2016年に施行された女性活躍推進法。働きたい女性が個性と能力を充分に発揮できるよう、政府は「2020年までに指導的地位に占める女性の割合30%」という目標などを掲げて進めてきましたが、2021年の調査では未だに8.9%と達成には至っていません。
そこで今回は、女性起業家の西村静香さんと「ハレダス」編集長・田村直之が対談を実施。
女性起業家の目線から、会社を起業するため必要なことやコロナ禍での働き方などについて語り合った様子をお届けします。
●対談者プロフィール
◆西村静香/株式会社LetterMe 代表取締役
パーソルキャリア株式会社に新卒入社。在籍中にキャリアコンサルタント国家資格を取得。
30歳の年齢を節目にパーソルキャリア株式会社を退職し、女性の起業家輩出に特化したインキュベーション事業「スタートアップ・アトリエ」『Your』より、「LetterMe」を立ち上げる。
2022年4月に分社化し独立。東京都女性ベンチャー成長促進事業 APT Women6期、経済産業省×JETRO主催「始動Next Innovator」第7期SV選抜メンバー。
◆田村 直之/Hit Role株式会社 代表取締役
大学卒業後「ディップ株式会社」に入社。大阪・兵庫・京都などの関西圏を中心に、求人広告の営業を担当。2011年にはマネージャに昇格し、30名ほどのチームを統括しながら新卒採用にも従事。500名以上の面接を担当し、企業の成長・発展に貢献。
10年間の会社員生活ののちに、個人事業主として活動を開始。2019年には「Hit Role株式会社」を設立。
2021年には働く人のためのWebマガジン「ハレダス」と、カフェと自習室を融合させた新しい空間「ハレダスカフェ」をオープン。仕事と人生に一生懸命向き合う人たちのサポートを行っている。
働き方が多様化していく中、起業方法も多様化へ。
田村:
西村さんの起業の仕方は実に興味深いですね。僕たちの時代は起業すると言ったらもうそれ一本で、成功するか失敗するか、という感覚がありました。
西村さんは複数業務を手がける傍ら、起業家としての業務も行っていらっしゃる。これは何か、意図があってのものだったのでしょうか?
西村:
私の場合は、スタートアップ・アトリエ「Your」に出会ったことで、結果的に「複業」という形で起業にチャレンジをすることになりました。
「Your」では複業で起業することが条件になっています。フルコミットで、24時間働けなければ起業できない、という考え方は男性社会中心に出来上がってきた文化です。
なのでその機会に出会ったことで、私自身も新しい選択肢が得られたというか、自分の中にあった想いを素直に起業するということに繋げて考えられるようになりました。
田村:
僕の感覚からすると、まず「LetterMe」をビジネスにしよう、という発想が出るのがすごいと思います。
どうしても資金繰りや従業員の確保が先行してしまって、「これ儲かるのか?」と考えてしまうので。おそらく西村さんのスタンスだから生まれたビジネスだと思いますね。
西村:
せっかく自分で挑戦するのだから、儲かるのか儲からないのかという視点ではなく、本当に自分が社会に必要だと思う事業を生み出したいと思いました。
そのほうが、自分らしくいられるし、長く続けていけると思います。もちろん稼ぐことをあきらめているわけでもありません。
田村:
西村さんのスタンスと合っていたんですね。でも不安を感じたり、リスクを考えたりはしなかったですか?
西村:
自分で事業を立ち上げたいという思いは、高校生の頃からありました。新卒で人材会社を選んだのも、幅広い人材や経営者の方々に会いたい、という気持ちからだったので。
ただすべてが順調だったわけではないですし、勢いで会社を飛び出してしまい、その直後にコロナになったこともあり、すぐに壁にぶつかりました。「レールから外れた」という感覚にも陥りました。
「自分の選んだ道を正解にするためにも事業をきちんと成長させたい」というような、不安より背水の陣みたいな気合いがありましたね。
でも起業そのものに関しては、あまり肩肘張ってがむしゃらに頑張るという感じではありませんでした。大変なことも、ワクワク楽しみながら乗り越えてくることができたと思います。
「Your」のサポートがあったこともありますが、自分で事業づくりに挑戦する30代を過ごすほうが、自分自身にとってより生きやすい人生が待っていると心から感じられていたからです。
「自分らしく働く」ことをメインに
田村:
西村さんの在り方がこれからのキャリアモデルになっていきそうだと感じますね。
実際若い時は大手会社の管理職も経験されていますが、そちらでずっと続けていく意識は無かったんですか?
西村:
私自身、管理職になった途端に「こうあるべき」に縛られて勝手にがんじがらめになってしまいました。「役職相応にならないといけない」というプレッシャーに勝手に負けてしまいました。
ただ、役職を得てどんどん躍進していくタイプの方もいらっしゃると思うので、若い内は機会があるならやってみて損は無いと思います。
そこで「ちゃんとやらなきゃ」と自分で自分に制限をかけてしまうのではなく、「やってみるか」くらいの気持ちでいいのではないでしょうか。真面目な人ほど難しく考えすぎてしまうと思うので、案外余裕だなというくらいのスタンスがいいのではと思います。
田村:
なるほど。ハレダスの読者も若い人たちが多いので、ぜひ参考にしてもらいたい意見ですね。「まあとりあえずやってみたらええやん」と。
西村さん的に、どうやったらもっと楽に生きれるとか、ありますか?
西村:
絶賛模索中ですね。(笑) でも、やっぱり焦らないことですかね。焦らず、自分の「しっくりくるもの」を探してみることは大事だと思います。
私にとっての「LetterMe」はまさにそれで、本当にしっくりきています。自分が自分らしく、心の底からいいなと思えることを、事業にして、日々挑戦できているのはとても幸せです。
なので、そういう自分が自分らしく、心の底からいいなと思えることを、仕事や趣味やボランティアなどの活動の中で、何かひとつでも見つけられると、人生は楽しいんじゃないかなと思います。
常に目標は明確に
田村:
「LetterMe」はこれから、具体的にどのような方向性を考えてらっしゃるんですか?
西村:
そうですね。まずは「LetterMe」の会員を増やすために頑張りたいなと思っています。
ライフプラン的に、結婚や出産も今後視野に入れながら、LetterMeのチームで、サービスをしっかりお届けできる体制も作っていきたいと思います。
あと将来的には、「LetterMe」ブランドとして物理的な場所=お店を持つことにも挑戦したいなと、ぼんやり想像したりしています。「自分に向き合う時間」を軸に、いろいろな形に挑戦していきたいですね。
田村:
出産や結婚という話がでましたが、30代といったら、男性も女性もライフプランを考える年ですよね。西村さんはどのようなキャリアを考えてらっしゃるんですか?
西村:
30代は「LetterMe」をしっかり育てていきたい、と思っています。LetterMeチームを作り、少数精鋭でしっかりBtoC、BtoBのサービスを確立していきたいですね。
40代以降は、もしかしたら「LetterMe」を通じて培った経験を活かして別のことにチャレンジしているかもしれません・・・・・・。何歳になっても、自分に素直に、身軽に行動する、そんな自分でいたいなと思います。
●「Letter me」公式サイト
https://lp.letterme.tokyo/
●「Letter Me」無料体験会
https://lp.letterme.tokyo/trial