確なときは、企業のホームページから探すのもよいでしょう。インターン説明イベントへの参加やSNSなどで見つけられます。
ここでは、長期インターンシップの探し方について、7つ紹介しましょう。
探し方1.インターンシップ専用求人サイトを利用する
長期インターンシップは、インターンシップ専用の求人サイトで探せます。求人数が多く豊富な選択肢の中から選ぶことができ、目的の業界や職種、働きたいエリアなどから検索して選べるのが便利です。
ただし、求人サイトはたくさんあり、求人数や企業の質、求人内容の見やすさなどはそれぞれ異なります。
また、各サイトの募集数も多く、選ぶのに迷いやすいのがデメリットです。また、東京や大阪など都心部の募集が多く、地方の長期インターンシップは探しにくいという事情もあります。
UT-Board
※外部リンク
長期インターンはエイドインターン|「強み」「好き」を知ろう!
※外部リンク
探し方2.逆求人サイトのスカウト経由で参加する
逆求人サイトに登録し、スカウトを待つ探し方もあります。逆求人サイトとは履歴書や自己PRをサイトに登録し、経歴を見た企業から直接本人に長期インターンシップへのスカウトが届く仕組みです。求人サイトの種類が多すぎて選べないという方に向いています。
自分で探す手間が省ける反面、いつインターンシップのオファーがもらえるかわからないのがデメリットです。「長期インターンシップをすぐに始めたいわけではないが、良い企業があれば参加したい」という方には向いているため、登録しておくとよいでしょう。
探し方3.企業のホームページから探す
企業のホームページで長期インターンシップを募集している場合もあります。特定の企業を志望しており、長期インターンシップで働きたいと考えている場合は、ホームページを検索しているとよいでしょう。
企業によっては、自社のホームページのみでしかインターンの募集をしていない場合もあります。特に志望の高い企業があれば、まずホームページをチェックしてみてください。
探し方4.インターン説明イベントに参加する
インターン説明会イベントに参加する方法もあります。多くの会社が集まる合同説明会であれば、各社比較して選べるため便利です。説明イベントの内容は、主に企業が自社の理念や事業内容を説明したあとインターンシップの詳細について紹介があり、選考日程の説明が行われます。その後、学生からの質疑応答を受けるという流れです。
イベントでは直接企業の担当者からインターンシップの具体的な説明を受けられるため、疑問を解消できるのがメリットです。その際に好印象を与えられれば、長期インターンシップへの参加もしやすくなるでしょう。
近年はオンラインで開催される説明会も多く、気軽に長期インターンシップを探せるのがメリットです。情報をこまめにチェックし、気になる説明会があれば積極的に参加してみるとよいでしょう。
探し方5.知人に紹介してもらう
長期インターンシップに参加経験のある知人に紹介してもらうのもひとつの方法です。大学の先輩が就職した企業のインターンシップを紹介してもらう方法もあります。
知人の紹介は事前に業務内容や職場の雰囲気を聞けるため、事前に具体的なイメージをつかめるのがメリットです。大学の先輩が働いている職場であれば、安心して働けるでしょう。
探し方6.大学のキャリアセンターで問い合わせる
大学のキャリアセンターで長期インターンシップを扱っているケースもあり、問い合わせてみるのもおすすめです。キャリアセンターでは大学の卒業生が働いている企業の長期インターンシップを扱っている場合もあり、有利に参加できる可能性があります。
また、キャリアセンターはキャリアカウンセラーが常駐している場合もあるため、ただ案件を紹介してもらうだけでなく、キャリアの相談もできるのがメリットです。気軽に問い合わせてみるとよいでしょう。
探し方7.SNSで長期インターン生の募集を探す
TwitterやFacebookなど、SNSで長期インターンシップを募集している企業もあります。SNSは採用コストがかからないため、成長過程のベンチャー企業などが募集しているケースも少なくありません。「急成長するベンチャーで働きたい」という方は、SNSを活用してみるとよいでしょう。
ただし、SNSで長期インターンシップに申し込む際は、企業や業務について事前によく調べておくことも大切です。
長期インターンの選ぶときのポイント
長期インターンシップを選ぶときは、いくつかチェックすべきポイントがあります。まずは、以下の内容を確認しましょう。
- 業界
- 仕事内容
- 職種
- 成長できるか
- 給与
- アクセス・勤務日数
興味のある業界や仕事内容か、スキルを活かせる職種かは長期インターンシップを選ぶ際の大事なポイントです。また、成長が見込めそうなインターンシップかも重要です。
長期インターンシップを選ぶときのポイントについて、紹介します。
興味のある業界か?
志望する企業が明確に決まっていない場合は、選択肢を絞るために興味のある業界を選びましょう。業界は、金融業界、IT業界、飲食業界、観光業界、ファッション業界などさまざまです。気になる業界で検索して企業をリストアップすると、さらに興味を引く企業のインターンシップが見つかる可能性はあります。
特に長期インターンシップを多く募集している業界は広告・マスコミ業界やコンサルティング業界、マーケティング業界などがあげられます。これらの業界に興味があれば、まず検索してみるとよいでしょう。
興味のある仕事内容か?
興味のある仕事内容かどうかも、長期インターンシップを探す上で大切なポイントです。興味のない仕事内容のインターンシップに参加しても長続きせず、得られるものは少ないでしょう。
仕事内容は企業や業界に関係なく共通するものです。営業職や企画職、事務職など、やりたい仕事内容があるという方は、仕事内容に照準をあててインターン先を選ぶとよいでしょう。興味のある仕事内容であればスムーズに業務になじめ、実際に業務に携わることで適性があるかを判断できます。
持っているスキルを活かせる職種か?
なにかしらのスキルがあれば、それを活かせる職種かどうかという軸でインターンを探すのがおすすめです。大学や趣味で身につけたスキルが実際に仕事で活かせるかを知るには、長期インターンシップが最適です。
例えば、将来グローバル企業で働きたいと考えて語学の勉強をしている場合、語学力を活かせる長期インターンに参加することで実力を試せます。ビジネス特有の実践的な英語力を身につけることもできるでしょう。
また、これから身につけたいスキルがある場合、働きながらスキルが身につくインターンシップを選ぶという方法もあります。
自身の成長が見込めそうか?
長期インターンシップの目的は、業界や職種への理解を深め、自身が成長することです。そのため、長期インターンシップを選ぶ際は成長が見込めそうかどうかも大切なポイントになります。
まずどのような経験を積みたいか、何を得たいのか長期インターンシップに参加する目的を定め、目的を達成して自身が成長できる仕事かどうかを考えましょう。
業界内での立ち位置・ネームバリューは十分か?
就活でのアピールに長期インターンシップを活かしたい場合は、業界内での立ち位置・ネームバリューもチェックが必要です。
面接で長期インターンシップの経験をアピールする際、その企業と同じ業界でネームバリューがあるインターンシップ先であれば、インパクトは大きいでしょう。企業のつながりを業界マップで確認し、各企業の関連性を調べておくことが大切です。
給料は希望している金額か?
支給される給与が希望している金額かどうかの確認も大切です。長期インターンシップに参加することで本来のアルバイトができなくなれば、それに見合う金額が必要になるでしょう。
ただし、長期インターンシップの給料は高額であることは少なく、値段を基準に選ぶと選択肢が少なくなる可能性があります。ハードルを上げすぎず、最低ラインを設定して探すとよいでしょう。
アクセスや勤務日数・時間が希望通りか?
長期インターンシップは最低でも3ヵ月以上の勤務になるため、通いやすいところにあることも重要です。通勤時間が長かったりアクセスが不便であったりすると、継続が難しくなる可能性があります。
また、学業とインターンシップを両立させるため、勤務日数や時間は希望通りのシフトを選べるかも必ずチェックしたいポイントです。
長期インターンを効果的に活用するためのポイント
長期インターンシップを効果的に活用するには、いくつか押さえるべきポイントがあります。最初から業界を絞り込まず幅広い選択肢を持つこと、インターンの目的・目標を設定することです。また、インターンを始める前は、基本的な事務スキルを身につけておくことも大切です。
ここでは、長期インターンシップを効果的に活用するために必要なポイントを紹介します。
最初から業界を絞らない
インターンシップ先を決める際は、最初から無理に業界を絞る必要はありません。業界を限定すると、自分の可能性を狭めてしまう場合があるからです。
さまざまな業界のインターンシップを経験することで、自分に合う業界を知ることができます。初めは合わないと思っていた業界でも、働いてみたら印象と違っていたということもあるでしょう。
目的・目標を決める
長期インターンシップに参加する前に、インターンとして働くことを通して成し遂げたいことは何か、目的・目標を決めることが大切です。目的や目標を設定しなければ、参加する意味がありません。「就活に必要だから」という考えだけで参加しても、インターンシップで得られるものはないでしょう。
目的・目標を設定することで仕事へのモチベーションも高まり、最後までやり遂げられます。
目標の設定は、次の手順で行います。
- 長期インターンシップを通して自分がやりたいことを明確にする
- その企業を選んだ理由を確認する
- 長期インターンが終わったあとどのような自分になりたいか、最終ゴールを設定する
目的・目標を決めることでそれに向けた行動が明確になり、有意義なインターンシップにすることができます。
基本的な事務スキルを身に付けておく
長期インターンシップに参加する前に、基本的な事務スキルを身につけておけばスムーズに業務を開始できます。ほとんどの企業では、パソコンを使用した書類作成やメールの送受信、業務管理などが行われています。
そのため、基本的なパソコン操作や、「Word」「Excel」をはじめとする利用頻度の高いツールについての操作ができるスキルは身につけておくとよいでしょう。
自ら積極的に学ぶ
長期インターンシップを有意義なものにするには、与えられた仕事を受け身でこなすのではなく、自ら積極的に学ぶ姿勢が大切です。
インターンシップはスキルを身につけるチャンスであり、できるだけさまざまな仕事に携われるよう、積極的にチャレンジするのもよいでしょう。仕事の妨げにならない範囲で先輩に質問するのもおすすめです。自ら積極的に学ぶことで最大限にスキルや経験を積むことができ、その会社で働く魅力を知ることもできます。
長期インターンシップで自分に合った企業を見つけよう
長期インターンシップは長期間にわたり、社員とともに実務に携わるプログラムです。業界や企業への理解を深め、実務経験やスキルを身につけるなどさまざまなメリットがあります。実際に企業で働くことで、外部からはわからない職場の雰囲気や業務内容を知ることや、採用後のミスマッチを防ぐこともできます。
長期インターンシップへの参加を希望しているけど、どこに参加していいかわからないという方は、転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。ハレダスの「転職相談チョイス」では就職活動に関してもさまざまな相談を受け付けており、長期インターンシップに関する相談にも対応しています。「希望する企業の長期インターンシップに参加したい」「長期インターンシップについての最新情報を知りたい」など、なんでも気軽に問い合わせてみてください。相談やサポートはすべて無料です。